日本東洋医学雑誌
Online ISSN : 1882-756X
Print ISSN : 0287-4857
検索
OR
閲覧
検索
63 巻 , 4 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
原著
  • 山崎 翼, 佐藤 万代, 矢野 忠, 櫻田 久美, 丹羽 文俊, 今西 二郎
    63 巻 (2012) 4 号 p. 229-237
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
    高齢社会に伴い,認知症予防が重要になってきている。本研究では,鍼治療および生活習慣改善指導による介入が認知機能を向上させるかどうか検討した。
    物忘れが気になる者を対象に,生活習慣の改善指導を行う生活習慣改善群(20名)と,それに鍼治療・経皮的経穴通電刺激(TEAS)を併用する鍼治療併用群(20名)に分け,12週間の介入を行った。その結果,生活習慣改善群と鍼治療併用群を合わせた全体の介入前後の結果では,Mini Mental State Examination (MMSE),ウェクスラー記憶力テスト(WMS-R)のいくつかの項目,睡眠時間,アクティグラフィによる測定での睡眠効率で有意な上昇がみられた。2群を分けて解析すると,MMSE および睡眠効率では,鍼治療併用群でのみ有意差がみられた。また,T 細胞系とくにヘルパーT 細胞の減少,B 細胞の増加,NK 細胞の増加,NK 活性の増強が認められた。以上の結果から,生活習慣の改善に鍼治療を併用することで,認知機能の向上を促し,認知症の予防に資する可能性が示唆された。
    抄録全体を表示
報告
  • 小池 宙, 吉野 雄大, 松本 紘太郎, 竹原 朋宏, 竹本 治, 松浦 恵子, 渡辺 賢治
    63 巻 (2012) 4 号 p. 238-244
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
    近年,気候変動や生薬輸出国の経済発展により生薬の供給は不安定になりつつある。本稿では,生薬原料の国内生産の増加・自給率向上を目的に,需要が減少傾向にある葉タバコから生薬原料への転作の可能性について検討した。まず,転作をすすめる生薬原料として需要・品質・価格面を考慮し,当帰と柴胡を選定した。次に,これら生薬原料と葉タバコの国内生産について収益性等を比較した。当帰の収益性は葉タバコよりも低かったが,転作奨励金等で収益を補えば葉タバコからの転作が促されると考えられた。具体的には,年間3,500万円の転作奨励金により当帰の自給率は10割にまで上がるという試算結果となった。一方,柴胡の収益性は葉タバコを上回っていたが,国産品の販売価格は輸入品の約3倍であり,薬価よりも高く,生産補助金で価格競争力を補う必要があると考えられた。具体的には,年間6.6億円の生産補助金で柴胡の自給率は5割に上がるとの試算結果となった。
    抄録全体を表示
臨床報告
  • 堀場 裕子, 松浦 恵子, 渡辺 賢治
    63 巻 (2012) 4 号 p. 245-250
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
    更年期男性の不定愁訴に対して白虎加人参湯が有効であった2例を報告する。更年期男性に出現する様々な不定愁訴に対して,男性にも更年期障害が存在することが1939年に米国で報告された。その後,加齢男性性腺機能低下症候群(以下 LOH 症候群)という言葉が採用され,そのガイドラインが作成された。2症例とも更年期男性であり鑑別診断として LOH 症候群が挙げられたため,その診断基準のひとつであるAMS スコア(Aging Males Symp toms rating scale)を行った。症例1は48歳男性。主訴は連日続く頭痛で,鎮痛剤を多用していた。初診時の AMS スコアは85点中27点であり,軽度の LOH 症候群も疑われた。症例2は48歳男性。主訴は一日に頻繁に起こるほてりであった。AMS スコアは42点であり,中等度の LOH 症候群が疑われた。
    更年期男性の不定愁訴は男性ホルモンの低下により生じると考えられ,その治療にはアンドロゲン補充療法や漢方薬などが用いられる。漢方薬としては八味地黄丸や加味逍遥散などが用いられることが多いが,今回の2症例は問診から口渇と多飲があったため白虎加人参湯を投与し著効を得た。
    抄録全体を表示
  • 中江 啓晴, 熊谷 由紀絵, 小菅 孝明
    63 巻 (2012) 4 号 p. 251-254
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
