前報において, 腔内のB群溶連菌 (以下GBS) の検出率が加齢に伴い増加傾向があることを報告したが, その理由として加齢に伴うLactobacillusの減少及び消失がGBS増加傾向の要因かどうか, またGBS以外の菌についても加齢に伴う変動の有無及びLactobacilluSの及ぼす影響について検討した.
昭和52年10月から55年9月まで中央鉄道病院産婦人科外来を受診した20-60歳の腟炎のない婦人218名を対象に, 腟帯下を培養した。
腔内からの細菌の検出状況は, Lactobacillus (53.7%), S.epidermidis (38.7%), E.coli (22.1%), Corynebacterium (18.9%) が高率に検出され, GBSは6.5%に検出された.
GBS, E.coli, Bacteroides, S.aureus は L.actobacillus 陰性老から有意に高率に検出された.
加齢に伴う変動としては, Lactobacillusが加齢に伴い減少していくのに対しGBSは逆に加齢に伴い増加傾向を認めた. S.aureus は50歳以上に高率に検出され, Candida albicans は若年層に高率に検出され, 加齢と共に減少傾向を認めた.
Lactobacillusの減少ないし消失する高年層に多く認められ, Lactobacillus陰性者から有意に高率に認められたGBS, S.aureus は Lactobacillus によりその発育が抑制されていることが示唆された.
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