目的:当帰芍薬散と加味逍遙散が有効な冷えのタイプを検討した。
研究デザイン:後ろ向きコホート研究。
対象と方法:冷えを主訴とし,随証治療にて当帰芍薬散エキスまたは加味逍遙散エキスを1ヵ月以上投与した患者188名を対象とした。初診時にデータ登録された随伴症状や体質傾向など多岐にわたる62項目から,クロス表分析により冷えの治療効果(頻度および程度の改善)と関連の高い項目を選出し,さらに多変量解析により治療効果予測の最適モデルを解析した。
結果:当帰芍薬散の有効な冷えは,腹部の冷え(オッズ比5.0),めまい(7.7),目のかすみ(16),のぼせ(5.6)を訴え,怒りっぽさ(0.11)や耳鳴のない(0.025)場合であった(p <0.001)。一方,加味逍遙散では全身の冷えはなく(0.099),発作性発汗があり(14),立ちくらみのない(0.21)ことが最適な効果予測因子となった(p <0.001)。加味逍遙散では四肢(AIC -8.64),特に,足の冷え(-2.23)と関連があった。
結論:当帰芍薬散は腹部の冷え,加味逍遙散は全身の冷えがない場合に,四肢,特に足の冷えに有効だった。
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