日本東洋医学雑誌
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67 巻 , 4 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
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原著
  • 奥田 雄二
    67 巻 (2016) 4 号 p. 323-330
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    本研究では2002年4月より2012年3月迄に行った更年期障害に対するホルモン補充療法(HRT)35例と柴胡桂枝湯18例の臨床効果を比較した。調査項目は,クッパーマン指数,self-rating questionnaire for depression(SRQ-D)そして卵胞刺激ホルモン(FSH)であり,治療前後に比較した。クッパーマン指数,SRQ-D 値は両群で有意に低下しており,HRT 群は,ほてり,発汗のスコア,血中 FSH 濃度で,柴胡桂枝湯群は,興奮,動悸,肩こり,不眠のスコアで,それぞれ他群より有意に低下していた。クッパーマン指数及びSRQ-D の評価からHRT が柴胡桂枝湯よりも総合的な治療効果が大きい事が認められた(p <0.01)。
    以上より,柴胡桂枝湯は HRT が禁忌或はこれを望まない人や精神神経症状が強い人に,又 HRT は血管運動神経障害様症状が強い人に推奨できると思われた。

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  • 寺澤 捷年
    67 巻 (2016) 4 号 p. 331-339
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    腹診における鼠径部の圧痛が当帰四逆加呉茱萸生姜湯証を指示することが知られている。この事実は1963年に大塚敬節により発見されたものである。そして彼はこれを足之厥陰肝経と関連する徴候と考えた。しかしこの徴候が発現する背景はいまだ明らかにされていない。最近,著者はこの鼠径部の徴候が痞根(ExB4)に置針することによって消失することを見いだした。この臨床的事実から,本方証が恒常性維持機構と関連するとの仮説を呈示した。すなわち,寒冷環境においては下肢からの放散熱を防ぐために総腸骨動脈に交感神経性促進信号がもたらされ,その結果,骨盤腔内臓器の血流が低下する。痞根に対する鍼施術の効果は腸腰肋筋の硬結と内腹斜筋の緊張を同時的に緩ませるものとのと推測される。当帰四逆加呉茱萸生姜湯は骨盤腔内臓器と交感神経節との間に形成されている悪循環を遮断し,骨盤腔の虚血に関連するさまざまな症状を改善するのである。

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  • 坂口 俊二, 森 英俊, 宮嵜 潤二, 古田 高征, 百合 邦子, 周防 佐知江, 成島 朋美, 久下 浩史
    67 巻 (2016) 4 号 p. 340-346
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    成熟期女性の冷え症に対する鍼治療の有効性を多施設共同ランダム化比較試験で検証する。対象は18歳∼39歳の女性で,除外基準に該当せず,冷え症の自覚があり,かつ「冷え症状尺度」の総合得点4点以上の22名とした。割付は,施設毎に登録した被験者を外部のコントローラーが単純無作為化法を用いて行った。介入は,鍼治療群では左右三陰交への置鍼術と左右次髎への低周波鍼通電療法(周波数 1Hz で20分間)を,週1回の間隔で4回実施した。 対照群は試験期間中無治療とした。主要アウトカムはVAS による冷え症の程度,副次的にはSF-36の8つの下位尺度得点と3つのサマリースコアとした。解析では群間の効果量を求めた。除外対象者1名の混入は解析から除外し,脱落した2名を含めた ITT 解析を行った。その結果,鍼治療群12名と対照群9名となり,VAS 値,SF-36の各スコアの効果量では,鍼治療の有効性はみられなかった。

