日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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63 巻 , 1 号
第63巻 第1号 2012年
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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総説
  • 三浦 於菟, 松岡 尚則, 河野 吉成, 板倉 英俊, 田中 耕一郎, 植松 海雲, 奈良 和彦, 芹沢 敬子, 中山 あすか, 橋口 亮, ...
    63 巻 (2012) 1 号 p. 1-14
    公開日: 2012/08/24
    ジャーナル フリー
    盗汗病態理論の史的変遷を中国医書に基づいて検討した。隋代まで,盗汗と自汗の病態は同様であり,主に体表の気虚によって出現すると考えられていた。唐代には,盗汗と自汗の病態の相違性が指摘され,盗汗は熱によって出現するとされた。宋金代には,血虚や陰虚の熱が盗汗を出現させるとされた。金代には,寒邪などの外邪によっても盗汗は起こるとの実証盗汗理論が提唱された。元代と明代の初期には,盗汗は陰虚,自汗は陽虚という学説の完成をみた。明代中期には,盗汗は陽虚でも出現する事があり,病態によって盗汗と自汗を把握すべきだという新学説が登場した。清代には,外邪のみならず湿熱,食積,瘀血によっても盗汗は出現するという実証の盗汗,部位別盗汗病態などの新しい学説が登場した。また温病盗汗は傷寒とは異なり陰虚によるとの学説もみられた。盗汗学説は古きに知恵を求めながら発展したといえる。
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原著
  • 鈴木 達彦
    63 巻 (2012) 1 号 p. 15-24
    公開日: 2012/08/24
    ジャーナル フリー
    吉益東洞は臨床経験を積んでいく過程の中で,『傷寒論』や『金匱要略』に収載される湯液方と,丸散方を組み合わせる兼用法による治療体系を確立していった。東洞の丸散方の処方集には古来の楽律である十二律の名称を採って整理した十二律方という独自の丸散方がある。東洞は身体の様々な症状は,飲食の留滞に起因する毒によってもたらされるという万病一毒説を唱え,十二律方は毒である飲食の留滞を取り除く目的で用いられた。また,毒を診断する方法に腹診を,毒によって表れる症状を『傷寒論』の証と対応させ,腹診—毒—丸散,見証—病状—湯液方という東洞の医学体系の枠組みを明らかにした。
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臨床報告
  • 高木 恒太朗
    63 巻 (2012) 1 号 p. 25-30
    公開日: 2012/08/24
    ジャーナル フリー
    茯苓甘草湯は従来,主として発熱時の発作性脱汗に用いられてきたが消化器系の症状にも応用できる。
    (症例1)39歳。20年以上前から非常に重篤な嘔気発作を繰り返していた。発作時に茯苓甘草湯を与えるとすぐに嘔気は消失,定期的に内服すると嘔気発作はほとんど起こらなくなった。(症例2)64歳。1年前に早期胃癌にて胃亜全摘術を受けた。2週間前から食事を摂ると嘔吐するようになりほとんど食べられなくなった。茯苓甘草湯を与えると嘔吐は起こらなくなった。(症例3)47歳。一日に数回,胃酸逆流,口苦,胸焼けがあった。茯苓甘草湯が奏効し現在では初めの20%程度まで軽減。(症例4)38歳。夜間に発作性の嘔気嘔吐があり動悸を伴った。発作予感時に茯苓甘草湯を内服すると嘔吐は抑制された。すべての症例は女性で症状は発作性であり,動悸や胸部不快感,生唾を伴っていた。これらの症状は茯苓甘草湯を与えるとすぐに改善し,続けて与えると発作頻度も著明に減少した。本方は発熱時の脱汗のみならず,発作性の嘔気,嘔吐,胃食道逆流などの消化器症状に対して広く用いられるべき薬方と考えられた。
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  • 吉永 亮, 木村 豪雄, 田原 英一, 村井 政史, 三潴 忠道
    63 巻 (2012) 1 号 p. 31-36
    公開日: 2012/08/24
    ジャーナル フリー
    離島診療所における漢方治療の実態について,特徴的な3症例を提示するとともに報告する。筆頭著者は飯塚病院東洋医学センターにおいて漢方の外来診療を研修し,離島で漢方治療を取り入れた診療を3年間行った。2009年4月に診療所を受診した患者134人のうち,漢方治療を行った患者の割合は約25%であった。また2008年4月から2010年3月までの2年間に服用した漢方方剤を処方期間別に調査したところ,4週間未満では感冒に対する漢方方剤が上位を占め,4週間以上では八味地黄丸,大黄甘草湯,桂枝茯苓丸の順で処方が多かった。高齢者が多く,家族を含め総合的に患者を診療することが求められる離島では漢方治療は有用であると考えられた。離島という環境のためか水毒に関連する症候が比較的多くみられ,利水剤の処方が多い傾向があった。また筆頭著者自身にとっても,漢方治療を実践することで地域医療のやりがいを高めることができた。
