人間と環境
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45 巻 , 2 号
人間と環境 第45巻第2号通巻119号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
原 著
  • 東 広之
    2019 年 45 巻 2 号 p. 2-11
    発行日: 2019/06/03
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル フリー

    21世紀は環境の世紀と呼ばれ,多くの環境を守る取組みが進められている。しかし,「環境」という言葉が広く使用されている一方,その言葉からイメージする具体的な内容は話者や聞き手により異なり,未だ社会的な共通認識のない状態であると考えられる。そのため,本研究では,環境問題や環境学の入門書など「環境」に関する67書籍(対象書籍)を分析することにより,「環境」という言葉の意味する内容を定性的かつ定量的に具体化することを目指した。まず,対象書籍の全ての目次記載内容を確認し,類似・関連するものをグループ化した上で,「環境」の主な要素の一例を示した。類似・関連事項のグループに基づくと,「環境」は11分野(基本的事項,基礎科学,気候系,公害・汚染,資源・人口,廃棄物,自然,人文・社会,産業・市民,都市,海外・平和)に区分できると考えられた。また,11分野が各書籍に占める割合(各分野のページ数/総ページ数)を求めたところ,その割合は書籍ごとに異なるという結果が得られた。続いて,それぞれの分野が書籍に占める割合を対象書籍全体で俯瞰するため,箱ひげ図を作成した。その結果,「公害・汚染」が書籍の紙幅の多くを占める傾向にあること,気候変動などが含まれる「気候系」の占める割合が次に大きいことが明らかとなった。本研究の成果は,「環境」という言葉の全体像を少なくとも一面から示しており,その言葉を理解する一助になると考えられ,環境学習や環境学の発展に寄与すると期待される。

研究ノート
  • 西川 榮一
    2019 年 45 巻 2 号 p. 12-25
    発行日: 2019/06/03
    公開日: 2019/12/01
    ジャーナル フリー

    3歳児と6歳児を対象に,環境省は毎年大規模な大気汚染健康影響調査(「サーベイランス調査」)を実施している。その年度報告書をみると「大気汚染物質濃度が高くなるほどぜん息有症率が高くなるような関連性を示す結果はみられなかった」とまとめられている。このまとめに疑問を感じ,本稿で同報告書におけるデータの取り扱い,NO2濃度とぜん息有症率の関連性に関する解析について調べた。その結果同報告書のまとめとは異なり,NO2濃度とぜん息有症率は明らかな正の相関関係にあることがわかった。なぜ環境省報告書と本稿で異なった結果になるのか,その原因も調べた。大阪では,住民らによって「ソラダス」と呼ばれる環境調査が続けられているが,その調査においてもNO2濃度とぜん息有症率の間に,正の相関関係が見出されていることを紹介した。そして「サーベイランス調査」と「ソラダス」,両調査が示す結果から現在のNO2大気汚染が提起する課題について述べた。

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