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  • 小路 哲生, 高橋 道也
    67 巻 (2016) 4 号 p. 347-353
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    腎硬化症による慢性腎臓病は,徐々に悪化し,高齢で透析に至る症例が増え,透析導入原因3位となっている。 その対策として真武湯を中心にした漢方薬の可能性が報告されている。今回腎硬化症と思われる慢性腎臓病を対象に,真武湯と防已黄耆湯のエキス剤を併用投与し,腎不全進行抑制効果について検討した。対象は,香川県済生会病院腎臓内科に通院中の腎硬化症患者20例(男性12例,女性8例,平均年齢76.2歳)。真武湯エキス顆粒5g と防已黄耆湯エキス顆粒5g を分2朝夕食前で併用処方した。投与前,投与後3ヵ月,6ヵ月で臨床検査値を検討した。 血清クレアチニン値は,2.04,1.72,1.59mg/dL と低下,eGFR は26.8,32.2,35.3mL/minと改善を認めた(p <0.01)。他の検査値には特に変化を認めなかった。これらより腎硬化症と思われる慢性腎臓病に対して真武湯と防已黄耆湯の併用に腎機能改善効果があると考えられた。

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  • 寺澤 捷年
    67 巻 (2016) 4 号 p. 354-363
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    臍傍部,回盲部および S 状結腸部の筋肉の有痛性硬縮は瘀血病態と関連していることが知られている。しかし,これまでにその発現機序は不明であった。最近,筆者はこれらの徴候が経穴の痞根(ExB4),血海(SP10),あるいは硬縮部それ自体への鍼の施術で消失することを見いだした。さらに,これらの腹部の硬縮が上腹壁動脈あるいは下腹壁動脈の最も末梢の部位に位置することに気づいた。これらの事実は腹部の硬縮が上腹壁動脈あるいは下腹壁動脈の血流量の減少によりもたらされることを示唆しており,鍼による入力信号は単に胸髄11と12髄節のαとγ運動神経細胞の興奮を抑制するばかりでなく,興奮状態にあった交感神経活動をも抑制することを示唆するものである。硬縮を発現させる最初の有害信号は自然炎症をともなった骨盤腔内静脈の鬱血によって発生するものと推測した。

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臨床報告
  • 福原 慎也, 千福 貞博
    67 巻 (2016) 4 号 p. 364-370
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    透析患者は透析治療歴と関係しない肩関節症状を自覚することがある。今回われわれは透析患者の肩関節症状に対して五積散が有効であった6症例を経験したので報告する。6例中3例では冷えを自覚して,残りは裏寒症状を呈していた。全症例で皮膚乾燥や筋萎縮などの血の異常を,また腎機能障害に伴う尿量減少や水分調節の影響などの水の異常を認めた。透析後には疲労感,口乾を認め気の異常も認められた。透析患者はこれらの病態が続けば,新陳代謝が衰え,熱産生が低下して「寒」の病態が生まれる可能性がある。また6例中4例で消化管障害を有し,1 例は鎮痛薬の服用により胃痛を生じており,食の異常を呈していた。五積散を処方したところ,全例において疼痛は軽減した。気・血・水・寒,そして食に関与する病態を透析患者に認めることがあり,繰り返す肩関節症状に五積散が有効である可能性が示唆された。

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  • 高橋 也尚
    67 巻 (2016) 4 号 p. 371-375
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    牛車腎気丸は腎虚に伴う下焦機能改善に効果がある。自然消退の可能性もあるガングリオンの成因は様々言われているが,はっきりしない。我々は今回下焦機能改善に対して処方した牛車腎気丸が,ガングリオン消失に有効であった症例を経験したので報告する。
    患者は35歳の女性で,主訴は夜間頻尿,排尿困難,残尿感であった。
    尿・血液検査では特記すべき所見はなく,膀胱炎は否定的であった。漢方医学的所見では,上記主訴以外,手足の冷え,足の浮腫を認め,脈診では沈脈,腹診では小腹不仁の所見があり,いわゆる腎陽虚の所見を認めた。
    牛車腎気丸7.5g/日を開始し,手足の冷え,浮腫,夜間頻尿,残尿感も徐々に軽減し,6週間後には夜間頻尿,残尿感が消失した。同時に数年来悩んでいた右手首のガングリオンの消失を認めた。
    腎虚を伴うガングリオンに対して牛車腎気丸が,有効である可能性が示唆された。