    【緒言】重症筋無力症ではベンゾジアゼピン系睡眠薬は中枢性の呼吸抑制のため使用禁忌となっており,不眠治療には難渋することが多い。【症例】患者は67歳女性,主訴は不眠。X 年12月に重症筋無力症を発症,プレドニゾロン大量内服,血漿交換療法を施行し寛解状態となった。X+2年1月から不眠症が出現した。X+2年4月から充実した腹力,胸脇苦満をもとに柴胡加竜骨牡蠣湯エキスを開始したところ,内服直後から快適に眠れるようになった。【考察】本例では柴胡加竜骨牡蠣湯の原典に記載されている煩驚,讝語などの精神症状を認めなかったが,腹診所見を重視して治療を行い不眠症が改善した。重症筋無力症患者の不眠症に対して柴胡加竜骨牡蠣湯が有効であったとする報告はなく,本症例は貴重と考えた。【結語】柴胡加竜骨牡蠣湯は重症筋無力症患者の不眠症に対する治療選択肢の一つとなりうる。
    抄録全体を表示
  • 尾崎 正時
    63 巻 (2012) 4 号 p. 255-260
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
    骨盤部の放射線治療中には,下痢を来すことが多い。重篤な場合は一日十数回の水様便となる。当施設では,放射線照射による下痢を水毒による泄瀉と考え,五苓散エキス製剤で治療している。その治療効果を,前立腺癌根治照射例で検討した。2008年1月から2010年12月までの3年間に当施設で根治的放射線治療を完遂しえた前立腺癌患者28例を検討対象とした。予防的全骨盤照射を行った高リスク群は18例,予防的小骨盤照射を行った中等度リスク群は8例,予防的骨盤照射を行わなかった低リスク群は2例であった。全骨盤照射例18例中15例(83.3%),小骨盤照射例8例中5例(62.5%),計20例に下痢を認めた。五苓散エキス通常使用量で20例中18例(90%)で症状の消失・改善を認めた。常用量で効果の無かった2例では,五苓散エキス倍量で症状改善を認めた。五苓散は,放射線照射による下痢に対して有効であった。
    抄録全体を表示
  • 福田 秀彦, 渡辺 哲郎, 長坂 和彦
    63 巻 (2012) 4 号 p. 261-265
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
    慢性閉塞性肺疾患(Chronic Obstructive Pulmonary Disease,以下 COPD)および間質性肺炎の3症例に対して胃もたれ,下痢を目標として人参湯を投与した。目標とした胃もたれ,下痢は速やかに改善した。さらに咳や痰が著明に減少あるいは消失した。そのほか3症例に共通していた事は心下痞鞕と心下部の冷え(以下「心下冷」)を認めることであった。これまで人参湯は消化器症状に用いられることが多かったが呼吸器症状にも用いられるべき処方であると考えられた。
    抄録全体を表示
論説
  • 堂井 美里, 御影 雅幸
    63 巻 (2012) 4 号 p. 266-274
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
    漢方生薬「生姜」および「乾姜」の修治(加工)法は中国と日本で異なっているが,その理由は明確ではない。本研究では,両生薬の修治法の歴史的変遷を調査した結果,中国では後漢末期からショウガの新鮮根茎を生姜としてきたことが明らかになった。一方,日本でも新鮮根茎を生姜としてきたが,明治時代に日本薬局方に収載する際に,乾燥根茎を充てたことが明らかになった。また,中国では,地域により乾姜の調製法が異なっており,古い時代には「流水に浸した後,一度乾燥させ,陶磁器内で醸したもの」を熱性が強い乾姜としていたが,清代中期には温性の乾燥根茎のみを使用するようになったと考察した。さらに,日本では「蒸した後,石灰を用いて乾燥させたもの」を独自に乾姜としていたが,李時珍が白色のものが良品と記したことから,石灰をまぶして白くしたものを薬舗で売り出し,その是非から明治時代以降,石灰を使用しない方法に代わったと判断した。
    抄録全体を表示
東洋医学の広場
  • 高山 真, 岩崎 鋼, 渡部 正司, 神谷 哲治, 平野 篤, 松田 綾音, 沼田 健裕, 楠山 寛子, 沖津 玲奈, 菊地 章子, 関 隆 ...
    63 巻 (2012) 4 号 p. 275-282
    公開日: 2013/02/13
    ジャーナル フリー
    古くからヨーロッパでは自然療法を取り入れて健康を保つ方法が一般的に行なわれてきており,特にドイツでは統合医療に補完・代替医療が積極的に導入されている。ドイツでも有名な4つの施設,ミュンヘン大学麻酔科ペインクリニック,TCM Klinik Bad Ko¨tzting, Immamuel Krankenhaus, ZenHaus Klinik を視察し統合医療の現状を報告する。各施設では,慢性疼痛に対する4週間プログラム,中国伝統医学中心の治療,自然療法主体の治療,日本伝統医学にアロマテラピーを加えた治療など,各々の施設で特徴的な治療方法が行なわれていた。ドイツでは多くの病院,クリニックで補完・代替医療が盛んに行なわれているが,その広がりの一つにドイツにおける医療保険制度が挙げられる。公的保険では治療の一部,プライベート保険では広い範囲で補完・代替医療に対する保険償還が行なわれる。歴史的背景に加え,このような制度も統合医療の広がりに影響を与えていると考える。
    抄録全体を表示
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top