1974年1月から1978年3月までの4年間, 山口県内のの某重症心身障害児病棟収容児全員 (176名) を対象に, 咽頭溶連菌の保菌調査をほぼ3ヵ月毎に計14回にわたり調査した. 又, ASO価測定も1回行つた. それらの成績をまとめると次の如くである.
1. 収容児の溶連菌保菌率を調査回数毎にみると, 5%から31%の間を変動し, 平均保菌率は19%(313/1,651名) であつた.
2. 分離したA群溶連菌の菌型は, B3264型が最も多く16%(45/285株) を占め, 次いで4型の8%, 12型の7%, 13型の6%であり, その他に1型, 5/27/44型, 18型が認められた.
3. 菌型の推移をみると, 1回目は4型, 2回目は12型, B3264型, 3回目は5/27/44型, B3264型, 4回目から8回目まではB3264型のみ, 9回目は型別できた菌型はなく, 10回目は1型, 13型, 11回目は13型, 12回目は4型, 13型, 13回目は型別できた菌型はなく, 14回目は12型, 4型, 1型および18型がみられた.
4. 分離菌株313株の薬剤感受性の最小発育阻止濃度は, EMo. 05μg/ml, CP 3.13μg/mlであり, PC-Gでは0.025μg/ml以下のものが多く, いずれも菌型に関係なく感受性であつた. しかし, TCには菌型によつて異なつていた. すなわち, 1型, 13型, 18型, B3264型はすべて1.56-6.25μg/mlの感受性株, 4型, 12 型, 5/27/44型は50-100μg/mlの耐性株であつた.
5.ASO価の分布状況は, 166単位 (Todd単位) が27%(14/52名), 次いで333単位の25%(13/52名) であり, 全体的に高い傾向を示した.
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