日本東洋医学雑誌
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61 巻 , 1 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
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原著
  • 多羅尾 和郎, 坂本 康成, 上野 誠, 宮川 薫, 大川 伸一
    61 巻 (2010) 1 号 p. 1-8
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    C型慢性肝疾患(慢性肝炎,肝硬変症)では,Peg-interferon(IFN)+Ribavirin療法で治療が完結せず,強力ネオミノファーゲンC(SNMC),ウルソデオキシコール酸(UDCA)併用療法でもALT値が十分低下せず難治性となる症例も多い。今回,漢方製剤,十全大補湯の治療効果について検討した。即ち,IFN療法で治療が完結しないC型慢性肝疾患のうち,十全大補湯の適応となる疲労倦怠感または食欲低下を訴え,しかも従来の,SNMC,UDCAさらには両者の併用療法でもALT平均値が原則として80単位未満に下降しない67症例を対象とし,十全大補湯のALT下降効果についてretrospectiveに検討した。尚,67例の内訳は,IFN療法を希望しなかった27例,IFN不適応22例,IFN無効(non responder)9例,IFN治療をしたが途中で副作用のため中断した9例であった。さらに,このうち十全大補湯を6カ月以上投与できた40症例を解析対象とした。投与前6カ月と比較して1年以内に6カ月ごとのALT平均値が25%以上低下したものを有効例とすると,40例中,有効例は23例(57.5%)であった。男女別では,男性で41.2%,女性で69.6%と女性で有効率が高い傾向にあった。SNMC,UDCA併用療法でも原則として80単位以上でALT値下降を得ず,十全大補湯を加えて3剤併用とした32症例では18例(56.3%)で,有効例となった。十全大補湯を2年間投与し続けた23症例では9例(39.1%)で12,18,24カ月まで経時的にALT値が次第に下降し,効力が増強した。十全大補湯は,SNMC,UDCAに次ぐC型慢性肝疾患に対する第3の肝庇護剤となる可能性が示唆された。
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  • 齋田 あけみ, 齋田 有紀, 後山 尚久
    61 巻 (2010) 1 号 p. 9-14
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    補中益気湯は子宮下垂症にその升陽挙陥の効果を目的に頻用されてきた。妊娠,出産,閉経等で骨盤の靭帯,結合組織あるいは筋肉が可逆性を失い,下方からの支持のない膣管に子宮が下垂するのが子宮下垂症であり,治療に苦慮する症例がある。
    子宮下垂症と診断された17例(62.6±7.1歳)への補中益気湯の投与により,著効,有効,および無効はそれぞれ6例,9例,および2例であり,有効率は88.2%であった。子宮脱矯正用ペッサリーの併用により服薬順守率90%以上の症例では著効率は75%(3/4)であった。有効性スコアーは補中益気湯と骨盤体操併用療法1.5±0.5,ペッサリー併用療法1.4±0.5で,単独療法0.8±0.8に比べ有意に(P<0.05)高かった。補中益気湯の骨盤内筋群への作用に骨盤体操による骨盤底筋への効果や,ペッサリーによる骨盤筋膜(恥骨頸部筋膜,直腸膣部筋膜)の補強効果の相乗作用が子宮下垂症を改善したと推察された。
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  • 中永 士師明
    61 巻 (2010) 1 号 p. 15-18
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    2種類のブシ末製剤を単独で服用した場合の酸化ストレス度と抗酸化力を測定し,経時変化について検討した。健常人34例を2群に分けて2種類のブシ末製剤(TJ‐3022,TJ‐3023)3g/日を3日間服用し,服用直前,服用90分後,服用72時間後に酸化ストレス度(d‐ROMsテスト)と抗酸化力(OXY吸着テスト)を測定した。TJ‐3022群では酸化ストレス度と抗酸化力の有意な経時的変化はみられなかった。TJ‐3023群でも酸化ストレス度と抗酸化力の有意な経時的変化はみられなかった。附子服用量3g/日では酸化ストレスに影響を及ぼさないことが示唆された。
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報告
  • 伊藤 亜希, 西村 甲, 宗形 佳織, 徳永 秀明, 松浦 恵子, 今津 嘉宏, 渡辺 賢治
    61 巻 (2010) 1 号 p. 19-26
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    2006年度に改定された漢方生薬の調剤である湯薬調剤料が適正であるか否かを検討した。調剤時間を指標に湯薬調剤と一般調剤を比較した。1~15日処方で一般調剤が平均4.4分/枚のところ湯薬調剤は平均13.4分/枚と約3倍の時間を要し,30日を超過する処方では一般調剤に比べ約7倍の時間を要した。次に調剤業務1分間あたりの調剤報酬を湯薬調剤と一般調剤で比較検討した。1~15日処方では大きな差はなかったが,15日を超える処方日数の湯薬調剤では一般調剤に比べ,調剤報酬が約1/3から1/5ほど低い結果となった。大学病院における処方日数の変移の調査では,30日を超過する処方件数は2003年度では全体の2.7%であったが,2008年度の件数は約14倍に増えて全体の42%であった。長期投薬が増えつつある現状を考慮すると,湯薬調剤料も内服調剤料同様,処方日数に応じた調剤報酬にする必要がある。
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臨床報告
