人間と環境
Online ISSN : 2186-2540
Print ISSN : 0286-438X
ISSN-L : 0286-438X
最新号
人間と環境 第51巻第2号通巻137号
選択された号の論文の2件中1~2を表示しています
原著
  • ―西淀川公害訴訟を事例として―
    除本 理史, 林 美帆, 小橋 伸一
    2025 年51 巻2 号 p. 2-11
    発行日: 2025/06/10
    公開日: 2025/12/10
    ジャーナル フリー

    公害問題の解決過程において,訴訟は大きな役割を果たしてきた。被告や請求内容を含め,公害訴訟がどのように構成されるかは,その後の解決過程に影響を与える。したがって,それらを決定する訴状の形成過程が,研究上重要な論点となる。しかし,公害訴訟や公害問題の解決過程に関する研究では,提訴前の訴状の検討過程が研究対象とされてこなかった。

    そこで本稿では,1978年に大阪市西淀川区の大気汚染被害者が提起した公害訴訟を事例として,訴状の形成過程を一次資料から明らかにする。そのことを通じて,西淀川訴訟の準備過程に今日の公害地域再生とまちづくりの運動の源流を見出しうることを述べる。

  • ―日本とドイツの比較調査による考察―
    木原 浩貴, ラウパッハ スミヤ ヨーク, 松原 斎樹
    2025 年51 巻2 号 p. 12-24
    発行日: 2025/06/10
    公開日: 2025/12/10
    ジャーナル フリー

    日本における脱炭素社会の支持度の規定因とその特徴を明らかにし,日本の心理的気候パラドックス解消のための気候コミュニケーションのあり方を探ることを目的に,日本とドイツにおいてアンケート調査を実施した。

    分析の結果,日本では,気候変動対策として我慢を伴う身近な対策をイメージする傾向があること,日常対策の実践度や政策の支持度,脱炭素社会の支持度は,全体として日本よりドイツの方が高いが,暖房の温度を低めに設定するような取り組みの実践度は日本の方が高いこと,気候変動対策による負担感はドイツの方が強いことなどが明らかとなった。また,脱炭素社会の支持度にもっとも強く影響しているのは,危機感や責任感,金銭的な負担感ではなく,脱炭素社会を実現可能なものとして捉え展望を描けているか否かであることが明らかとなった。

    日本における「脱炭素社会は非現実的」という捉え方が心理的障壁となり,脱炭素社会の支持度を下げている可能性がある。よって,気候変動の危機を伝え身近な個人レベルの環境配慮行動を促すコミュニケーションを行うよりも,脱炭素社会を実現可能なものとして認識し,展望を描けることを目指したコミュニケーションが重要だと言える。ここには,脱炭素社会づくりへの参加の機会の整備や,脱炭素社会をイメージできる建築物及び地域の実現などの広義のコミュニケーションを含む。

feedback
Top