感染症学雑誌
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55 巻, 7 号
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  • 田吹 和雄, 西村 忠史, 広松 憲二, 高島 俊夫, 高木 道生
    1981 年 55 巻 7 号 p. 469-478
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    小児尿路感染症36症例につきACB法を施行し診断上の有用性を検討した.36症例中Aub陽性は19例で, うち17例 (89.5%) に尿路感染の反復, 11例 (57.9%) に尿路の病的基礎因子を認めた.一方ACB陰性17例では, 尿路感染の反復, 病的基礎因子の存在は少なく, 夫々1例 (5.9%), 3例 (17.6%) であつた.36症例について臨床症状と検査成績から感染部位診断を行い, ACB法の結果と対比した.上部尿路感染症の6例は全例ACB陽性。下部尿路感染症12例中7例はACB陰性であつたが, ACB陽性の5例は尿路感染の反復や病的基礎因子を有した.感染部位の決定が困難であつた18例中10例はACB陰性, ACB陽性の8例は反復感染や病的基礎因子を有した.菌体をcoatする抗体と関与する免疫グロブリン分析は, ACB陽性10例につき検討しIgG, IgA, IgMは夫々10, 5, 5例に陽性であつた.ACB法と血清凝集価との関係は, 抗体価256倍以上の症例は全例ACB陽性, 抗体価64~128倍の症例でもACB陽性であつた.
    成人とことなり尿路感染部位確定診断法の実施困難な小児において, ACB法は上部, 下部尿路感染症の鑑別に有用性のたかいことが明らかにされた.
  • 大西 治夫, 小雀 浩司, 稲場 均, 嶋田 茂俊, 田島 茂男, 鈴木 泰雄
    1981 年 55 巻 7 号 p. 479-489
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    抗ウイルス物質inosiplexの, 宿主感染防禦能に対する作用について検討した.Inosiplexはphytohemagglutinin, concanavalin Aおよびリンパ球混合培養によるリンパ球の分裂増殖を, levamisoleと同程度に促進したが, 1ipopolysaccharideによる分裂増殖を促進せず, 主としてTリンパ球に作用するものと思われた.Inosiplexは, in vitro, in vivoいずれにおいても抗体産生を増強し, 特に二次反応をより強く増強した.一方, levamisoleは, 二次反応には影響せず, 両者の作用は, 異る機序に基づくものと思われた.Inosiplexはまた, 細胞性免疫能, 食細胞機能および免疫インターフェロソ産生を増強したが, kilIer T細胞, natural killer細胞あるいはADCCに基づく標的細胞障害作用には影響しなかった.
  • 大西 治夫, 小雀 浩司, 稲場 均, 大倉 正嗣, 嶋田 茂俊, 田島 英男, 鈴木 泰雄
    1981 年 55 巻 7 号 p. 490-500
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    抗ウイルス物質inosiplexの, in vitroにおけるウイルス増殖およびin vivoにおける実験的ウイルス感染症に対する作用につき検討した.Inosiplexは, herpes simplex virus (HSV), vaccinia virusなどのDNAウイルス, influenza virus (INFV), parainfluenza virusなどのRNAウイルスの増殖を抑制し, 比較的広い抗ウイルススペクトルを有していた.HSV感染ハムスターおよび免疫抑制下におけるINFV感染マウスの生存率は, inosiplex投与により著明に上昇し, また, マウスのINFV一次感染後にinosiplexを投与すると, 二次感染に対する抵抗性が増大した.このinosiplex投与による二次感染抵抗性は, INFV一次感染後, inosiplexを投与されたマウスのリンパ球を移植されたマウスにおいても認められ, 主として宿主感染防禦能を介するものと思われた.InosiplexのINFV二次感染防禦作用は, inosiplexを二次感染後に投与した際にも認められた.また, inosiplexを, 一次感染後から継続的に投与すると, さらに強い作用が認められたことから, inosiplexのINFV感染防禦作用には, ウイルス増殖抑制作用と, 宿主感染防禦能賦活作用の両者が関与するものと思われた.
  • 中島 邦夫, 奥山 道子, 田村 俊秀, 奥田 清
    1981 年 55 巻 7 号 p. 501-510
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    溶血レンサ球菌分離のための平板培地は, 一般に5%緬羊 (ウマ) 脱線維血液寒天平板培地 (Regular培地) が使われている.しかし, この培地はグラム陽性菌は勿論, 陰性菌もよく発育し, 目的のレンサ球菌がマスクされて釣菌の困難なことが多い.そのため, 選択培地としてcolistinとnalidixic acidを加えたColumbia CNA agarが市販されているが, 今回, 基礎培地としてheart infusion agarを用いた自家製のCNA培地を作成しその効果を検討した.その結果, グラム陰性菌の発育は抑制したが, 陽性菌とくにブドウ球菌は阻止できなかつた.そこで, ブドウ球菌をも抑制する目的で自家製CNA培地にcrystalvioletを加え, またレンサ球菌の発育を促進させるため, yeast extractとNaClを加えCNA-CYNともいうべき培地を考案し, N-O (エヌオー) 培地と仮称した.
