日本東洋医学雑誌
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63 巻 , 6 号
選択された号の論文の8件中1~8を表示しています
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総説
  • 宮崎 忠昭
    63 巻 (2012) 6 号 p. 363-368
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
    インフルエンザは,高熱,頭痛,筋肉痛,腹痛,および下痢等の症状を伴う感染症であり,罹患者の症状が重篤化した場合,急性脳症や肺炎などにより死亡することもある。その原因となるインフルエンザウイルスに対しては,抗ウイルス作用を有するインターフェロンが生体防御に重要な役割を担う。我々は,ウイルスのRNAポリメラーゼが,このインターフェロンの発現誘導を阻害していることを見出した。さらに,ポリメラーゼにはSiva-1というアポトーシス誘導分子が会合し,ウイルス増殖および宿主細胞のアポトーシス誘導に働くことを明らかにした。これらの分子はインフルエンザの病態形成,およびウイルス増殖に重要であることが示唆される。
    最近,我々は銀翹解毒散および麻黄湯エキスにウイルスの増殖抑制効果があることを示した。そこで,現在,有機溶媒によりこれら成分を分画し,HPLC システムにより抗ウイルス活性物質の単離を進めている。
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臨床報告
  • 西内 崇将, 奥谷 雄一, 山岸 善文, 藤田 俊和, 清水 輝記, 清水 寛
    63 巻 (2012) 6 号 p. 369-377
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
    症例は84歳の女性で,横行結腸と肝臓へ直接浸潤した切除不能進行胆道癌である。本例はgemcitabine(GEM)単剤による化学療法を施行した。同時に東洋医学的所見として気血両虚の状態であったため,十全大補湯を化学療法開始の段階から併用した。その結果,3コース後の腹部造影CT/腹部エコーでは完全寛解(CR)と言える著明な腫瘍縮小効果を認めた。切除不能胆道癌に対する化学療法として腫瘍の消失にまで至ることは極めて稀であり,これまでに同様の報告はない。ここに文献的考察を加えて報告する。
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  • 松井 龍吉, 山口 拓也, 小林 祥泰, 長井 篤, 山口 修平
    63 巻 (2012) 6 号 p. 378-383
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
    幽門狭窄症により,嘔吐症を繰り返す症例に対し五苓散を投与したところ,症状の改善とこの時合併していたうっ血性心不全の著明な改善を認めた症例を経験したので報告する。
    症例は78歳女性。脳梗塞後遺症などにて寝たきりの状態にあり,経鼻経管栄養が行われていた。しばしば反復性の嘔吐を生じ,これによると考えられる肺炎を繰り返していた。反復する嘔吐症状について精査を行ったところ,幽門部に瘢痕性狭窄が見られ,内視鏡的にバルーンによる拡張術を行った。しかし症状の改善は見られず,その後心不全の悪化も見られた。このため五苓散を投与したところ,狭窄性病変に変化はなかったが,嘔吐症状は見られなくなり,心不全症状も改善した。五苓散は急性疾患において利水作用を示す方剤とされ,消化管での水分吸収などを是正する作用を持つとされている。本症例においても五苓散が諸症状の改善に有効であったと考えられた。
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  • 山本 昇吾, 藤東 祥子
    63 巻 (2012) 6 号 p. 384-394
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
    [目的]原因不明の慢性炎症性眼疾患であるベーチェット病のぶどう膜炎に対する30年間の診療経験をもとに,本疾患に対する漢方治療の意義について考察する。
    [症例]過去30年間で漢方治療を求めて受診したベーチェット病のぶどう膜炎症例24例について検討した。
    [結果]24例中11例は数ヵ月以内で通院しなくなり,十分な治療はできなかった。また,2例は患者の理解が十分に得られず転医を勧めた。しかし,11例は長期にわたって治療を行うことができ,3例を除いて,ほぼ正常の視力に回復し漢方治療の効果を確認できた。
    [考察]ベーチェット病のぶどう膜炎に対して継続的に漢方治療を行うことで再燃を抑えることができる可能性が示唆された。経過が順調であっても種々の誘因によって再燃することもあるが,廃薬にまで持って行ける可能性も大いにあることもわかった。ただし,現在までの経験から漢方治療の効果の確認には10年以上経過を観察することが必要であると思われる。