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  • 伊関 千書, 藤田 友嗣, 佐橋 佳郎, 金子 明代, 鈴木 朋子, 竹重 俊幸, 古田 大河, 鈴木 雅雄, 遠藤 重厚, 三潴 忠道
    67 巻 (2016) 4 号 p. 376-382
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    2013年に当施設では,45歳女性,76歳男性,80歳男性の3例の難治性疼痛に対し,大烏頭煎(烏頭0.5—2g)を頓服させ,数分以内に疼痛緩和しえた。3症例で,裏寒の存在が共通した。煎液中と45歳女性における大烏頭煎内服後の血清中アコニチン類濃度を液体クロマトグラフ質量分析装置により測定した。大烏頭煎のアコニチン類含有量は烏頭1g当たり換算で,aconitine1.28μg,mesaconitine2.31μg,hypaconitine92.89μgであり,通脈四逆湯に比べ5—35倍であった。大烏頭煎頓服1時間後に血清中アコニチン類濃度のピークが認められた(hypaconitine 1.11ng/mL)。大烏頭煎頓服後の即効性からは,経粘膜吸収の機序が想定されるものの,少なくとも烏頭・附子剤の安全な運用を検討する際には,アコニチン類の血清中濃度が一助となる。

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  • 吉永 亮, 前田 ひろみ, 土倉 潤一郎, 井上 博喜, 矢野 博美, 犬塚 央, 木村 豪雄, 山方 勇次, 田原 英一
    67 巻 (2016) 4 号 p. 383-389
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    蜂刺症とムカデ咬症に対して,受傷直後から黄連解毒湯エキスと茵蔯五苓散エキスを中心とした漢方治療を併用し,翌日には著明に改善した5例を報告する。症例1は70歳男性,30分前に左手背をスズメバチに刺されて受診した。症例2は43歳男性,20分前に左顔面をスズメバチに刺され受診した。症例3は55歳男性,10分前に左下腿をスズメバチに刺され受診した。症例4は39歳男性,60分前に右大腿をスズメバチに刺され受診した。症例5は35歳男性,20分前に右第1趾をムカデに咬まれて受診した。5例とも受診後直ちに漢方治療を開始し,以後,数時間おきに間隔を詰めて治療を継続したところ,翌日には疼痛と皮膚の紅斑と腫脹が改善した。蜂刺症,ムカデ咬症に対して漢方治療を行うことで速やかな治癒に貢献できる。

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  • 高橋 良佳, 光畑 裕正, 神山 洋一郎
    67 巻 (2016) 4 号 p. 390-393
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    慢性の腰下肢痛は冷えにより増悪することが多いが,冷えに着目した西洋薬はない。当科では腰下肢痛や足腰の冷えを主訴とする患者が多く,神経ブロック療法に加えて漢方も併用した治療を行っている。そこで我々は後方調査を行い,冷えを伴う腰下肢痛患者で,現行の治療に加え当帰四逆加呉茱萸生姜湯7.5g 分3を投与されていた患者の内服前と1ヵ月後の痛み(VAS : Visual Analogue Scale で評価),腋窩温,両足背皮膚温,足関節—上腕血圧比,脈波伝播速度,満足度を検討した。対象は19症例で,VAS,腋窩温,両足背皮膚温において有意な改善が見られ,患者満足度も上がった。自覚的に冷えが改善したのは7症例(36.8%)であったが,全例で皮膚温の有意な上昇を認めた。当帰四逆加呉茱萸生姜湯は,客観的に皮膚温を高め鎮痛効果を示すことで満足度の向上に寄与することが示唆された。

