Mezlocillin (MZPC) の呼吸器感染症に対する有効性, 安全性ならびに有用性をAmpicillin (ABPC) を対照として比較した.
対象は, 年齢16歳以上の細菌性肺炎・肺化膿症, 慢性呼吸器感染症または二次性呼吸器感染症で入院中の患者とした.投与量はそれぞれ29×2/日d. i. とし, 原則として14日間投与することとした.
その結果, 臨床効果は全例233例 (MZPC群111例, ABPC群122例) ではMZPC群76.6%, ABPC群64.8%であり, 疾患群別に層別した場合, 非肺炎例でMZPC群76.5%, ABPC群56.3%の有効率が示され, いずれもMZPC群が有意にすぐれる効果が示された.また, 疾患群別, 重症度又は基礎疾患・合併症の有無により層別した場合, 重症度が中等度以上の全例および非肺炎群, また, 基礎疾患・合併症なしの全例および非肺炎群, さらに, 感染症の経過, 予後に影響をおよぼすような基礎疾患・合併症をもつ群での全例および肺炎群で, それぞれMZPC群の方が有意にすぐれる成績が得られた.
副作用は全例252例 (MZPC群120例, ABPC群132例) について検討され, MZPC群で5.0%.ABPC群で9.1%の発現頻度であり, 両群間に有意差はみられなかつた.
有用性は全例237例 (MZPC群113例, ABPC群124例) について評価された.「有用性あり」はMZPC群75.2%, ABPC群60.5%で, MZPC群が有意に高い成績が得られた.
以上の結果より, 呼吸器感染症に対しMZPC49/日群はABPC49/日群に比し, 臨床効果の点で一般にすぐれた成績が示され, とくに中等度以上に進展した症例および難治性因子を有するごとき症例に対してABPC群に比し有意にすぐれた成績が見出され, かつ副作用も少なかつた.
以上よりMZPCはとくにこの領域における臨床的有用性が十分期待出来うるものと考えられた.
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