日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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62 巻 , 2 号
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総説
  • 松田 邦夫
    62 巻 (2011) 2 号 p. 103-112
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    漢方医学の最盛期であった江戸時代を中心とした名医といわれた12人を選び,彼らがその弟子に,診察治療の心構えをどのように教えていたかを検討し,現代の漢方医学を学ぶ者が優れた漢方医になるための参考点を探った。その結果,名医とは,病人を治せる知識や技術を持つことは当然であり,さらに人の心をわかる誠実な医師でなければならないと結論づけた。漢方を学ぶことは,観察力を鋭くする。現代医学に加えて漢方および医のこころを学ぶならば名医に近づけると考える。
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原著
  • 後山 尚久, 堤 英雄, 向坂 直哉, 藤原 祥子, 佐久間 航
    62 巻 (2011) 2 号 p. 113-119
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    更年期障害を自律神経活動の観点から解析し,東洋医学的“気”病態との関連性における東洋医学的対応の科学的根拠の一端を探求した。
    更年期障害55名に対して心拍変動パワースペクトル解析を行い,頻度の高い5症状(冷えのぼせ,焦燥感,四肢の冷え,不眠,肩・頸部のこり)の有無による自律神経活動を比較した。冷えのぼせ症例では自律神経活動総力において有症状群(529.6±529.9ms2)は無症状群(295.4±260.8ms2)に比べ有意に高値を示した(P<0.05)。交感神経活動指標において,冷えのぼせ症例および焦燥症例では有症状群は無症状群と比較し有意に高い値を示した(それぞれP<0.01,P<0.0001)。
    東洋医学の気逆の症状である冷えのぼせおよび焦燥は,交感神経機能亢進,副交感神経機能減退の可能性が示され,自律神経活動の評価が漢方診療,あるいは東西融合医療へ応用できる可能性が推察された。
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  • 三浦 於菟, 河野 吉成, 板倉 英俊, 田中 耕一郎, 橋口 亮
    62 巻 (2011) 2 号 p. 120-132
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    感冒147例の東洋医学的病態像を検討した。問診票と東洋医学的診察により,以下の三群に分類して証に合わせた漢方方剤を投与し,発病時期・主訴・自他覚症状・体質などを比較検討した。
    (1)風寒感冒は42.9%で葛根湯・桂枝湯が多用された。冬季に好発し夏季に少なく,胃弱者や冷え性体質者が多かった。悪寒(主訴に多い)・四肢冷感などの表寒証が特徴的症状で,浮脈以外の他覚症状は少なかった。(2)風熱感冒は46.3%で,銀翹散が多用された。春季に好発し秋季にもみられ,暑がりや壮健体質者がやや多かった。咽頭痛(主訴に多い)・咽頭発赤・熱感・熱感触知・冷水を好む口渇などの表熱証,裏熱証,乾燥症状さらに少数の寒証症状など多彩な症状がみられた。(3)その他は10.9%で駆風解毒湯が多用され寒熱錯雑証と考えられた。
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  • 望月 良子, 若杉 安希乃, 小田口 浩, 及川 哲郎, 村主 明彦, 花輪 壽彦
    62 巻 (2011) 2 号 p. 133-141
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎患者の,長期にわたる治療に伴う不安や不満に着目し,漢方随証治療が患者の心身双方に与える効果を検討した。6ヵ月間の漢方治療を行なった症例15名について,治療前と後の臨床症状の重症度の評価と満足度の評価を行なった。重症度は日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎重症度分類,SCORAD(Severity Scoring of Atopic Dermatitis)を用い,満足度はQOL (SF36・DLQI)と精神状態(PSS-AD:Psychosomatic Scale of AD)の評価法を用いた。全体の評価では,皮疹の有意な改善と共にQOL・精神状態も改善傾向を示した。個々の症例を検討すると,その臨床的重症度と治療の満足感は相関せず,その評価には個人差があることがわかった。複雑な患者の心理を医療者側は十分に認識し,患者との信頼関係を深めていく努力が必要である。
