葛根湯をマウスに腹腔内投与すると眼窩内出血による眼球突出という特異的な生理作用が発現した。本症状は葛根湯に配合されている麻黄によるものであり, 麻黄配合の漢方方剤にもみられた。さらに本症状は麻黄中のエフェドリンと他の非アルカロイド画分との協力作用によるものであることがわかった。その作用成分の性質はつぎの通りである。
1. 麻黄より水で抽出され, n-ブタノールに移行しない。
2. 活性炭に強く吸着される。
3. 酸性または塩基性物質ではなく, 中性物質と考えられる。
4. 50%テトラヒドロフランにより溶解し酢酸鉛水溶液を加えることにより沈でんする。
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