感染症学雑誌
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56 巻, 4 号
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  • 倉辻 忠俊, 老川 忠雄, 清水 俊一, 岩崎 由紀夫, 小島 正, 滝沢 金次郎, 浅井 良夫
    1982 年 56 巻 4 号 p. 263-271
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Campylobacter腸炎患者, その家族および対照者の血清凝集素価を測定し, 検討した.まず試作抗血清 (仲西による) を用いて患者糞便により分離したC. jejuni株の血清型を調べ, さらにその加熱死菌を抗原として患者の凝集素価を測定し, 次の結果を得た.
    1) C.jejuniに対する血清凝集素価は, 腸炎発症後1~2週以内に20~640倍に上昇し, 6ヵ月以上にわたって凝集素を証明できる.
    2) 家族内発症の場合, 無症状でも, また糞便から菌が検出できなくても血清凝集素価の上昇により不顕性感染を証明できる.
    3) 集団発生時の症例または散発症例のいずれにおいても複数血清型菌の混合感染が認められる.
    4) 二次感染または同一人の感染経過中において, 血清型の異った菌が検出されることがある.C. jejmiの菌体抗原分析を行い血清型分類を確立しなければならないと思われる.
  • 石ケ坪 良明, 谷 賢治, 坂本 洋, 阿部 静夫, 成田 雅弘, 長岡 章平, 加藤 清, 松永 敬一郎, 千場 純, 福島 孝吉, 谷 ...
    1982 年 56 巻 4 号 p. 272-277
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    [目的] SLEに帯状庖疹が併発しやすいことが指摘されているが, その原因については未だ不明である.そこで, 今回われわれは, 53例のSLE患者を対象として, 帯状庖疹併発について調査し, 罹患前後および全経過を通-じての臨床・検査所見を検討することにより, SLEに高率に帯状萢疹が併発する原因について検討することを目的とした.なお, Lymphoma 40例を疾患対照とした.
    [結果] 1) 53例中21例 (40%) に帯状庖疹併発を認め, 併発例中5例 (24%) に再発を認めた.これに対して, Lymphomaでは, それぞれ3例 (7.5%), 0例であった。2) SLE発症より, 帯状萢疹罹患までの期間は比較的短く, 3年以内が14例 (67%6) に認められた.Lymphomaでは末期の罹患であった.3) 治療に関しては, ステロイド初回投与量が併発例に多く, 3年間の総投与量は非併発例に多かった.4) 罹患前後の検討では, 帯状庖疹併発例, 再発例に補体価の低値を示す症例が多く, 併発の原因の1つと考えられる.Lymphomaでは, 低補体価を示すものはなかった.5) 全経過の検討では, 帯状疸疹併発例に, 有意に白血球減少, 腎機能障害を認め, これらも併発の原因の1つと考えられる.
  • 重野 芳輝, Masao NAGASAWA, 渡辺 講一, 田中 光, 朝長 昭光, 伊藤 直美, 田代 隆良, 藤田 紀代, 山口 恵三, ...
    1982 年 56 巻 4 号 p. 278-285
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Thomasらの報告した抗体感作細菌 (antibody-coated bacteria, ACB) の存在を, 尿路感染を除く各化膿巣より採取した膿・滲出液・分泌物などについて検討し, 同時にグラム染色と細菌の同定を平行して行い, その臨床的意義について検討した.対象168検体 (131症例) のうち菌培養陽性でACB陰性のものは97例あったが, 培養陽性の中には起炎菌としての意義が不明のものが多数みられた.ACB陽性例は39検体で, そのうち35検体は細菌培養陽性であったが, 4検体は明らかな感染がみられたにもかかわらず培養陰性で, 菌分離よりもACBが有意義であった例と考えられた.菌種別にみると, 各検体からの分離細菌も, ACB陽性例における分離菌も, E.coliが最も多く, 次いでBateroidesが多かったが, Protrus群は分離頻度が少ない割にはACB陽性のものが多く, 一方α, β, γ-streptococcus, Enterococcus, S. marcescensなどでは分離頻度が多い割には, ACB陽性例は少なかった.ACB陽性の程度と菌数の間にはある程度の相関があり, 菌数が多いものほどACBの程度も強い傾向がみられた.感染病巣におけるACBの検索は, ごく少量の検体でも可能で, 操作が容易で, 短時間で判定でき, 起炎菌の大まかな形態や菌量の推定も可能で, より早期に起炎菌が把握でき, とくに菌同定までに時間を要する嫌気性菌では有効な方法であろうと考えられた.