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  • 木村 容子, 佐藤 弘
    63 巻 (2012) 1 号 p. 37-40
    公開日: 2012/08/24
    ジャーナル フリー
    平成23年(2011年)東日本大震災を契機に揺れ感を強く訴える患者15例についての治療を経験した。半夏厚朴湯の有効例が12例,半夏厚朴湯が無効で半夏白朮天麻湯が有効であった症例が2例,苓桂朮甘湯が有効な症例が1例であった。
    半夏厚朴湯の有効例では,揺れ感のほかに不安感を訴える患者が多かった。一方,半夏厚朴湯が無効で半夏白朮天麻湯が有効であった症例では,不安感の訴えはなく,回転性のめまいや胃もたれを伴う胃腸虚弱の傾向を認めた。
    また,腹診では,半夏厚朴湯の有効例では,心下痞鞕がみられた患者が多かった。揺れ感の改善に伴い心下痞鞕は軽快した。
    今回の検討例から,震災後に揺れ感のほかに不安感を訴え,腹診では心下痞鞕がみられた患者に対して,半夏厚朴湯が有効である可能性が高いと考えられた。
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論説
  • 舘野 正美
    63 巻 (2012) 1 号 p. 41-48
    公開日: 2012/08/24
    ジャーナル フリー
    吉益東洞,我が国江戸時代における,所謂“古医方”最大の医家であるが,彼の医学思想については,未だ論究の及んでいない点もあるように思われる。そこでこの東洞の医学思想について,中国古代の医学に鑑み,その万病一毒説を中心に考えてゆきたい。
    そこで先ず,東洞がその万病一毒説の淵源としている『呂氏春秋』「尽数篇」を取り上げ,そこにおける中国医学の基本的な考え方,即ち天地一体の思想を垣間見て,更にそれをその他の中国医学古典において概観してゆく。このような医学思想的観点からの中国医学との対比が,従来の東洞研究に欠けていたのである。
    その結果,東洞がそれらを吸収しその根底に置きつつ,更に弛まぬ医学的実践に基づいて,独自の“漢方医学”を樹立したことが分かる。即ち,彼は中国医学の伝統を守りつつ,敢えて峻剤を用いて病毒を去る,という臨床的姿勢を貫き,かつ生薬1つ1つの薬効の分析に意を注いだのである。彼こそ正に“日本漢方の父”の1人であると言えるであろう。
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東洋医学の広場
  • 加藤 耕平, 及川 哲郎, 多賀 昌樹, 花輪 壽彦
    63 巻 (2012) 1 号 p. 49-56
    公開日: 2012/08/24
    ジャーナル フリー
    管理栄養士養成課程の3年生に対して,漢方医学の教育介入を2日間に分けて計4コマ(1コマ90分)行い,介入前後および5ヵ月後に漢方医学に対する意識変化を調査した。「漢方医学に興味はありますか?」,「今後,栄養学科の授業に漢方医学を取り入れて欲しいと思いますか?」,「管理栄養士として仕事をするために漢方医学を学ぶことは役に立つと思いますか?」という3つの質問に対する回答のスコアは,介入によってそれぞれ好意的な方向へ有意に上昇し,その変化は5ヵ月後まで保たれた。また5ヵ月後において全体の約7割が「漢方医学を身近に感じるようになった」と回答した。一方,漢方医学に対する知識は介入前には乏しく,介入後も十分とは言えなかった。以上の結果から,管理栄養士養成課程の学生に対する漢方医学教育の導入は,漢方医学や漢方薬を身近に感じ,将来仕事をする上で前向きに受け入れる動機付けとなりうることが示唆された。
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  • 飯塚 徳男, 内田 耕一, 坂井田 功, 藤田 悠介, 浜本 義彦, 岡 正朗
    63 巻 (2012) 1 号 p. 57-64
    公開日: 2012/08/24
    ジャーナル フリー
    医学生の意識がどのように漢方医学に対する習熟度と関連するのか解明するために,山口大学医学部医学科4年生94名に対し,講義終了後に筆記テストを施行し,同時に行ったアンケート調査を照合した。成績に男女差はなかった。学士編入で入学した医学生は一般入試の医学生に比し,有意に良い成績を修めた。漢方服用経験や漢方に対する関心の深さと成績は関連しなかったが,漢方服用後の効果を実感した,いわゆる成功体験のある医学生はそうでない医学生に比較し有意に好成績であった。以下,漢方の長所・短所を正確に理解している,学生時あるいは卒後の漢方臨床実習を希望している,医師になって漢方薬を処方したいと答えている医学生はそうでない医学生と比較し,有意に良い成績を修めた。多変量解析にて学士編入学生では6.9倍(オッズ比),漢方服用後の効果を実感した医学生は4.5倍(オッズ比),成績優良に関与することが判明した。以上より,医学生の漢方に対する習熟度を高めるには,単なる知識の詰め込み教育ではなく,成功体験や実習といった実体験こそが必要であると推察された。
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