日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
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63 巻 , 3 号
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総説
  • 大塚 吉則
    63 巻 (2012) 3 号 p. 159-167
    公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    古代中国においては,時の権力者は温泉を憩いの場として利用していた。玄宗皇帝は温泉を引いて宮殿(華清宮)を建てて内部に池を配置し,楊貴妃を伴ってこの地で時を過ごしていた。温泉の効能は古代中国でも知られており,漢の科学者張衡の温泉賦をはじめとして多くの記載が残っているが,漢方医学と直接関連した書物としては,李時珍の本草綱目が有名である。温泉は「温湯」として地水類の一つに数えられており,硫黄の臭いを発する地表からわき出る(沸泉)熱い湯として認識されている。日本においては江戸時代,貝原益軒が養生訓に温泉入浴についての注意事項を記載している。その後,後藤艮山が高温泉に入ることが重要であるとし,彼の弟子香川修徳はその著書一本堂薬選で,温泉入浴方法にまで言及している。温泉療法は「気血水」のすべてに影響を与えており,漢方とともに用いればさらにお互いの効用を増強させうるものと思われる。
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原著
  • 和田 健太朗
    63 巻 (2012) 3 号 p. 168-175
    公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    五苓散は体内の水の偏在を改善させる利水薬として,古くから使用されてきた。透析患者は慢性的な水分代謝異常の状態にある。透析時,生体内では急激な水分代謝の変化を来す結果,除水困難に陥る症例が多く存在する。今回,透析中に除水困難症の一因である筋痙攣を合併した血液透析患者20名に五苓散(5.0g/日)を投与,投与前後で効果を比較した。水滞スコア(前40.9±8.7,後33.2±7.8点),透析中の10%NaCl 液(20mL/本)の週当たり投与量(前2.9±0.6,後1.9±0.6本/週),血中 BNP 濃度(前165.4±48.3,後148.4±39.0pg/mL),収縮期血圧(前90.8±15.0,後100.1±13.5mmHg)は有意に改善した(p <0.01)。これらの改善効果を糖尿病合併の有無に関係なく認めた。本剤は透析中の筋痙攣対策の1つとなる可能性がある。
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論説
  • 寺澤 捷年
    63 巻 (2012) 3 号 p. 176-180
    公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    ここ数年,東アジア伝統医学の領域に重要な問題が起こっている。国際標準化(ISO/TC249)の動きである。これは東アジアの伝統医学を中医学に統一することを意図している。確かに韓国と日本の伝統医学は古代の中国医学を源としているが,それを受容した後に各国で大きな変革を遂げており,現在の中医学とは大きく異なっている。本論文は日本漢方と中医学の相違を疾病の認識法の観点から明らかにした。漢方医学は疾病を構造主義的に認識するが,他方,中医学は五行論などの要素還元論に依っている。漢方医学は方証相対論を基本としており,各々の方剤の性質は腹診を重視する臨床経験による暗黙知として獲得される。その結果,証はこれに対応する最適の方剤名として,たとえば葛根湯証として認識される。これが日本漢方における病名表記である。言い換えると,漢方医学では要素還元論は採用しないのであって,選択された方剤の説明の材料として限定的に用いられる。つまり,両者は哲学的方法論において根本的に異なっており,これを一つの国家の名称を冠した国際標準にすることには同意できないのである。
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報告
  • 松本 毅, 本間 雄二, 山崎 優子, 野田 勝二
    63 巻 (2012) 3 号 p. 181-184
    公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    従来,日本では,灸治療用のモグサの原材料は,国内産のヨモギでまかなわれてきた。しかし,近年,国内のモグサ用ヨモギの納入量が低下したため,中国産ヨモギの輸入量が増加している。もし,将来,国内産の供給が不足すると,日本独自の灸治療が行えなくなる可能性がある。そこで,国内での栽培システムの開発を検討するために,ヨモギの産地の代表である新潟県にて,15種類のヨモギを採集し本学で栽培を行った。本研究は,葉面積を指標とした1次選抜である。その結果,節間長と葉面積から茎長1m 当たりの葉面積を計算すると,最も大きい個体群は3004.6cm2,最も小さい個体群は1134.4cm2であった。モグサの原料はヨモギの乾燥葉を用いることから,単位茎長当たりの葉面積が大きいほど圃場の単位面積当たりの収量が多いと考えられる。したがって今回の調査結果から,モグサ用のヨモギとして最も優れていると思われる個体群が判明した。