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臨床報告
  • 林 明宗, 佐藤 秀光
    62 巻 (2011) 2 号 p. 142-146
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    【目的】脳腫瘍治療の合併症である頭皮放射線性皮膚炎は火傷の一種であり,現状ではステロイド製剤がその治療の主役となっている。今回,火傷を保険適応とする紫雲膏の頭皮放射線皮膚炎に対する治療効果を検討した。
    【方法】悪性脳腫瘍症例22例(全脳照射9例,局所照射13例)を対象とした:男/女=12/10例。51~74歳(平均63.1歳)。疾患内訳:悪性神経膠腫13例,脳悪性リンパ腫6例,転移性脳腫瘍3例。症状内訳(重複あり):発赤18例,灼熱感をともなう疼痛13例,瘙痒感13例,皮膚びらん3例。治療効果は自覚症状の改善度により以下のように判定した:著効(改善度80%以上),有効(改善度50%以上),やや有効(改善度50%未満),無効(改善度30%未満)
    【成績】著効16例,有効6例で,全例に良好な治療効果を認めた。
    【結論】紫雲膏は組織修復作用にも優れ,ステロイド製剤にかわる放射線性皮膚炎に対する有用な薬剤として期待できる。
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  • 洪里 和良, 及川 哲郎, 花輪 壽彦
    62 巻 (2011) 2 号 p. 147-151
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    慢性心不全に対して茯苓杏仁甘草湯加防已黄耆が有効であった1例を経験したので報告する。症例は87歳女性。主訴は安静時の心臓の重苦しさであった。X-6年から某大学病院で慢性心不全の薬物治療を受けていた。数度の入院を繰り返したが,胸部不快感が強く,気分が塞ぐようになり何をするのも嫌になるなどしたため,西洋医学的治療に加えて漢方治療を求めてX年7月に当研究所を受診した。brain natriuretic peptide(BNP)545pg/ml,心胸郭比(CTR)64.1%であった。New York Heart Association(NYHA)の心機能分類ではIV度であった。茯苓杏仁甘草湯加防已黄耆を処方したところ,胸部不快感や抑うつ気分は徐々に改善し,また,他の西洋医学的治療に変更がないにもかかわらず,約1年後にBNP104pg/ml,CTR57.5%に改善した。胸部不快感や抑うつ気分も消失した。NYHAの心機能分類はI度になった。これらの結果から,茯苓杏仁甘草湯加防已黄耆は慢性心不全に効果があることが示唆された。
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論説
  • 遠藤 次郎, 鈴木 達彦
    62 巻 (2011) 2 号 p. 152-160
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,丸散方と湯液方の比較から,『傷寒論』における湯液方の形成過程を明らかにした。華佗方などの『傷寒論』よりも古い治療体系では,強い発汗,吐,下の丸散剤が用いられる。『傷寒論』では,一方でこうした強い効果を示す瀉薬を否定してはいるが,可不可篇においては,大雑把に発汗,吐,下をさせる段階には丸散剤,複雑な病証の段階には湯液,と使い分けがみられる。『傷寒論』中の調製法を見ても,丸散剤の分量が反映された湯液があったり,丸散剤を服用するための補助飲料がみられたり,丸散方から湯液方へと剤形を段階的に変換した形跡がある。以上の点から,『傷寒論』の湯液方の背景には丸散方があるということができる。
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  • 新井 一郎, 津谷 喜一郎
    62 巻 (2011) 2 号 p. 161-171