  • 黒崎 知道, 中村 明, 上原 すゞ子, 寺島 周, 沖本 由理, 菅谷 直子
    1982 年 56 巻 4 号 p. 286-293
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    われわれは, インフルエンザ菌 (Haemophilus influnezae, 以下H. influenzae) 感染症の研究の一環として, 1978年から1980年に, 当教室および関連病院小児科で分離されたH. influenzaeの最小発育阻止濃度 (以下MIC) 測定を行ってきたが, 1979年に5株, 1980年に5株のchloramphenicol (CP) 耐性H. influenzaeを分離し, さらに, 1980年には, 4株のampicillin (A8PC)・CP両剤耐性H. infuenzaeを分離した.
    ABPC感性CP耐性株のCPに対するMICは, 106/ml接種にて, 全株とも6.25μg/ml以上で, Mantenらの方法に準じて施行したchloramphenicol acetyltransferase (以下CATase) 活性は, 全株とも陽性であった.
    ABPC・CP両剤耐性株4株のABPCに対するMICは, 3.13μg/ml~6.25μg/ml, CPに対するMICは, 12.5μg/ml~25μg/mlで, β-lactamase, CATaseともに陽性であった。
  • 冨沢 功, 滝沢 慶彦, 小西 和美, 今川 八束, 村田 三紗子, 辻 正周, 松原 義雄, 瀬尾 威久, 相楽 裕子, 庭野 一次, 大 ...
    1982 年 56 巻 4 号 p. 294-310
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    猩紅熱に対するCefadroxil (CDX) の有効性と安全性を客観的に評価する目的で, Cephalexin (CEX) を対照薬剤として, 二重盲検比較試験を行い, 次のような成績を得た.
    1) 体重15~30kgの猩紅熱患者を対象とし, 体重15~20kg未満の症例には, CDX600mg (力価), CEX800mg (力価) を, また体重20~30k9の症例にはCDX900mg (力価), CEX1, 200mg (力価) を投与した.なおCDX群はCDXを1日3回とプラセボを1回, CEX群はCEXを1日4回, 7日間経口投与した.
    2) 総投与症例336例のうち, 除外7例, 脱落10例の計17例を除き, CDX群158例, CEX群161例について効果の判定を行った.
    3) 総合した臨床効果および有用性の判定は, 両薬剤群間に有意差は認められなかった.
    4) 治療終了後再排菌のあった例は, CDX群にやや多かったが, 有意差は認められなかった.
    5) 発熱, 発疹, 咽頭発赤および咽頭溶連菌について, 経日的効果は群間に差はなかった.
    6) 副作用としては発疹が, CDX群165例中1例, CEX群169例中3例 (うち1例は嘔吐, 腹痛を併発) にみられたが, 両群に有意差はなかった.
    以上の成績から, Cephalexin 1日4回投与に比較して, Cefadroxilは1日3回投与で, また投与量もCephalexinよりも少量で充分有用であることが客観的に評価できた.
  • 柏木 征三郎, 林 純, 新宮 世三, 林田 一男, 加地 正郎
    1982 年 56 巻 4 号 p. 311-319
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    沖縄県石垣島, 宮崎地区および福岡地区における医療従事者3,083例について, HBs抗原, 抗体およびHBe抗原を測定し, それぞれの地区における一般住民と比較検討した.
    HBs抗原陽性率については, 石垣島では, 医療従事老は7.0%, 一般住民は7.6%であった.宮崎地区では, 医療従事者は3.2%, 一般住民は2.9%であり, 福岡地区では, 医療従事者は3.4%, 一般住民は3.2%であった.石垣島では, 一般住民の方がむしろ医療従事者に比べて高率であり, 宮崎および福岡地区では医療従事者の方が高率であったがその差はわずかであった.
    HBs抗体については, 三地区とも医療従事者の方が高率であったが, その差は石垣島で3.3%, 宮崎および福岡地区は, それぞれ1.9%および5.6%でありわずかであった.
    HBs抗原か抗体を保有する浸淫率については, HBs抗体と同様に, 三地区とも医療従事者の方が高率であったが, その差はわずかであった.
    職種別の浸淫率は, 看護婦, 放射線技師, 検査技師の順に高かったが, 充分に職歴の調査のできた834例の看護婦では, 外科系が31.8%と内科系の23.8%より高く, 加齢と共に上昇する率も高かった.
    医療従事者と一般住民との差がわずかであり, 海外の成績と異なっていたが, 医療機関に従事する年代で, すでにかなりHBVに暴露されているためと考えられる.