  • 堀野 雅子
    61 巻 (2010) 1 号 p. 27-31
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    リベド血管炎は,日常診療上対応に苦慮する皮膚疾患のひとつである。リベド血管炎と診断され,難治性の下肢の多発性潰瘍が,漢方治療によって奏効した一例を経験した。症例は23歳の女性で,X‐2年春より打撲傷のような皮疹が出現し,他病院にてリベド血管炎という診断を受けた。X年4月より両下肢に有痛性潰瘍が多発しはじめ,西洋医学的標準治療に抵抗した。X年5月6日より当院漢方治療を開始,約4カ月で有痛性潰瘍は消失した。薬剤は当帰四逆加呉茱萸生姜湯を主に,加工附子末,排膿湯,千金内托散,伯州散,当帰芍薬散を使用した。リベド症状は残っており,完治には長期治療を有すると思われるが,激痛を伴う潰瘍から開放されて,日常生活は正常に戻った。
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  • 小川 恵子, 地野 充時, 尾本 暁子, 小泉 仁嗣, 関矢 信康, 笠原 裕司, 来村 昌紀, 橋本 すみれ, 並木 隆雄, 寺澤 捷年
    61 巻 (2010) 1 号 p. 32-35
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    切迫流早産の治療においては,可能な限り妊娠期間の延長を図ることが肝要とされる。治療剤として,塩酸リトドリンが用いられるが,動悸などの副作用のため使用が困難な症例もある。妊娠期間延長に補中益気湯が有効であった1例を経験した。症例は,31歳女性。妊娠第21週5日,下腹部痛あり,切迫流産の診断で,床上安静,塩酸リトドリン点滴開始されたが,副作用と思われる動悸,頻脈,振戦が出現。動悸のため不眠となり,倦怠感,吐気や食欲不振も出現したため,妊娠第23週1日に当科紹介。補中益気湯エキスを処方したところ,それらの症状は著明に改善した。妊娠第28週,体重1230gの男児を出産した。補中益気湯投与により,塩酸リトドリンの副作用と思われる症状が軽減し,継続投与が可能となり,漢方治療の切迫流早産における有用性が示唆された。
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  • 平岩 久幸, 平岩 里佳, 伊達 伸也, 崎山 武志
    61 巻 (2010) 1 号 p. 36-44
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    重症心身障害児4例,発達障害児3例で喘息や問題行動などに対して柴胡を含む方剤を投与したところ,発熱,咳嗽,食欲不振,倦怠感などは改善したが,筋緊張亢進,興奮,不眠を訴えた症例を経験した。柴朴湯を内服しても特に問題のない重症児3例と比較すると,言葉によらない意志疎通,すなわち発声や動作・表情の変化などの対人反応が良好で,アテトーゼなどの不随意運動に伴って,筋トーヌスの亢進が目立っていた。抑肝散を使用した発達障害児の2例では,多動,興奮,衝動的な言動が目立ち,のぼせ,ほてりなどの熱証や肝陰不足への配慮が足らなかったことが推測された。柴胡含有方剤の中枢神経系に対する薬理作用について考察し,今回みられた症状は有害反応と考えられた。障害児・者に対する漢方治療には,慎重な診察を心がけること,保護者の心身の状態にも配慮することも重要と思われた。
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  • 地野 充時, 関矢 信康, 大野 賢二, 平崎 能郎, 笠原 裕司, 並木 隆雄, 寺澤 捷年
    61 巻 (2010) 1 号 p. 45-50
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    Wells'症候群は四肢や体幹に孤立性あるいは多発性の蜂窩織炎様皮疹を生じる原因不明の疾患である。本症は副腎皮質ステロイド剤等で対症的に治療されるが,寛解と再発を繰り返すことも多い。症例は8歳男子。2001年に四肢に皮疹が出現し,2002年に病理組織学的検査によりWells'症候群と診断され,副腎皮質ステロイド剤などで治療されていた。2007年1月頃から皮疹が増悪し,同年5月当科初診。荊芥連翹湯を処方しやや改善が見られたが,その後増悪を認めたため同年6月に十味敗毒湯に転方。皮疹の改善を認めていたが,同年11月から皮膚乾燥を認めるようになったため,荊芥連翹湯を併用。これにより,皮膚の状態は安定し,現在まで経過良好である。我々が検索した範囲では和漢薬を用いた本症の治療報告は認められない。本症の治療として和漢薬治療が選択肢となることを示唆する症例と考えられた。
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  • 藤木 富士夫, 河野 眞司, 平田 道彦
    61 巻 (2010) 1 号 p. 51-55
    公開日: 2010/06/22
    ジャーナル フリー
    症例は59歳女性,入院2カ月前より左上眼瞼腫脹をともなう左眼球後部を中心とした頭痛,ならびに右下腿の有痛性の紅斑をともなう皮下結節を認めた。入院1カ月前に微熱,炎症所見と体重減少(-3kg/2カ月)を指摘され,非ステロイド系消炎鎮痛剤や抗菌剤が投与されたが改善しなかった。入院1週間前より桂枝湯と小柴胡湯を投与した。入院時の頭部造影MRIにて前頭蓋窩の硬膜肥厚像をみとめ肥厚性硬膜炎と診断した。髄液検査では単核球優位の細胞増多を認めた。右下腿皮下結節の病理診断は結節性紅斑と矛盾せず。入院後は小柴胡湯単剤を継続した。投薬2週間にて症状は消失,1カ月後に治癒した。結節性紅斑をともなう肥厚性硬膜炎として溶連菌感染,ベーチェット病などを疑うも特定できなかった。炎症性免疫疾患としてステロイド投与を検討したが,感染症の懸念のため投与を躊躇した。このような場合に小柴胡湯は選択薬になると考える。
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