人間と環境
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最新号
人間と環境 第47巻第3号通巻126号
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原著
  • 山本 真人, 大野 研
    2021 年 47 巻 3 号 p. 3-22
    発行日: 2021/10/10
    公開日: 2022/04/10
    ジャーナル フリー

    ミレニアム生態系評価(Millennium Ecosystem Assessment, MA)は,生態系サービスに対する関心の高まりをもたらした。この生態系サービスに関しては,汎用性やバンドルを考える上では地域において全体を適切に評価することが重要である。また,ホットスポットの推定は,生態系サービスへの支払い(Payment for Ecosystem Services, PES)と類似の制度の裏付けや,それを重点的に適用するための情報の取得に貢献する。三重県は地域格差の観点からは日本の縮図となっており,かつ,多くの統計指標から日本の中央値的な条件にあるといえる。そこで本稿では,国際的に共通の生態系サービスに関する分類(Common International Classification of Ecosystem Services, CICES)における20の中分類(Group)に対して,生態系と生態系サービスのマッピングと評価(Mapping and Assessment of Ecosystems and their Services, MAES), 日本の里山・里海評価(Japan Satoyama-Satoumi Assessment, JSSA),生物多様性及び生態系サービスの総合評価(Japan Biodiversity Outlook 2, JBO2)を元にした指標と独自に考察した指標,合計17の指標を定義して三重県を対象とした生態系サービスの地図化に取り組んだ。そして,生態系サービスのホットスポット分析を行った。その結果,供給サービスは北部・中部,調整サービスは紀勢・東紀州,文化的サービスおよび全サービスの統合は中部・伊勢志摩にかけてホットスポットが存在することが推定された。さらに,これらの結果と環境省自然環境局が公開する植生調査結果との関係をみた。その結果,ホットスポットにおける森林面積は,それ以外の土地利用面積と比較して大きい傾向にあった。このことから,全サービスにおいて森林が重要な要素を占めることが示唆された。

  • ―官民連携での回収・リサイクルループ形成の意義―
    中村 真悟
    2021 年 47 巻 3 号 p. 23-44
    発行日: 2021/10/10
    公開日: 2022/04/10
    ジャーナル フリー

    本論文では,官民連携によるPETボトルの回収・リサイクルループの形成という新たな動きが日本のPETボトルリサイクルシステムにどのようなインパクトを与えるのかを検討した。現在,日本のPETボトルリサイクルでの飲料用途へのリサイクル(Bottle to Bottleリサイクル)は同リサイクル全体の約20%を占めるが,それは1)回収方法毎の品質格差,2)リサイクル事業者の構造,3)特殊な取引市場,4)自治体の一次分別回収費用の負担,を前提にしている。これらの課題克服がPETボトルリサイクルにおける循環構造の前進には不可欠である。その上で,官民連携での回収・リサイクルループの形成は,循環構造の進展に寄与する側面がある一方,1)回収対象次第では既存のリサイクルシステムの成果の「上澄」を掬うだけになる可能性があること,2)クローズドループの技術要件に対応できるリサイクル事業者が限定されるためリサイクル業界の寡占化が進むこと,3)クローズドループという新たな取引がリサイクル市場の価格を規定し,取引価格が高騰しうること,4)結果として中小リサイクル事業者の事業撤退・倒産,さらには低品質品の扱いという新たな課題が発生しうること,5)クローズドループの形成・普及に伴い回収コストが飲料メーカーにシフトし,いずれ飲料価格への転嫁を検討せざるを得なくなること,を指摘した。

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