日本東洋医学雑誌
検索
OR
閲覧
検索
65 巻 , 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
原著
  • 鈴木 達彦, 今村 由紀, 平崎 能郎, 並木 隆雄
    65 巻 (2014) 3 号 p. 167-179
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    日本漢方の特色の一つに,臨床における腹診の活用を挙げられる。これまで多くの漢方医学書が腹診についての所見を述べてきたが,それらの文献同士を比較検討の上での統一された見解が構築されているとは言い難い。本研究では昭和期以降の漢方医学書を用いて医療用エキス製剤147処方の腹診所見について検討した。その結果,同一処方の腹診所見を抽出しても,文献を記した著者の見解は様々であった。さらに,後世方に含まれる安中散と香蘇散に注目し検討したところ,これらの腹診所見は出典元の中国書から引用ではなく,我が国で経験的に蓄積されていったと考えられた。こうした経験知の過程において,流派のような限られた交流や特定の著書が参考にされることにより,腹診所見の相違が形成されたと考えられる。腹診所見についての見解が統一されることにより,伝統医学の有用性に関する研究は進展し,我が国の漢方医学の独自性をもたらすと考えられる。
    抄録全体を表示
  • 杵渕 彰, 小曽戸 洋, 木村 容子, 藤井 泰志, 稲木 一元, 永尾 幸, 近藤 亨子, 山崎 麻由子, 田中 博幸, 加藤 香里, 佐 ...
    65 巻 (2014) 3 号 p. 180-184
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    今回,我々は,抑肝散の原典について『薛氏医案』を中心に検討した。抑肝散の記載は,薛己の著書では『保嬰金鏡録』(1550年)にみられ,また,薛己の校訂した文献では,銭乙の『小児薬証直訣』(1551年),薛鎧の『保嬰撮要』(1556年)および陳文仲の『小児痘疹方論』(1550年)に認められた。『保嬰金鏡録』および『小児痘疹方論』には,「愚製」と記述されていた。一方,熊宗立の『類証小児痘疹方論』には「愚製」の記載がなく,また,薛己校訂以外の『小児薬証直訣』には抑肝散の記載は認められないため,抑肝散は薛己の創方である可能性が高いと考えられた。これまで,抑肝散の原典は薛鎧の『保嬰撮要』とされていたが,今回,「愚製」の表現に着目して古典を検討したところ,薛己の父である薛鎧ではなく,薛己の創方であり,原典は薛己の『保嬰金鏡録』であると考えられた。
    抄録全体を表示
臨床報告
  • 原田 佳尚
    65 巻 (2014) 3 号 p. 185-190
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    六君子湯により経鼻胃管から胃内溶液の逆流が短期間で改善した脳卒中急性期の3症例を経験した。
    症例1は63歳,女性で右小脳出血の患者である。開頭血腫除去術を施行した。術後に経鼻胃管から650ml におよぶ胃内溶液の逆流を認めた。六君子湯を投与したところ4日目に10ml まで減少した。
    症例2は44歳,男性でクモ膜下出血の患者である。術前に再破裂し意識レベルが低下した。前交通動脈瘤に対して血管内コイル塞栓術と両側脳室外ドレナージ術を施行した。数日後に経鼻胃管から550ml の胃内溶液の逆流があり六君子湯を開始した。3日目には経管栄養の逆流はほぼなくなった。
    症例3は72歳,男性で転移性脳腫瘍術後に脳出血をきたした患者である。脳出血は保存的治療とした。経鼻胃管から200ml の胃内溶液の逆流を認めた。六君子湯を投与し3日目には10ml まで減少した。
    脳卒中急性期において経鼻胃管からの逆流が顕著な場合,六君子湯投与が有効である可能性が示唆された。
    抄録全体を表示
  • 五野 由佳理, 堀田 広満, 奥富 俊之, 及川 哲郎, 花輪 壽彦
    65 巻 (2014) 3 号 p. 191-196
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    14歳女児。乳幼児期より扁桃炎疑いにて入退院を繰り返し,月1回の頻度で1週間ほど続く反復性発熱が出現するようになった。学童期になると頸部リンパ節腫脹を伴う反復性発熱が頻発するようになったが,血液検査上は軽度炎症反応を認めるのみであった。不明熱と診断され,解熱剤が頻用されていた周期性発熱症候群の症例と考えられた。漢方医学的には,腹診および背診より肝経の緊張と捉え抑肝散エキスを処方したところ奏効し,約3ヵ月後より発熱を認めなくなった。過去の不明熱に対する処方のほとんどは柴胡剤や補剤であり,古典には抑肝散も不明熱に用いられると記載されているものの実際の臨床報告はない。今回,抑肝散が発熱の契機となるストレスに関与したか,免疫系のサイトカインの調節に何らかの作用を及ぼしたのではないかと推測される。
    抄録全体を表示
  • 寺澤 捷年, 横山 浩一, 小林 亨, 隅越 誠, 地野 充時
    65 巻 (2014) 3 号 p. 197-201
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    先に筆者は『傷寒論』柴胡桂枝湯の条文にある「心下支結」が,中脘の圧痛を示唆するとの仮説を呈示したが,これを確かなものとするために,①頭痛,②心窩部痛,頭痛,③下痢と軟便,④腸管ベーチェットに伴う摂食不良を各々主訴とする患者において,中脘の圧痛を唯一の腹候の根拠として柴胡桂枝湯を投与し,良好な結果を得た。中脘の圧痛を認め,虚寒証ではなく,上熱下寒の傾向のあるものにおいて,この圧痛点が柴胡桂枝湯証と密接に関連する兆候であることが強く示唆された。
    抄録全体を表示
  • 北原 英幸, 野上 達也, 三澤 広貴, 荒井 紗由梨, 海老澤 茂, 渡り 英俊, 藤本 誠, 藤永 洋, 引網 宏彰, 高橋 宏三, 柴 ...
