猩紅熱に対するCefadroxil (CDX) の有効性と安全性を客観的に評価する目的で, Cephalexin (CEX) を対照薬剤として, 二重盲検比較試験を行い, 次のような成績を得た.
1) 体重15~30kgの猩紅熱患者を対象とし, 体重15~20kg未満の症例には, CDX600mg (力価), CEX800mg (力価) を, また体重20~30k9の症例にはCDX900mg (力価), CEX1, 200mg (力価) を投与した.なおCDX群はCDXを1日3回とプラセボを1回, CEX群はCEXを1日4回, 7日間経口投与した.
2) 総投与症例336例のうち, 除外7例, 脱落10例の計17例を除き, CDX群158例, CEX群161例について効果の判定を行った.
3) 総合した臨床効果および有用性の判定は, 両薬剤群間に有意差は認められなかった.
4) 治療終了後再排菌のあった例は, CDX群にやや多かったが, 有意差は認められなかった.
5) 発熱, 発疹, 咽頭発赤および咽頭溶連菌について, 経日的効果は群間に差はなかった.
6) 副作用としては発疹が, CDX群165例中1例, CEX群169例中3例 (うち1例は嘔吐, 腹痛を併発) にみられたが, 両群に有意差はなかった.
以上の成績から, Cephalexin 1日4回投与に比較して, Cefadroxilは1日3回投与で, また投与量もCephalexinよりも少量で充分有用であることが客観的に評価できた.
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