    このCNA培地とNO培地に5%の割合に緬羊脱線維血液を加えたものと, 従来のRegular培地を, 当所入所児 (結核, 気管支喘息, 肥満等) と大阪市内小学校の健康学童を対象に, それぞれの咽頭溶血レンサ球菌 (A.B.C.G群) の検出率を比較した.当所入所児ではRegular培地で11.6%の検出率であつたが, CNA培地で21.5%と上昇し, NO培地では30.0%とさらに向上した.健康学童ではRegular培地で23.3%であつたが, CNA培地では31.1%と上昇し, NO培地では59.2%と著明に増加した.群別でみるとA群も勿論であるが, B群の検出率の増加が顕著にみられた.
  • 村瀬 雄二
    1981 年 55 巻 7 号 p. 511-523
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    最近百日咳の菌体成分のうち赤血球凝集素 (hemagglutinin: HA) が感染防御抗原としての役割を担つていることが明らかになつてきた.現行の百日咳ワクチンは全菌体ワクチンで副反応が不可避であるため, 現在HAを抽出して用いた百日咳HAワクチンが開発されつつある.筆者はこのHAワクチン接種後の効果判定には従来より行われてきた凝集素価の測定は不適当で, HAに対する抗HA抗体を測定することがより特異的であると考え, 従来インフルエンザ等の抗体価測定に用いられているSingle Radial Hemolysis (SRH) 試験法を応用して百日咳SRH法を開発し, HAの一種であるfimbrial hemagglutinin (F-HA) に対する抗F-HA抗体を測定することを試みた.HAワクチン免疫モルモット血清では抗F-HA抗体価は免疫後2週から12週まで全例で著明な上昇を認め, 凝集素価と比較し高い陽性率を示した.HAワクチン接種後のヒト乳幼児血清では, 第1期1回後はほぼ全例, 2回後, 2期後には全例が著明な抗F-HA抗体価の上昇を示し, 特に2期では接種前には抗体を認めないが接種後には明らかなbooster効果を認めた.ヒト乳幼児血清でもやはり凝集素価より抗F・HA抗体価の方が陽性率が高く, HAワクチンのワクチン効果判定には百日咳SRH法の方が百日咳菌凝集反応法より鋭敏であることが明らかになつた.なお, 百日咳SRH法により検出される抗F-HA抗体はIgGに属することが示唆された.今回筆者の開発した百日咳SRH法は, 1) HAワクチン接種後の抗F-HA抗体を特異的に測定することができる.2) 測定に要する血清量は微量で済み乳児の検査に適している.3) 測定に要する大きな設備は必要とせず, 安価に, 比較的簡単にそして短時間で行えるなどの長所がある.以上のような観点から今後この百日咳SRH法は広く行われるものと期待できる.
  • 砂川 慶介, 秋田 博伸, 南里 清一郎, 山下 直哉, 堀田 昌宏, 城崎 慶治, 岩田 敏, 岩崎 由起夫, 金光 岳文, 小佐野 満, ...
    1981 年 55 巻 7 号 p. 524-533
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1) Tobramycin (TOB) の投与法につき, 筋注と, 静脈内投与 (oneshot, 15分, 30分, 60分点滴) の比較を行つた.ウサギ, 小児ともに2.5mg/kgの投与で血中濃度を測定すると30~60分点滴が筋注と同様のパターソを示した.1回投与量は乳幼児2~2.5mg/kg, 学童1.5~2mg/kg投与回数は1日2~3回が適当と考えられた.
    2) 尿路感染症10例にTOBを静脈内投与して臨床効果を検討したところ, 著効6例, 有効3例, やや有効1例と良い結果が得られた.
    3) 尿路感染症由来のE.coli 14株についてTOBのMICを測定したところ, 1例を除き1.56μg/ml以下の成績を得た.
  • 吉崎 悦郎, 神木 照雄, 坂崎 利一, 田村 和満
    1981 年 55 巻 7 号 p. 534-536
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    気管支肺炎患者の喀痰から推定原因菌としてPasteurella ureaeを分離した.分離菌株はP.ureaeのtyPestrainの性状と一致し, ペニシリン系, セファロスポリン系, アミノグリコシヅド系, テトラサイクリン系, クロラムフェニコールなどの薬剤に感受性であった.
  • 1981 年 55 巻 7 号 p. 537-539
    発行日: 1981/07/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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