日本東洋医学雑誌
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67 巻 , 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
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原著
  • 寺澤 捷年
    67 巻 (2016) 1 号 p. 1-12
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    漢方医学において腹部の触診は非常に重要である。なぜならばある種の腹部徴候は特定の方剤群を指示するからである。最近,著者は心下痞鞕と背部兪穴の硬結が緊密に関連していることを見出した。また,28症例の検討によって,この旁脊柱筋の硬結を鍼によって緩めると心下痞鞕が即座に解消されることを明らかにした。この新知見は二つの事実を示唆している。則ち何等かの共通の要因が心窩部と背部兪穴に同時的に徴候を現していること,及び上部消化管からの迷走神経の痛覚求心性信号が背部兪穴からの求心性信号によって視床への投射が遮断されることである。すなわち心下痞鞕という腹部徴候が出現する背景には迷走神経・交感神経反射系の存在が示唆された。この知見は漢方と鍼灸のパラダイムの相違を乗り越えたものであり,今後の伝統医学の在り方に発想の転換を求めるものである。
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  • 寺澤 捷年
    67 巻 (2016) 1 号 p. 13-21
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    筆者は先に心下痞鞕と背部兪穴の関連を報告したところである。この報告において旁脊柱筋の硬結への施術によって心下痞鞕は消失するが,胸脇苦満は消失しないことを記した。そこで筆者は,改めて胸脇苦満と関連する背部諸筋の硬結を探索し,棘下筋の硬結が胸脇苦満と密接に関連することを発見した。またこの棘下筋硬結への施術が吃逆を改善することも見出した。棘下筋の硬結は肩こりなどでも現れるがその中に胸脇苦満と同時にあらわれるものがあることを明らかにした。本論文は棘下筋の硬結を手がかりに胸脇苦満が横隔膜の異常緊張と関連したものであることを具体的な2症例および15症例を基にその病態生理学的背景を明らかにしようと意図したものである。
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基礎報告
  • 髙橋 護, 谷 万喜子, 鈴木 俊明
    67 巻 (2016) 1 号 p. 22-27
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    【背景】我々は集毛鍼刺激を用いた鍼治療で臨床的効果を得ているが,その神経生理学的機序は明らかでない。 今回,2分間の集毛鍼刺激が筋緊張に与える影響を検討するために H 波を用いて検討した。
    【方法】健常者18名を対象とした。集毛鍼刺激前後に脛骨神経刺激によるヒラメ筋 H 波を導出した。集毛鍼刺激はアキレス腱付着部に2分間刺激した。得られた波形から振幅 H/M 比を算出し,集毛鍼刺激前後で比較した。
    【結果】振幅 H/M 比は,安静時と比較して刺激中に有意な低下を認めた(p < 0.05)。全員が安静時と比較して集毛鍼刺激中にヒラメ筋振幅 H/M 比の低下を示した。
    【考察】集毛鍼刺激は抑制性介在ニューロンを興奮させ前角細胞の興奮性を低下させたことが考えられた。集毛鍼刺激は筋弛緩を誘導ができる可能性が考えられた。
    【結論】アキレス腱付着部への2分間の集毛鍼刺激はヒラメ筋に対応する脊髄神経機構に刺激中に抑制効果をもたらすことが示唆された。
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臨床報告
  • 高久 俊, 大薗 英一, 高久 千鶴乃, 平馬 直樹, 高橋 秀実
    67 巻 (2016) 1 号 p. 28-33
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    慢性腎臓病で血液透析療法中の患者に合併した手根管症候群の随伴症状の緩和に五積散が有用であった3例について報告する。症例1は77歳女性。主訴は夜間就寝後の両腕痛による睡眠障害。症例2は66歳女性。主訴は夜間就寝後の右上下肢の電撃痛による睡眠障害。両症例ともに手根管症候群に対して複数回の手術歴があるが,その後も症状緩和のため定期的に手根管部へのステロイド局注を必要としていた。症例3は54歳男性。主訴は左手指先の痺れ。手根管症候群手術により同症状は一旦消失していたが再燃。3症例いずれも乏尿無尿の透析患者であるため体内に湿が蓄積されやすい状態にあること,また温めることにより症状の若干の改善をみたことから寒と湿が病態形成に関与していると考え五積散を処方したところ,速やかに自覚症状の改善が認められた。以上の結果は,寒湿の存在に注目した手根管症候群に対する漢方治療の有効性を示唆するものと思われた。