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    漢方の英語論文において文献データベースで付与されているキーワードと論文中の漢方の英語表現との関係を調査し,漢方が英語論文中でどのように表現されるべきかを考察した。まず,The Cochrane Library中のCENTRALからPubMed由来の漢方論文を選出した。“Medicine, Kampo”というMedical Subject Headings(MeSH)が付与されている論文は,本MeSHが設定された2000年以後では53報中13報と少なかった。次に,論文中の“Kampo”という言葉の有無や漢方が“Japanese medicine”と表現されているかどうか,また,それと“Medicine,Kampo”付与との関係を調査した。その結果,論文中に“Kampo”と“Japanese”を含む表現が併記されていると,“Medicine,Kampo”が付与される割合が高いことが判明した。英語論文を書く場合には,漢方の英語表現として“Kampo”および“Japanese”が含まれる“Kampo medicine (traditional Japanese medicine)” のような表現を用いるべきである。
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教育講演
  • 三潴 忠道
    62 巻 (2011) 2 号 p. 172-195
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    急性期疾患における漢方診療経験を,症例を中心に提示した。漢方のバイブルである『傷寒論』は急性熱性疾患をモデルに,臨床経験に基づき,経過中に出現する種々の病態に対する各々の適応方剤を効果の確実性とともに示した,EBMの書である。急性疾患の漢方治療においては,証の陰陽と六病位の判断が重要で,虚実だけでは不十分である。また陰陽の一面である寒熱の有無とその程度の判断が大切である。その他,特に急性熱性疾患においては,臨床経過に伴う六病位など証の変化,併病や合病などの判断も必要である。また即効性があるので,試服による治療的な証の診断が有効である。診断には脈診が有用であり,腹診では特異的な抵抗や圧痛とともに,腹部の温度にも注意を要する。処方では,桂枝二越婢一湯が急性熱性疾患を中心に有効な例が多く,もっと利用されるべきである。重症患者では,烏頭なども含めた生薬を用いて入院診療が可能な施設が必要である。
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  • 水村 和枝
    62 巻 (2011) 2 号 p. 196-205
    公開日: 2011/07/08
    ジャーナル フリー
    鍼灸ではその入力系として筋無髄神経(C線維)が働いていると言われている。筋無髄神経受容器の中でも,中等度以上の機械刺激,熱刺激,発痛物質のいずれにも反応するポリモーダル受容器が鍼灸効果には重要であると考えられている。本講演では,筋ポリモーダル受容器の反応特性,特に機械刺激に対する感作について紹介する。
    ポリモーダル受容器は,筋C線維中の機械感受性受容器の中でラットでは約5割を占め,非ポリモーダル受容器(熱刺激に反応しない)と比べて機械刺激に対する反応の閾値に差は無いが,その放電数は少ない。熱に対する反応閾値は41°C近辺である。この受容器の機械反応は,ブラジキニン,プロスタグランジン,ヒスタミン,酸等によって増強される。最近話題となっている炎症メディエーターの1つに神経成長因子(NGF)がある。NGFは,個体の発達途上ではその名前の通り神経の生存・分化に必須であるが,成長した後は炎症部位で炎症細胞(マクロファージ,肥満細胞など)や線維芽細胞によって産生され,痛みの受容器の熱に対する反応や機械刺激に対する反応を感作し,痛覚過敏に大きな役割を担う。ヒトでNGFを筋注すると数日間続く筋機械痛覚過敏が出現することが知られている。筆者らのグループは最近,このNGFが炎症細胞の出現なしに筋で増加することを見出した。不慣れな運動をすると,運動後に遅れて筋痛が出現することを遅発性筋痛と言うが,NGFは運動後12時間程度遅れて筋において増大し,2日後まで増大している。運動後2日目の,遅発性筋痛が最も強い時期に,抗NGF抗体を筋注すると遅発性筋痛は減弱するので,筋C線維受容器の機械感受性をNGFが増大させた結果が遅発性筋痛である,と考えられる。遅発性筋痛のラットの筋に炎症細胞は出現していないので,NGFを産生しているのは炎症細胞ではなく,筋細胞そのものか,血管または結合組織であろうと推測される。また,遅発性筋痛状態で感作されている受容器は,熱感受性,つまりポリモーダル受容器が多い傾向があった。多くの筋性疼痛は非炎症性であるので,筋でNGFが非炎症性に産生されると言うことは,他の筋性疼痛状態でもNGFが産生され,筋C線維受容器を感作して痛覚過敏状態を引き起こしている可能性がある。今後明らかにすべき課題である。
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学会シンポジウム
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