  • ヒト白血球の緑膿菌食菌作用について
    高島 俊夫
    1982 年 56 巻 4 号 p. 320-334
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    緑膿菌感染防御機構を生体の非特異的感染防御機構である好中球の食菌作用の面から解明を試みた. ヒト好中球の食菌作用に及ぼす抗体・補体・および緑膿菌の内毒素, 菌体外酵素の影響, さらに実際に高度免疫抗緑膿菌グロブリン (OEP-HA価256倍) のヒト好中球の緑膿菌食菌作用に及ぼす影響についても検討した.
    血清型G群緑膿菌由来のLPS (Lipopolysaccharides) はG型菌食菌作用を抑制したが, C群菌, E群菌に対しては食菌作用抑制はみられず, 型特異性が示された. 一方OEP (Original Endotoxin Protein) はLPSに比べその抑制作用は軽く, 型の異なる緑膿菌を用いても差はなく型特異性はみられなかった.
    elastase, protease, slimeも好中球の緑膿菌食菌作用を抑制した. とくにelastaseの作用は顕著でヒト血清を用いてみた補体への影響においてもelastaseが最も強く補体を失活した. 好中球の緑膿菌食菌作用は, 補体の存在下で緑膿菌OEP抗体により増強され, それは抗体の吸収により低下を示した. なおこの作用は添加血清を非働化し補体を失活させても低下した. またこの活性経路は主にalternate pathwayによることが推察された.
    高度免疫抗緑膿菌グロブリンはopsoninとして添加したヒト血清のOEP抗体価が低い時は好中球の緑膿菌食菌作用を増強したが, 添加血清のOEP抗体価が高くなるとグロブリン効果は乏しかった.
  • 前田 裕弘, 福田 幸治, 入交 清博, 堀内 篤, 竹中 清吾, 古田 格, 大場 康寛, 東 逸男, 原田 七寛, 北浦 敏行
    1982 年 56 巻 4 号 p. 335-340
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    症例. 48歳男性. 主訴は両側膝関節部より末梢の腫脹および疹痛. 昭和54年に糖尿病・肝硬変症, 肝癌で当科に約3ヵ月入院. その後外来通院していた. 昭和55年7月29日頃より38.8℃ の発熱および両下腿の腫脹と疹痛が出現し, 7月31日には歩行不能となり緊急入院した. 血圧70/40mmHg, 脈拍112/min. 体温36.1℃, チアノーゼを認めショック状態にあった. 血漿Fibrinogen145mg/dl. 血中FDP40μg/ml. P. T. 18.7sec (11.3sec), 血清NH3 180μgtml, 昇圧剤・副腎皮質ステロイド・抗生剤などを投与したが反応せず, 入院約11時間後に死亡した. 死因として敗血症, DIC, 肝性昏睡が考えられた. 剖検所見では肝硬変のほか直径約1cmの肝癌を認め諸臓器の炎症病巣は明らかにできなかった. また, 体表面に外傷も認められなかった. 死亡前に施行した血液培養でVibrio vulnificusが検出された. 患者は海水に接した既往はないが, 生の魚貝類が好物であった.
    検出菌の主な検査所見: グラム陰性桿菌, 液体培地では極単毛であったが・固型培地では極多毛を示した. ブドウ糖発酵オキシダーゼ (+), 尿素 (-), クエン酸 (+), VP (-), インドール (+), ONPG (+), リジン (+), アルギニン (-), オルニチン (+), グルコース (+), ラクトース (+), マンニット (+), サリシン (+), サヅカロース (-) であり, 食塩耐性試験では0%(-), 0.5%(+), 6%(+), 7%(一) であった.以上の結果よりvibrio vulnificusと同定した.
  • 須田 耕一, 若林 とも, 原中 勝征, 後藤 元, 安達 房代, 小酒井 望
    1982 年 56 巻 4 号 p. 341-348
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    症例は66歳, 女性, 主婦と52歳, 男性, 技術員で, 2例とも空洞を有する結核症として治療されていたが, その後, 分離菌のナイアシソテストが陰性であったため非定型抗酸菌症と判明した. 両者は抗結核剤などの治療にもかかわらず進行性に増悪し, 肺炎の合併や全身衰弱で死亡した.
    剖検すると, 2例とも灌注気管支を伴った巨大な空洞かあり, 同時に類上皮細胞肉芽腫が両肺に散在性に分布していた. 空洞壁などより, 抗酸菌染色陽性の桿菌が認められた. 肺門部や気管周囲などの所属リンパ節にも類上皮細胞肉芽腫が認められ, 本症の肺外病変と考えられた. 剖検時肺組織より非定型抗酸菌Mycobsctrrium KmsasiiM. intmcellulmをそれぞれ分離した.
  • 楠 淳, 西條 頼広, 松本 昌雄
    1982 年 56 巻 4 号 p. 349-352
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 1982 年 56 巻 4 号 p. 353-355
    発行日: 1982/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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