日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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61 巻 , 6 号
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総説
  • 三浦 於菟
    61 巻 (2010) 6 号 p. 821-827
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    東洋医学の独特な理論である気の概念を,主に近世中国の医書より再検討した。気とは,万物を成立させ,生命現象をおこさせるものである。東洋医学の特色である全体観・統一観は,この気の概念によってその根拠が与えられた。生体の機能を気,肉体を形成するものを血と呼ぶ。血とは滋養分であり,気より形成されたものとされ,いわば異名同類のものである。気と血の概念により,体全体を考慮した疾病把握,各臓器相互の関連性の重視,機能と物質(肉体)は分離できないという認識を生み出させた。気は消化管と肺(後天の気),生まれ持った気(先天の気)から形成される。「こころ」は気によって出現し,気の概念によって「こころ」と身体の関連性,一体化が理論化された。気の病態は,(1)気の能力の低下(気虚と陽虚)と(2)気の循環失調(気滞・気逆)の二つに分類される。これらを合わせた病態に中気下陥がある。気とは,現実的かつ有用性がある東洋医学独自の生理病態観といえる。
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原著
  • 五野 由佳理, 小田口 浩, 早崎 知幸, 鈴木 邦彦, 及川 哲郎, 村主 明彦, 赤星 透, 花輪 壽彦
    61 巻 (2010) 6 号 p. 828-833
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    2000年から2009年の9年間に当研究所にて,漢方薬による薬物性肝障害と診断した21症例について検討した。平均年齢55.2 ± 13.4歳で,男性5例,女性16例であった。服用3カ月以内には17例(81.0%)が発症していた。発症時,無症状が11例(52.4%)であり,肝細胞障害型と混合型が共に9例(42.9%)であった。起因漢方薬としては19例と9割以上が黄芩を含む処方であった。DLST施行例は5例のみであり,方剤陽性は1例のみであった。治療としては,原因薬の中止のみで肝障害の軽減および肝機能の正常化を認めたのが18例(85.7%)で他2例は同処方去黄芩にて正常化を認めた。今後,特に黄芩を含む処方の場合に無症状でも,薬物性肝障害の早期発見のために3カ月以内の採血が必要と考える。
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基礎報告
  • 菊池 友和, 瀬戸 幹人, 山口 智, 小俣 浩, 中澤 光弘, 磯部 秀之, 大野 修嗣, 三村 俊英, 北川 秀樹, 高橋 啓介
    61 巻 (2010) 6 号 p. 834-839
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    【目的】鍼通電刺激(EA)が,ヒトの筋血流に及ぼす影響を定量的に直接法で測定した報告はない。新しく開発したクリアランス法を用いEA前中後での筋血流量の変化を測定した。【方法】健康成人ボランティア10例,男性8例,女性2例(中央値30.5歳)を対象とし,鍼長50mm,直径0.18mmのステレンス鍼で僧帽筋上の天柱穴と肩井穴へEAを行い,右を刺激側,左を非刺激側とした。さらに,EA前2分,EA中4分,EA後4分の計10分のデータを分析した。同時に血圧と心拍数も測定した。【結果】EA側の筋血流量は,刺激中増加し(p < 0.05)。また刺激中,拡張期血圧と心拍数が下降した(p < 0.05)。【考察】EAにより筋血流量が刺激側で増加し,拡張期血圧と心拍数が下降したことから,局所の筋ポンプ作用等により筋血流量が増加することが考えられた。【結語】新しい99mTc04-クリアランス法を用い評価した結果,EAは,刺激中,刺激側の筋血流量を増加させた。本法はこれまでの方法よりも簡便で精度も高いことから,今後鍼灸の臨床研究により積極的に用いられて良いと考える。
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臨床報告
  • 千々岩 武陽, 伊藤 隆, 菅生 昌高, 仙田 晶子, 大川原 健, 海老澤 茂, 王子 剛, 島田 博文
    61 巻 (2010) 6 号 p. 840-846
