感染症学雑誌
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55 巻, 1 号
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  • 村松 紘一, 和田 正道, 小林 正人, 島田 俊雄, 坂崎 利一
    1981 年 55 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1981/01/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    A food-borne outbreak of infection presumably due to eating Sashimis (sliced raw fish meat) occurred in Karuizawa, Nagano prefecture, in July 1978. In the outbreak, Vibrio cholerae serovar 6 was the only suspect etiological agent isolated. This is the first report of outbreak of infection due to this organism in Japan.
    The isolates produced positive reaction in ileal loop tests in rabbits with live cells and culture filtrates, suggesting enteropathogenicity of the organisms. In the culture filtrates, however, a cytotoxin different from cholera taxin was demonstrated.
  • I 新K抗原型の追加およびその出現頻度
    所 光男
    1981 年 55 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1981/01/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1975-79年に岐阜県内で発生した食中毒あるいは散発下痢患者ふん便から分離された腸炎ビブリオ444株について血清型別を行つた結果, 317株 (71.4%) はK1-K59のK抗原型のいずれかに型別された. しかし, 残り127株 (28.6%) は型別不能株であつた. これらの型別不能株を血清学的に検討し, 新K抗原型としてGNK1, 2, 3および4の4抗原を追加した. これらの新K抗原は, 第6回, 7回および8回の腸炎ビブリオ型別委員会により, GNK1はK60, GNK2はK61, GNK3はK63, GNK4はK64と決定された. これらの新K抗原型を加えたK1-64の抗血清を用いての全分離株441株の型別率は94.1%にまであがつた.
    各年次における主要菌型は1975年はK60 (15.4%), K10 (15.4%); 1977年はK4 (40.0%), K15 (15.4%); 1978年はK63 (48.6%), K38 (11.1%); 1979年はK63 (25.6%), K56 (15.7%), K8 (15.7%), K15 (15.7%) となつており, 年次による菌型の入れ替わりが顕著であつた. 近年の一つの特徴として新K抗原型が主要歯型となる傾向があつた.
  • 片山 淳, 板垣 国昭, 中尾 利器, 川口 信行, 田中 一成, 伊藤 武夫, 小西 久典, 吉井 善作
    1981 年 55 巻 1 号 p. 14-24
    発行日: 1981/01/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1974年1月から1978年3月までの4年間, 山口県内のの某重症心身障害児病棟収容児全員 (176名) を対象に, 咽頭溶連菌の保菌調査をほぼ3ヵ月毎に計14回にわたり調査した. 又, ASO価測定も1回行つた. それらの成績をまとめると次の如くである.
    1. 収容児の溶連菌保菌率を調査回数毎にみると, 5%から31%の間を変動し, 平均保菌率は19%(313/1,651名) であつた.
    2. 分離したA群溶連菌の菌型は, B3264型が最も多く16%(45/285株) を占め, 次いで4型の8%, 12型の7%, 13型の6%であり, その他に1型, 5/27/44型, 18型が認められた.
    3. 菌型の推移をみると, 1回目は4型, 2回目は12型, B3264型, 3回目は5/27/44型, B3264型, 4回目から8回目まではB3264型のみ, 9回目は型別できた菌型はなく, 10回目は1型, 13型, 11回目は13型, 12回目は4型, 13型, 13回目は型別できた菌型はなく, 14回目は12型, 4型, 1型および18型がみられた.
    4. 分離菌株313株の薬剤感受性の最小発育阻止濃度は, EMo. 05μg/ml, CP 3.13μg/mlであり, PC-Gでは0.025μg/ml以下のものが多く, いずれも菌型に関係なく感受性であつた. しかし, TCには菌型によつて異なつていた. すなわち, 1型, 13型, 18型, B3264型はすべて1.56-6.25μg/mlの感受性株, 4型, 12 型, 5/27/44型は50-100μg/mlの耐性株であつた.
    5.ASO価の分布状況は, 166単位 (Todd単位) が27%(14/52名), 次いで333単位の25%(13/52名) であり, 全体的に高い傾向を示した.