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  • 村井 政史, 伊林 由美子, 堀 雄, 森 康明, 古明地 克英, 八重樫 稔, 今井 純生, 大塚 吉則, 本間 行彦
    67 巻 (2016) 1 号 p. 34-37
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    症例は48歳の女性で,高層ビルで勤務中に地震が発生してビルが大きく揺れ,その後から動揺性めまい感が出現するようになった。陰証で虚証と考え真武湯で治療を開始したところ,動揺性めまい感は改善した。ところで,この患者の職場は入退室管理に指静脈認証によるセキュリティシステムを導入しており,当院を受診する前までは認証エラーが多かったのが,真武湯を服用するようになってからは調子よく認証されるようになった。静脈認証エラーの原因の一つに,冷えで血管が収縮して血流が低下し,血管パターンが変化することが知られている。そのような血流が低下した状態を,陰証の方剤で温めることによって解消し得ると思われた。
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  • 金子 貴子, 及川 哲郎, 堀川 朋恵, 有島 武志, 望月 良子, 奥富 俊之, 花輪 壽彦
    67 巻 (2016) 1 号 p. 38-44
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    七物降下湯は四物湯に釣藤鈎と黄耆,黄柏を加えた処方であり,通常は高血圧,眼底出血,頭痛などに用いることが多い。今回我々は,高血圧・下肢の皮膚乾燥を伴う慢性の皮疹に対し,七物降下湯が有効だった3症例を経験したので報告する。症例1は67歳男性で主訴は前胸部の痒みと発疹であったが,体幹の皮疹とは別に下肢の皮膚の乾燥,瘙痒感を認め,高血圧も認めた。症例2は59歳男性で体幹,上下肢の発疹と痒みがあり,拡張期高血圧,免疫抑制剤の副作用による腎機能低下を認めた。症例3は64歳男性で上半身の痒みが主訴で,皮膚の乾燥傾向と血圧の正常高値での変動を認めた。いずれも七物降下湯で皮膚所見と血圧の改善がみられた。 七物降下湯は,高血圧・下肢の乾燥性の皮膚病変を伴う皮疹に有効であり,皮膚病変により広く使用を検討する価値がある。
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  • 穂積 桜, 星野 卓之, 及川 哲郎, 花輪 壽彦
    67 巻 (2016) 1 号 p. 45-49
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    良枳湯は右上腹部痛を目標に処方されてきた方剤であるが,使用目標についてひとつの施設で複数の症例を検討した報告は少ない。今回,10年間の当研究所における良枳湯処方例を後方視的に,症例提示や過去の症例報告との比較を含めて検討した。当研究所で良枳湯が処方された21例中,有効と判断されたのは11例であった。そのうち,10例が右上腹部痛を有していた。また11例中7例において,腹部膨満感を訴える症例が認められた。今回の検討結果から,良枳湯は多くの有効症例において右上腹部痛を目標に処方されており,右上腹部痛は本方の妥当な投与目標と考えられた。その一方で,腹部膨満感を訴える症例も多く認められたことから,本法の投与目標のひとつとなりうる可能性が示唆された。
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  • 濱口 卓也, 吉野 鉄大, 堀場 裕子, 吉田 祐文, 渡辺 賢治
    67 巻 (2016) 1 号 p. 50-53
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    疼痛に対しては局所の瘀血に注目し,駆瘀血剤が用いられることが多い。今回,上腕骨外側上顆炎に起因する疼痛に対して,気うつに注目し,烏薬順気散加減が奏効した一例を経験したので報告する。症例は48歳女性,右肘を打撲後,疼痛が持続したため当院整形外科を受診し,上腕骨外側上顆炎と診断された。整形外科で10ヵ月間の保存療法が行われたが疼痛の改善が得られず,漢方治療を希望して当科を初診した。気分が憂鬱になる,身体が重たく感じる,月経が不順であるといった気うつに関連した症状が主で,鬱々とした話し方や表情が見られ,烏薬順気散加減の内服を開始した。1ヵ月後,首や肩の張りは消失し,痛みが軽減した。2ヵ月後,MRI で病変の改善を認めた。9ヵ月後,月経が規則的になり,11ヵ月後,痛みをほぼ感じることなく日常生活を送れるようになった。長引く疼痛で,気うつが強い症例に,烏薬順気散加減が有効である可能性が示唆された。