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    桂枝加桂湯が奏効した奔豚気病と思われる身体表現性障害の3症例を経験した。第1例は34歳男性。頭痛,動悸,「胸から頭に何かが突きあがってくる感じ」を奔豚気と捉えて桂枝加桂湯を開始したところ,内服1週間後に頭痛,4週間後には動悸や耳鳴りが著明に改善した。第2例は22歳男性,主訴は緊張感,全身倦怠感。下肢の冷え,発作的な頭痛のエピソードを奔豚気と解釈し,桂枝加桂湯を開始したところ,自覚症状と心理テストの大幅な改善を認めた。第3例は75歳女性。自宅のリフォームを契機に激しい頭痛と動悸が出現した。桂枝加桂湯開始により,内服3週間後には症状の消失を認めた。
    近年,奔豚気病はパニック障害と比較されることが多かったが,身体表現性障害と称される一群の中にも奔豚気病の症例が含まれている可能性がある。頭痛や動悸など身体愁訴の背景に奔豚気病の存在を疑うことが,桂枝加桂湯の処方選択に有用であると考えられた。
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  • 中永 士師明
    61 巻 (2010) 6 号 p. 847-852
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    治打撲一方を服用した場合の酸化ストレス度と抗酸化力を測定し,経時変化について検討した。健常人20例に治打撲一方7.5g/日を3日間服用させ,服用直前と服用72時間後に酸化ストレス度(d‐ROMsテスト)と抗酸化力(OXY吸着テスト)を測定した。酸化ストレス度について服用前後で有意な変化はみられなかった。一方,抗酸化力は服用直前と比べて服用後には有意に低下した(p=0.0290)。服用中に副作用のため,中断した症例はなく,肩こり・便通・打撲痛などの改善といった好反応は6例にみられた。特に好ましい反応がみられなかった14例については,服用後に治打撲一方は酸化ストレス度,抗酸化力ともに有意に低下させた(p=0.0279,p=0.0413)。治打撲一方は体内の抗酸化力を動員して病態改善に寄与する可能性が示唆された。
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  • 井上 雅, 横山 光彦, 石井 亜矢乃, 渡辺 豊彦, 大和 豊子, 公文 裕巳
    61 巻 (2010) 6 号 p. 853-855
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    女性腹圧性尿失禁患者に対して補中益気湯を4週間投与し,その臨床的有用性を検討した。女性腹圧性尿失禁患者13名に対し,食前に1日3回補中益気湯7.5gを4週間投与した。治療前,治療1カ月後に,VAS(visual analog scale),IQOL(Incontinence-QOL)による自覚症状の変化を観察し,また排尿日誌を用いて排尿回数,尿失禁回数の変化,パッドテストによる失禁量の変化,尿流測定による他覚的な排尿状態の変化の確認を行った。また投与終了時の患者の満足度も検討した。結果は有意差は認めなかったが,VAS,IQOLスコア,いずれも改善傾向であった。パッドテスト,失禁回数は減少傾向であった。排尿回数,最大尿流量は変化なく,患者満足度は高かった。BMI別で検討すると非肥満型では有意にVAS, IQOLの改善を認めた。補中益気湯は排尿状態に影響を及ぼさず,尿失禁の程度,証などを考慮すれば有効であることが示唆された。副作用として重篤なものは認めなかった。
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  • 西田 欣広, 楢原 久司, 織部 和宏
    61 巻 (2010) 6 号 p. 856-859
    公開日: 2010/12/24
    ジャーナル フリー
    少腹急結は瘀血の腹証で桃核承気湯を用いる一指標といわれている。今回,3D画像を用いてその病態を明らかにするため解剖学的解析を行なった。対象は女性20人(うち少腹急結を認めるもの4人),男性11人(同2人)。腹壁の所見として腹直筋幅,厚さ,浅腹壁動脈およびその回旋枝の走行異常の有無について解析した。腹腔内は腹壁直下の腸管所見について解析した。さらに左右の腹直筋離開(画像的に小腹不仁あり)の有無について検討した。女性群では年齢(53.1 ± 18.3 vs.33.0 ± 9.8,p < 0.05),経産数(1.5 ± 1.0 vs.0.25 ± 0.5,p < 0.05),腹直筋の厚さ(8.14 ± 2.5 mm vs.12.4 ± 1.6 mm,p < 0.05)において明らかな有意差がみられた。また,少腹急結を認める症例では腹壁直下のS状結腸部に便塊,ガス像を認めた。男性では有意差は見られなかった。少腹急結の腹証形成に腹直筋下部の局所的攣縮がその一因と考えられた。男性は女性とは別の機序が関与している可能性が考えられ性差を考慮する必要があると思われた。
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