  • 大島 久明, 天児 和暢
    1981 年 55 巻 1 号 p. 25-31
    発行日: 1981/01/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    尿, 及び喀痰より分離したS. marcescensの多くの株が, ヒトの尿中で凝集することを見出した. 24株中, 凝集性を有する株は, 14株であつた. 凝集性は, 静置培養の場合によく見られ, 振盪培養では, 凝集陰性となる株が11株あつた. 電子顕微鏡による観察で, 凝集陽性株は, その菌体表面に多数の線毛を有していることが明らかになつた. 線毛は幅約30A, 長さ約4μmで, いわゆるI型線毛とは形態学的に異つている. 凝集反応は, この線毛と, 尿中に存在する凝集性の物質との反応によつて起ると考えられる. この尿中の物質は, ミリポーアの濾過膜 (0.45μm) を通過せず, また遠心 (60,000×g) で沈降するので, かなり高分子のものと予想されるが, その本態は, 本研究ではまだ明らかにされていない.
  • 篠崎 立彦, 藤井 良知, 佐内 豊, 本間 遜
    1981 年 55 巻 1 号 p. 32-40
    発行日: 1981/01/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    正常出産の新生児の膀帯血, 小児および99歳までの成人より得られた256例の血清について緑膿菌のOEP, exotoxinA, およびexoenzymes (Proteaseおよびelastase) に対する抗体を受身赤血球凝集反応を用いて測定した. ExotoxinAに対する抗体は, すでに膀帯血中に保有されており, 生後12ヵ月まで平均抗体価は低下し, その後は上昇し, 6-10歳群で最高値を示し, 以後は下降傾向を示した. OEPに対する平均抗体価も同様の傾向を示した. protease, elastaseに対する平均抗体価は, 膀帯血, および生後12ヵ月までは低値で, その後次第に上昇し, 学童期で最高となり, その後は低下傾向を示した.
    1; 20以上の抗体価をもつものの保有率をみると, exotoxinAに対する抗体は, 膀帯血中に30.0%にみられ, その後減少し, 幼児期に上昇し, 11-20歳群では90%に抗体が保有されていた. 加齢と共に保有率は低下してきており, 70歳台以降ではとくに低下していた.
    OEPに対する抗体保有率も同様の傾向を示した-protease, elastaseに対する抗体保有は, 膀帯血, および生後6ヵ月までは認められず, その後は上昇しているが, とくにelastaseに対する抗体保有率は低率であつた.
    2種類の抗原に対する抗体の間に, はつきりとした相関関係は認められなかつた. 成人の入院患者と外来患者の問に各年齢群とも, 平均抗体価に差は認められなかつた.
    2欄ME処理血清についてexotoxinAに対する抗体価を測定したところ, 1-4歳児群で2・ME無処理血清の抗体価に比し, 低下が著しく, 抗体の検出されない例が多かつた.
  • 猪狩 淳, 小酒井 望, 小栗 豊子
    1981 年 55 巻 1 号 p. 41-46
    発行日: 1981/01/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1975年から1979年までの5年間に1頂天堂大学病院中検で髄液から緑膿菌が検出された例は15例あつた. そのうち7例が臨床細菌学的に詳細な検討が出来たのでここに報告した.
    症例はすべて生後20日から5歳2カ月の小児であり, 男児4例, 女児3例であつた. 基礎疾患はすべて先天性あるいは続発性 (手術後) 水頭症であつて, V-Pシャント造設術を施行した後に, あるいはシャントチューブ留置中に緑膿菌が侵入し, 化膿性髄膜炎を惹起した. また6例は菌検出前にセファロスポリン剤, 合成ペニシリン剤, アミノグリコシド剤などの投与を受けていた. なお, 3例は死亡した.
    この7例にみられた髄膜炎はopportunistic infectionあるいはnosocomial infectionであると考えられた.
    3濃度ディスク法による薬剤感受性試験の成績はSBPC, KM, GM, CLは感性であり, ABPC, CEZ, SM, CP, TC, EM, NAは耐性であつた.
  • 1981 年 55 巻 1 号 p. 68-70
    発行日: 1981/01/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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