感染症学雑誌
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55 巻, 3 号
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  • 水痘, 麻疹, 風疹ウイルス抗体測定について
    水谷 智代, 平山 宗宏, 南谷 幹夫
    1981 年 55 巻 3 号 p. 143-148
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    ELISA法はEngvall, Perlmannによつて初めて開発され, 最近Voller, Bidwellにより, そのマイクロ法が紹介された. この方法によると, 得られた成績は, 非特異的な要因によつて左右されることが多いといわれている. したがつてウイルス学的血清反応に実用化するためには, 非特異的反応の除去が不可欠である. 今回我々は水痘, 麻疹, 風疹各ウイルスについて, マイクロELISA法における非特異的反応除去方法の検討を行なつた. その結果, (1) 水痘のELISA抗体価測定に際しては酵素標識抗体希釈液へのNaN3の添加と, 被検血清中の抗HEL抗体の吸収, (2) 麻疹, 風疹においては同様NaN3, の添加と抗原吸着後のwellに1%BSAをcoatingすることが有効であつた. これらの方法により水痘, 麻疹, 風疹の各ウイルスに対するEHSA抗体測定がマイク獄法によつても可能であると考えた.
  • 古田 格, 大畠 恒子, 大場 康寛
    1981 年 55 巻 3 号 p. 149-154
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    細菌検査の自動化は臨床検査の分野においては重要な問題である. 今回, 私どもはAuto Microbic System (AMS, Vitek System, Inc) に評価を加えるため, とくに, urine identification cardの精度と鋭敏性について検討した.Urine identification cardでは尿からの分離頻度の高い9菌種の同定と尿中細菌数の算定が可能である. 検査材料として標準菌株で作製したseed specirnenと807の臨床尿検体を使用した. 検討方法としてはclinical microbiology laboratory rnethod (CML) とAMSとの成績の比較検討を行つた.その結果, 少数例で偽陽性の結果が得られたが, 各々の菌種で95%以上の一致率が得られた. AMSで同定可能な検体は単一菌種につき104~105/mlの細菌数が必要で, 細菌数の少ないものでは検知されない. カードに検体を接種し, それぞれのmicrowellに高度の選択性を持たせてあるので, 分離培養を必要とせず, 13時間で同定結果が得られ, 従来法より迅速な結果が得られるので, 臨床的に期待できる.
  • RIA法およびRPHA法との比較
    柏木 征三郎, 林 純, 池松 秀之, 三宅 恒徳
    1981 年 55 巻 3 号 p. 155-160
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    最近酵素免疫測定法 (Enzyme immunoassay, EIA) が開発されHBs抗原の検出に応用されるようになつてきた.
    私どもは, EIA法 (Hepanostika, Organon Teknika 社) と従来のRIA法 (Ausria II, Abott 社) およびRPHA法 (オーセル, Abott社. リパースセル, 目黒研.およびエーザイセル, エーザイ社) とを実際の臨床材料を用いてHBs抗原の検出を行い比較検討した.
    一般住民2,768例中のHBs抗原は, EIA法およびRIA法では196例 (7.0%), 3種類のRPHA法では191例 (6.9%) に検出された.
    各種肝疾患々者222例中, EIA法, RIA法およびオーセルでは80例が陽性であつたが, このうち2例はリバースセルおよびエーザイセルで陰性と判定された.
    経過を追跡し得た急性肝炎3例では, RPHA法で陰性と判定された1-2週間後もなおEIA法およびRIA法では陽性であつた.
    数年にわたり経過を観察し得た慢性肝炎例では, リバースセルおよびエーザイセルで陰性化6ヵ月後までオーセルで, 10ヵ月後までEIA法で, 14ヵ月後までRIA法で陽性であつた.
    carrierの唾液61検体中, RIA法で20検体, EIA法で16検体, 腹水6検体に両方法によりHBs抗原が検出された.
    以上の結果により, EIA法はRIA法とほぼ同等の感度を有し, RPHA法より感度が良く有用な検査法と考えられる.
  • II新しいO: K組み合せを有する腸炎ビブリオ
    所 光男
    1981 年 55 巻 3 号 p. 161-170
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    食中毒患者由来の激ビブリオ菌株で, 新しいO: K継合せの抗原型として報告のあつた011: K19,012: K19, 01: K33, 03: K51の抗原型株について0抗原およびK抗原の抗原解析を行い, 次のような成績を得た.
    1.分離株GI-77-V-4 (0113K19), GI-75-V-100 (01: K33), GI-75-V-116 (03: K51) のO抗原は同じ0群抗原を有するパイロット株のO抗原と完全に一致した.
    2. GI-77. V-4株およびOP-204株のK抗原は07: K19パイロット株のK抗原と完全に一致した.3. GI-75. V-100株は2種類のK抗原を有しており, 03: K33パイロット株と共通なK抗原も有していたが, 主要K抗原は既知K抗原型には該当しない新K抗原型であつた.
    4. GL75-V-116株は011: K51パイβット株と主要K抗原は完全に一致したが, その外にパイロット株とは非共通なK抗原も有していた.
    5. 1: K33およびO11: K51パイ・ヅト株は主要K抗原の外に既知K抗原型には該当しないK抗原も有していた.
  • 第3報婦人の腟より分離したB群溶連菌の薬剤感受性成績
    大橋 浩文
    1981 年 55 巻 3 号 p. 171-176
    発行日: 1981/03/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    前報において, 妊婦及び非妊婦の腔内におけるGBSの検出率及び血清型別を検討した成績を報告したが, 今回腔より分離されたGBSに対し, 各種薬剤感受性試験を行い, さらに血清型別に薬剤耐性を検討した.
    対象は, 中央鉄道病院産婦人科外来患者301名で, このうち51名からGBSが分離されその血清型を検査したが, このうちの46株について最小発育阻止濃度 (MIC) を測定した.方法は, 日本化学療法学会標準法に準じ憾天平板希釈法により, 接種菌液は108CFU/mlを用い, 供試薬剤はPc-G, CER, TC, CP, EM, LcMの6剤である.
    GBS46株のMICの成績は, PC-G, CERのMICはすべて0.05μg/ml以下と感受性が高く, TCのMICでは17株 (37.0%) に50μg/ml以上, CPでは4株 (8.7%) に25μg/ml以上, EMでは1株 (2.2%) に12.5μg/ml, LcMでは1株 (2.2%) に100μg/mlの耐性菌が認められた.
    各種薬剤耐性の組合せと血清型との比較検討では, CP単独の耐性はIIIR型1株, TC単独ではIa型8株, IIIR型2株, Ic型1株, R型1株, その他1株に, TC・CPの二剤耐性はIIIR型2株, III型1株に, TC. EM. LCMの三剤耐性はR型1株に認められた. いずれかの薬剤に耐性を示す血清型の頻度は, IIIR型83.3%, R型66.7%, Ia型57.1%, Ib型0%, Ic型11.1%, III型10%と血清型による耐性化の差を認めた.
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