人間と環境
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42 巻 , 1 号
人間と環境 第42巻第1号通巻109号
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原著
  • ― 公私協働ネットワークと部分社会ルールに着目して ―
    田中 俊徳
    2016 年 42 巻 1 号 p. 2-16
    発行日: 2016年
    公開日: 2016/03/02
    ジャーナル フリー
    本研究では,ラムサール条約の国内実施を「国際的に重要な湿地の登録選定とその保全管理」と定義し,湿地の登録選定及び現場レベルの保全管理を対象としながら,意思決定及び情報共有の構造に着目して論じた。研究手法として,文献調査,利害関係者に対する聞取り調査,各種会合への参与観察,議事録の解析を行った。その結果,次の3点を明らかにした。第一に,湿地の登録選定における意思決定構造は,世界自然遺産とは異なり,地元自治体からの要望・相談を踏まえて進められ,その際に,省庁間における事前調整の場は,一部の例外を除けば,原則的に存在せず,自然環境局長の了解を得ることで決定されることが明らかとなった。次に,情報共有の枠組みとして,国内レベルでは,ラムサール条約推進国内連絡会議(国内連絡会議)及びラムサール条約登録湿地関係市町村会議(市町村会議)が存在し,とりわけ,市町村会議は毎年開催される学習・交流会をはじめ,重層的にまたがる利害関係者が効果的に情報交換を行う場であることが明らかとなった。また,各条約湿地は,個別に渡り鳥ネットワークや姉妹湿地,地域ネットワークに参加することで,情報共有を行っていることも明らかとなった。最後に,現場レベルの保全管理においては,行政機関や自治体を中心に,NPO,市民,研究者などからなる公私協働ネットワークが形成され,その中で,CEPA活動が実施されていることが明らかとなった。漫湖では,公私協働ネットワークを通じて湿地の利用に関する自主ルールが策定された。関係者間で緊密な情報共有がなされることで,ルールの実効性が担保され,ワイズユースが補完されるなど,国内法令の執行という従来の観点のみではとらえきれない事象が明らかとなった。
研究ノート
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