    [結語]漢方治療はベーチェット病のぶどう膜炎の再燃防止に有効である。
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  • 西田 欣広, 唐木田 真也, 楢原 久司, 織部 和宏
    63 巻 (2012) 6 号 p. 395-400
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
    明朗飲は苓桂朮甘湯加車前子,細辛,黄連の構成からなり,和田東郭が原典とされている。もともと眼科疾患に応用されてきた処方である。今回,産褥期に視野異常を認めた漿液性網膜剥離に明朗飲加菊花が奏効した一例を経験したので報告する。
    症例:症例は34歳,女性。妊娠中より当院で健診をうけていたが妊娠35週ころより耳鳴りが出現していた。妊娠36週に血圧が140/100mmHgと上昇し,重症妊娠高血圧症候群と診断され入院となった。入院後,血圧190/120mmHg となり緊急帝王切開術を施行された。産褥(術後)2日目より眼前が黄色くなり,視力低下が出現し,眼科学的診察により高血圧性網膜症および漿液性網膜剥離(両側)と診断された。点眼治療は気分不良のため中止した。1週間後より漢方治療を希望されたため明朗飲加菊花を処方したところ2週間で耳鳴りは消失した。4週間後の診察で網膜剥離も治癒,視野の異常も軽快した。点眼治療が困難な症例に漢方治療も選択肢になる可能性が示唆された。
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  • 阿南 栄一朗, 阿南 まどか, 織部 和宏
    63 巻 (2012) 6 号 p. 401-406
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
    肺炎による慢性閉塞性肺疾患(COPD)増悪があり,抗菌薬投与を行ったものの薬疹を起こし,充分な加療をできず治療が難渋した症例に柴胡桂枝湯を投与し改善した1例を経験した。症例は86歳,女性。発熱のため当院を受診。胸部X 線写真,胸部CT スキャン画像にて肺炎を認めたため入院となった。抗菌薬加療を行うものの投与後に薬疹を発症するため充分な投与ができなかった。そこで,柴胡桂枝湯を投与したところ,肺炎像の軽快および,呼吸状態,発熱,せん妄,食欲不振といった全身症状の改善を認めた。柴胡桂枝湯は,抗炎症,免疫調節,抗精神作用など多面的な作用があるとされている。急性期の細菌性肺炎の加療は,抗菌薬投与が最も大切である。しかし,抗菌薬投与が困難となる時,漢方は,患者の病態改善,症状緩和につながると思われる。呼吸器分野での急性期治療で,漢方を投与し詳細な経過の得られた症例は少ないため報告した。
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論説
  • 鈴木 達彦, 遠藤 次郎
    63 巻 (2012) 6 号 p. 407-416
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
    東洋医学においては,外から病原が入ってくると体の内部の精気である内精と外邪とが互いに争いを起こし,内精の虚に乗じて病気になると考えられている。一方で,漢方の主要な原典である『傷寒論』では,寒邪や風邪,温邪といった外因性の病邪による病を中心にしている。著者らは『傷寒論』,『金匱要略』,『素問』や『霊枢』などの医書における外感と内傷の意義について検討し,以下の結果を得た。初源的な外感内傷論においては,外感は規則的な外界の四時正気によるもので,内傷は四時の法則に反した体内の不規則的な気の動きを意味し,そこに対立が生まれて病気になる。独立して内傷による病を扱うようになるのは後世になってからであり,初源的な外感内傷論は外界との交流を重視した神仙流の立場に近く,それに続いて,外感と内傷の対立の関係が多岐にとられ,各々で多義を生じていったと考えられる。
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東洋医学の広場
  • 松岡 尚則, 栗林 秀樹, 別府 正志, 山口 秀敏, 中田 英之, 阿南 多美恵, 笛木 司, 頼 建守, 板倉 英俊, 田中 耕一郎, ...
    63 巻 (2012) 6 号 p. 417-427
    公開日: 2013/07/19
    ジャーナル フリー
    並河天民は『傷寒論』を重要視し,その弟子たちに張仲景方の重要性を唱えていた。天民の師のひとりである有馬凉及は,まだ古方が流布する前の時代に,天皇に対し衆議を経ずに“承気湯”を奉じていた。承気湯は張仲景の医書に由来する処方である。松原一閑斎の弟子である合田求吾の『医道聞書』に「此古方ノ起リハ有馬良牛ト云者天下ノ英雄ニテ後西院ノ違勅ヲ蒙リシ程ノ人ナリ。ソレヨリ天民ニ伝ヘラレタリ。」とあることから有馬凉及は並河天民に『傷寒論』を重要視させた師の一人であることが判明した。
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