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臨床報告
  • 松井 龍吉, 山口 拓也, 小林 祥泰, 長井 篤, 山口 修平
    63 巻 (2012) 3 号 p. 185-190
    公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    低血圧症を伴う慢性心不全の急性増悪症例に対して,五苓散を投与したところ心不全症状の改善と,その後の水分管理が良好に保てた症例を経験した。症例は91歳女性。僧帽弁閉鎖不全,大動脈弁閉鎖不全,心房細動および洞不全症候群によるペースメーカ植込み術を施行され外来にて加療中,しばしば心不全の増悪のため入退院を繰り返していた。全身の浮腫,胸水貯留など,心不全症状の悪化により再入院となるが,血圧は以前から80/50mmHg 前後と低値であり,利尿薬(フロセミド)を少量追加するが,経過中に脳梗塞を合併し,その後も血圧が低く,利尿薬のさらなる追加が難しい状況であった。このためそれまでの内服薬を変更することなく,口渇,尿量減少などを目標に五苓散を追加したところ,血圧に影響を与えることなく,尿量の増加とともに諸症状の改善と胸水の消失が認められた。
    五苓散は代表的な利水剤の1つである。本症例において血圧に影響を与えることなく,利水としての水分調節作用を示したと考えられた。
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  • 盛岡 頼子, 近田 直子, 佐藤 弘
    63 巻 (2012) 3 号 p. 191-195
    公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    六君子湯により,胃腸以外の症状が速やかに改善した4症例を経験した。症例1は42歳女性で目周囲の紅斑があったが,梔子柏皮湯により胃腸障害を起こしたため六君子湯のみ服用したところ紅斑が治癒した。症例2は50歳女性でホットフラッシュに対して加味逍遥散を投与しやや改善したが,夏に悪化し食欲も低下したため六君子湯を併用したところ,ホットフラッシュが軽快した。症例3は70歳女性で変形性膝関節症に対して防已黄耆湯を投与し胃腸障害を起こしたため,六君子湯に変更したところ膝の腫脹や疼痛が軽快した。症例4は55歳女性で蕁麻疹に対して十味敗毒湯,茵蔯五苓散を投与したが,どちらも胃腸障害を起こしたため,六君子湯に変更したところ蕁麻疹が軽快した。様々な症状や疾患において,脾虚がある場合には六君子湯などにより脾胃を整えることが重要と思われた。
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  • 望月 良子, 及川 哲郎, 花輪 壽彦
    63 巻 (2012) 3 号 p. 196-203
    公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    症例1は40歳,女性。美顔器を1度だけ使用した当日から顔面のひりつきを感じるようになった。一日中,皮膚の事が気になり,この半年間,家に引きこもっている。加味帰脾湯を処方したところ10日後には効果を自覚。内服45日目には症状が気にならなくなり外出が可能になった。症例2は36歳,女性。ステロイド外用剤を中止したことによるリバウンドで顔面に激しい炎症を生じた。半年経過しても自覚的な熱感や違和感は全く軽快せず,日常生活に支障がある。抑肝散加陳皮半夏を処方したところ,内服可能で4週後には症状が楽になったと自覚。14週後にはパートを再開するまでに軽快した。慢性顔面痛などの感覚異常に対する漢方治療は現代医学的治療によっても難治であった症例に用いられているため,漢方治療開始までには長期間を要している。開始後は平均約1ヵ月という短期間で何らかの効果発現をしていることから,漢方治療は有効であると考える。
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  • 福田 美絵子, 來村 昌紀, 隅越 誠, 小林 亨, 寺澤 捷年
    63 巻 (2012) 3 号 p. 204-211
    公開日: 2012/10/11
    ジャーナル フリー
    麗澤通気湯は『蘭室秘蔵』収載の方剤で副鼻腔炎との関連が推測できる諸症状を改善する事が知られている。先にわれわれは,本方剤が奏功した常習頭痛,気管支喘息,気管支アミロイドーシスの3症例を報告した。本稿は副鼻腔炎を合併した,月経前症候群,頭痛,食欲不振,手指知覚障害,咳嗽を主訴とした5症例に対し,副鼻腔炎を目標に本方剤を単独,あるいは補助的方剤との併用を行い,本方剤の証を明確にすることを試みた症例の報告である。
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