人間と環境
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46 巻 , 2 号
人間と環境 第46巻第2号通巻122号
選択された号の論文の3件中1~3を表示しています
原著
  • 前田 良之, 大島 宏行, 澁谷 陽平
    2020 年 46 巻 2 号 p. 3-13
    発行日: 2020/06/10
    公開日: 2021/06/24
    ジャーナル フリー

    本研究は抗酸化能をもつベタシアニンを含有するフダンソウの耐塩反応をナトリウム(Na)イオンの侵入抑制と酸化ストレス軽減の観点からホウレンソウと比較検討した。その結果,耐塩性はホウレンソウよりもフダンソウで高かった。ホウレンソウのNa含有量はNa処理により根部,地上部ともに増加した。細胞膜ATPase活性,グリシンベタイン含有量から検討した根部のNa侵入抑制能力はフダンソウよりも小さかった。一方,フダンソウのNa処理による体内Na含有量の増加パターンはホウレンソウと大きく異なった。すなわち,生育が維持されたNa処理濃度(生育維持濃度)以内では処理濃度の増加とともに地上部のNa含有量は増加した。しかし,それ以上の処理濃度では増加しなかった。逆に,根部のNa含有量はNa処理により増加したものの,生育維持濃度以内では変化せず,その濃度を超えると急激に増加した。過酸化水素含有量とSOD活性は両植物ともにNa処理によって高まったが,ホウレンソウのこれら値は生育維持濃度で,フダンソウの値は生育阻害濃度でそれぞれ著しく増加した。ホウレンソウのカタラーゼ活性はNa処理によって,フダンソウの活性は生長阻害濃度で著しく増加した。一方,ベタシアニン含有量はNa処理の有無や濃度に関わらず変化せず,フダンソウの地上部に一定量存在した。

    以上の結果,植物体内に過剰に侵入したNaの排除・体内分配の方法と割合などの耐塩応答は両植物間で大きく異なった。本試験で注目したベタシアニンはNa処理によって変化しなかったが,少なくとも生育阻害濃度よりも低いNa濃度条件下で酸化ストレス低減に寄与し,結果としてフダンソウの耐塩性を高めている可能性が示唆された。

  • 高野 拓樹, 乾 明紀, 加藤 千恵, 酒井 浩二
    2020 年 46 巻 2 号 p. 14-27
    発行日: 2020/06/10
    公開日: 2021/06/24
    ジャーナル フリー

    本研究では,政治的リテラシー養成の観点から論争的問題を取り扱う科目「シチズンシップ」で得られた結果を元に,原発再稼働賛否意見の変容に対する受講者の専門性や学習状況,及び講義担当教員の意識の影響について検討した。その結果,講義を通じた賛否割合の変化の度合い(標準偏差:S)は学科により異なり,理系を中心に学ぶ学科の方が小さい傾向にあった。また,大学入学時におけるプレースメントテスト(英語)の平均点が高い学科,すなわち学習経験が豊富であろう学生が所属する学科ほど標準偏差に小さい傾向が見られ,これらは負の相関を示した(S=7.3~24.1,r=–0.438)。そして,原発再稼働について明確な反対意見をもっている教員のクラスについては,受講者の賛否割合の変容が小さく(S=5.3),常に反対割合が高い状態を維持していた。さらに,講義スタイルについては,講義内容を力を込めて説明する傾向がある教員のクラスは,淡々と説明することもある他教員のクラスよりも受講者の賛否変容が大きい傾向(S=16.6)にあった。このように,受講者の専門性や学習状況,及び教員の意識等によって,受講者の原発再稼働に対する意見に影響する可能性があることを明らかにした。以上の結果は,論争的問題を取り扱うシティズンシップ教育において,これらの影響因子を考慮に入れた教授法についての更なる検討の必要性を示唆している。

研究ノート
  • -汎用性の高いIT機器類を利用した使用感調査と新しいシステムの開発-
    長屋 祐一, 伊藤 良栄, 松本 祐輔
    2020 年 46 巻 2 号 p. 28-36
    発行日: 2020/06/10
    公開日: 2021/06/24
    ジャーナル フリー

    小規模な土地改良区の用水管理を省力化するために,情報技術(IT)を利用したIT機器類を土地改良施設に設置し,インターネット回線と携帯電話回線を利用した遠隔操作機能と遠方監視機能を付与した。まず,汎用性の高いIT機器類と防犯カメラを利用して,インターネット回線による除塵機と転倒ゲートの遠隔制御と遠方監視を行った。組合員は遠隔操作用のブラウザと遠方監視用のブラウザをパソコンの画面のなかで適切に配置するために,ブラウザの切替や大きさの調整が必要となり,画面上でのパソコン操作に不便さを感じた。しばらく運用すると,ブラウザの更新により,プラグインソフトが適合しなくなったので,遠方監視が不能となった。次に携帯電話回線による携帯電話から発信したプッシュ・トーン信号を利用して揚水機の遠隔制御を行ったが,経年使用によって携帯電話からの制御が不能となる事例が見られた。これらの不具合を改善するために,専用アプリケーションを開発した。専用アプリケーションの主な機能は,土地改良施設の制御基板に接続したIT機器類の状況や制御用スイッチなどの遠隔操作に必要な情報と,ネットワークカメラによる現場のリアルタイム画像をインターネット回線により取得し,これらの情報を利用しながら,複数の土地改良施設の現状確認,遠方監視,遠隔操作,間欠運転の設定,操作した氏名と操作内容の記録である。IT機器類と専用アプリケーションの組合せで構成されるシステムはスマートフォン,タブレット,パソコンのいずれからも同種のブラウザを使用することで,どのデバイスからも統一感のある操作が可能となった。また,同システムを2年間使用したが,遠隔操作および遠方監視に不具合はなかった。

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