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  • 木村 容子, 佐藤 弘, 伊藤 隆
    67 巻 (2016) 4 号 p. 394-398
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    呼吸器症状の漢方治療では五臓の「肺」だけでなく他の臓腑にも着目する。ストレスが関与した慢性咳嗽に八味地黄丸が有効であった2症例を経験した。症例1は25歳女性。会社のストレスによる胸の苦しさを伴い,腹診で心下痞鞕も認めたため半夏厚朴湯を処方したが効果不十分。腰の重だるさがあり八味丸に転方して咳が軽快した。症例2は42歳女性。数年間の不妊治療が背景となってゆううつ感,のどのイガイガ・つまり感が出現し,半夏厚朴湯や麦門冬湯を使用したが効果不十分。腰痛があり八味丸に転方したところ咳が改善した。両症例で小腹不仁はみられなかった。
    ストレスによる気うつが慢性化して気虚,特に腎虚に進行して出現する咳は,半夏厚朴湯の効果が乏しく,補腎薬である八味地黄丸が有効であると考えられた。罹患期間が短く,高齢者でない場合は,腹証で小腹不仁が必ずしも認められない。腎による咳では腰部の張りや痛みに着目することも大切である。

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調査報告
  • 松本 毅, 形井 秀一
    67 巻 (2016) 4 号 p. 399-407
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    日本では,灸治療で使用する透熱灸などの直接灸用のモグサは精製度が高く,独自の製法で製造されてきた。中国などでは,棒灸など間接灸が主流のため,簡易な製法で,低精製モグサが製造されてきた。近年,中国でも,高精製モグサが製造され,日本産モグサとの違いが分かりにくくなってきた。
    そこで,日本の臨床家に,製造国が分からないようにし,中国産と日本産の高精製モグサを提示し,違いをどの様に感じるかを評価用紙に記述してもらい比較検討した。有効回答数は,265名中164名(61.9%)。2種類のモグサの違いについて,54.9%の人が総合的に見て「少し違う」と回答したが,「使い勝手がよい」,「使いたい」が多かったのは日本産だった。施灸した119名中「心地よかった」を選択したのは,日本産が85名(71.4%)であった。
    日本の臨床家は,日本式の製造技術で精製したモグサが日本の治療法に適していると感じていた。

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短報
  • 寺澤 捷年
    67 巻 (2016) 4 号 p. 408-412
    公開日: 2017/03/24
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    腹部で触知する臍上悸は漢方医学における気の循環失調を意味する重要な情報である。本研究ではこの動悸の振幅が腹壁上では約4mm であることを明らかにした。筆者は永らくこの徴候が腹部大動脈の直径の著しい増加によるものと考えて来た。しかしこの推測は MRA で否定された。MRA での腹部大動脈の拍動幅は直径が最大で1.5mm 幅でしか変化しなかった。超音波エコー検査での腹部大動脈の拍動幅もまた約1.5mm であった。腹壁上で触知する拍動幅(4mm)と超音波検査での変動幅(1.5mm)の乖離を説明するためには腹部大動脈壁に発生する衝撃力を想定すると可能になる。発生する強力な衝撃力について,筆者は血流速度の増大,脊椎による反撥応力,そして心臓で発生する音圧が3つの要素であると考察した。

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論説
  • 寺澤 捷年
    67 巻 (2016) 4 号 p. 413-418
    公開日: 2017/03/24
    ジャーナル フリー

    医療用漢方製剤の当帰四逆加呉茱萸生姜湯の効能の一つに凍瘡(しもやけ)がある。凍瘡は寒冷な環境で見られるありふれた病症であり,この病症が末梢の血流低下と関連することは既に記されている。しかし,これに伴う炎症機転がどのようなものであるかについては不明であった。筆者は最近の免疫学が提唱している自然炎症の視点からその発症機序を推測することを意図した。凍瘡は細静脈の微小血栓を伴い,虚血にさらされた血管あるいは細胞から放出されるサイトカインにより起こるものであろうと考察した。

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