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  • 石田 和之
    67 巻 (2016) 1 号 p. 54-60
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    難治性舌痛症に対して,黄連解毒湯・茯苓飲・香蘇散のエキス剤併用療法(黄茯香併用とする)が奏効した一例を経験した。この経験を参考に新たな症例を治療し,それらの臨床的特徴について検討した。
    61歳の男性。3年位前から舌痛があり,4ヵ月前から心療内科へ通院したが改善しなかった。当科で五苓散や大柴胡湯など種々の方剤を投与したが効果なく,黄連解毒湯・二陳湯・香蘇散の3剤併用に転方後に舌痛が半減した。 さらに二陳湯を茯苓飲へ変更後に舌痛は消失した。
    同処方で3例を治療した結果,2例は約2週間で舌痛の改善を認めた。残る1例は黄茯香併用やその他数種類の方剤が無効で,ポラプレジンクによる亜鉛補給が有効であった。有効症例の特徴は,舌痛に加え,うつ傾向と消化器症状を呈していた。
    清熱解鬱湯をエキス剤で代用する意図で黄茯香併用を投与し,舌痛症4例中3例に有効であった。黄茯香併用は舌痛症に応用可能と考えられた。
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  • 正山 勝, 向井 誠, 後山 尚久
    67 巻 (2016) 1 号 p. 61-66
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    酸棗仁湯が睡眠時遊行症に有効であった一例を経験した。症例は55歳女性。小児期に睡眠時遊行を認め一時消失していたが,成人後の精神病症状の出現とともに時々,夜間の行動異常を認めるようになった。クローン病の合併,統合失調感情障害の残遺状態の診断で当院に長期入院中,55歳時に夜間の徘徊,異常行動が目立つようになった。 抑肝散エキス製剤2.5g/日で一時的に改善したかにみえたが再発し,酸棗仁湯エキス製剤7.5g/日への変更後,不眠が改善し,夜間の異常行動が消失した。睡眠時遊行症では,五臓論の心の病態が重要であると考えられた。
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短報
論説
  • 勝井 恵子
    67 巻 (2016) 1 号 p. 75-84
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    本稿では,生理学者である橋田邦彦(1882‐1945)の「医」の思想のうち,「医人」・「医行」・「格医」の3点のいとなみについての描写を試みる。「医人」とは,「医的科学」としての「医学」,「仁者の行う術」としての「医術」,「人」の道としての「医道」の三要素からなる「医」というものを体得した存在のことであり,「医行」とは医療者が「医」というものと常に対峙することを通じて,どのような医療者となるべきかとの自問自答を繰り返すなど,「医人」として存在し続けるためにとりおこなう「医」における「行」であるという。そして「格医」とは,「医」という理念を保持していくためのいとなみであり,「医」のなかに生じた不正を取り除いたり,「医」そのものを転換や転向させたりすることで,正しいものだけにするという目的を持つものであるという。
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フリーコミュニケーション
  • 蛯子 慶三, 高田 久実子, 伊藤 隆, 木村 容子, 佐藤 弘
    67 巻 (2016) 1 号 p. 85-92
    公開日: 2016/05/27
    ジャーナル フリー
    当研究所における多職種連携強化を目的とした鍼灸師の取り組みについて報告する。2013年12月に全職員を対象として鍼灸に関するアンケート調査を実施し,多職種による連携の問題点を整理した。主な問題点として挙げられたのは,情報不足,治療メニューや料金に関することであった。2014年1月~11月にかけてこれら問題点の改善策を講じた後,再度アンケート調査を実施したところ,前年度よりも鍼灸に関する情報が得られたと回答したものは79%,治療メニューや料金が適正と回答したものは72%であった。また,2013年1月~11月までの鍼灸初診数273人に対し,改善策を講じた2014年同期間の初診数は385人で1.4倍増となった。結果より,各職員の鍼灸に対する理解がある程度深まり,多職種連携の強化につながったと考えられた。
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