    65 巻 (2014) 3 号 p. 202-209
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(AIP)による閉塞性黄疸に茵蔯蒿湯を使用した2症例を経験したので報告する。症例1は38歳男性。Mikulicz 病の治療終了後,閉塞性黄疸を発症した。血清IgG4高値と画像所見からAIP と診断した。T-Bil値は20mg/dL 以上で推移し,プレドニゾロン(PSL),ウルソデオキシコール酸(UDCA)の内服,ビリルビン吸着療法で改善せず,茵蔯蒿湯を投与したところ,T-Bil 値は3mg/dL 台へ速やかに低下した。症例2は77歳男性。瘙痒感,便秘が出現し,血液検査にて閉塞性黄疸の所見であった。画像所見でAIP が示唆されたが,十二指腸乳頭生検でも確定診断に至らなかった。茵蔯蒿湯の投与後,1週間後に瘙痒感,便秘がほぼ消失した。しかし1ヵ月後に症状が再燃し,膵生検にてAIP と確定診断し,PSL 投与を開始した。以上より,AIP による閉塞性黄疸の症状改善目的に茵蔯蒿湯は応用可能と考える。
    抄録全体を表示
  • 吉田 未央, 竹田 眞
    65 巻 (2014) 3 号 p. 210-213
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    症例は86歳女性。3年間に3回,腸閉塞を認めない嘔吐,腹満,腹痛,便秘で来院し,外来や短期入院の内科的治療で軽快した。経過中2回の大腸内視鏡検査で閉塞機転は見られなかった。2012年3月に同様の症状で再来となり,腹部単純レントゲン検査(以下X-p),腹部骨盤部CT 検査(以下CT)で著明な腸管内ガスと,直腸から S 状結腸の腸管拡張や多量の便を認めた。
    便秘薬の処方で症状所見に変化は見られず,八味丸を追加投与したところ,9病日に多量の排便が見られ腹満も軽快した。経過中に減量で便秘腹満便秘が再発したが,元の量に戻し,その後は排便コントロール良好である。
    抄録全体を表示
  • 前田 ひろみ, 伊藤 ゆい, 上田 晃三, 吉村 彰人, 土倉 潤一郎, 岩永 淳, 矢野 博美, 犬塚 央, 益田 龍彦, 山口 昌俊, ...
    65 巻 (2014) 3 号 p. 214-218
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    症例は56歳男性。12年前より下痢・心窩部不快感・腹部膨満感を認め,過敏性腸症候群の診断で多施設にて西洋医学的加療を受けたが,改善を認めず,5年前より漢方治療を開始した。しかし漢方方剤を服用しても数日で腹部膨満感が増悪するため服薬困難であり,処方変更の度に同様のことを繰り返したため,入院加療の方針となった。腹が張る・ガスがたまるなどの持続的な腹部膨満感を認めると共に,日に数回,急激に腹が張るような,発作的な腹部膨満感が出現するため,発作的な腹部膨満感を奔豚気ととらえ苓桂甘棗湯を処方開始した。入院後速やかに発作的腹部膨満感は消失した。入院12日目に臍周囲に他覚的冷感を認め,苓桂甘棗湯の類方で寒を散じ痛みを止める良姜の加わった良枳湯に転方したところ,持続的な腹部膨満感も消失し,入院24日目に退院した。良枳湯は原典では塊痛右にあるものを治すとあるが,必ずしも右季肋部の症状を伴わずとも,奔豚気に冷えを伴う症例に良枳湯が有効である可能性が考えられる。
    抄録全体を表示
  • 篁 武郎
    65 巻 (2014) 3 号 p. 219-223
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    7才男児。左三叉神経第Ⅰ枝領域の帯状疱疹に続発したtrigeminal trophic syndrome に六味丸エキスと酸棗仁湯エキスの兼用が有効であった。肝腎陰虚を起源とする肝陽上亢および肝風に対して,補腎陰,清熱除煩作用が有効であったと考察した。
    抄録全体を表示
調査報告
  • 王子 剛, 並木 隆雄, 三谷 和男, 植田 圭吾, 中口 俊哉, 貝沼 茂三郎, 柴原 直利, 三潴 忠道, 小田口 浩, 渡辺 賢治, ...
    65 巻 (2014) 3 号 p. 224-230
    公開日: 2014/11/26
    ジャーナル フリー
    漢方医学では舌の色や形状を観察する舌診が患者の体質や病状を知る重要な手掛かりになると考えている。我が国において,舌診に関する書籍が複数発行されているが,記載内容が不統一で臨床的な舌診所見の標準的な記載方法はまだ確立してない。舌診の研究および学生への漢方教育において標準的な舌診臨床所見は必要である。そこで舌診の日本の文献(計12文献)を用いて,色調や形態の記載について比較検討した。その結果を用いて舌診に習熟した多施設の漢方専門医のコンセンサスを得た上で,舌診臨床診断記載の作成に至った。作成にあたり,実際臨床において短時間で観察し得る舌所見を捉える事と初学者でも理解し易いよう,微細な所見の違いよりも確実に捉えやすい舌診所見に重点を置いた所見記載とした。
    抄録全体を表示
論説
    • |<
    • <
    • 1
    • >
    • >|
feedback
Top