Toxoplasma gmdiiに対するヒトIgG抗体を検出するため, 免疫ペルオキシダーゼ間接法 (IIP) の検討を行った.
まず, ヒトIgG: FCおよびヒトIgG: F (ab')
2に対するペルオキシダーゼ (PO) 標識ヤギIgG分画を用い, 100血清について, IIPを行った.次に, IIPによる抗体価を, fluorescein isothiocyanate (FITC) 標識ウサギ抗血清を用いた免疫蛍光間接法 (IIF) およびトキソテストーMT (栄研) を用いたラテックス凝集試験 (LA) による抗体価と比較した.さらに, いくつかの手技上の問題点を明らかにした.
結果は次のとおりである.
1) ヒトIgGに対するヤギおよびウサギの抗血清は, いずれも抗トキソプラズマ抗体を保有していた.それ故, 使用前に, 二次血清をトキソプラズマ虫体で吸収する必要があった.
2) 抗F (ab') 2抗血清を用いたIIPでは, 正常IgMがトキソプラズマ虫体の表面に (非特異的に) 結合することにより, 非特異染色 (polar staining) が見られたが, γ 鎖特異的な抗体を用いたIIPでは, そのような染色は見られなかった.
3) 100血清中, 33血清は, IIPでも抗トキソプラズマ抗体陽性 (1: 20以上), IIFでも陽性 (1: 10以上) を示し, その抗体価は両方法で相関した.また67血清はいずれの方法でも陰性を示した.なお, 数例の陰性血清 (67例中4例) が, 抗F (ab') 2抗血清を用いた場合に1: 10で陽性を示し, 抗Fc抗血清を用いた場合に陰性を示したため, 1: 20以上の抗体価を示す血清を抗トキソプラズマ抗体陽性とした.
4) 94血清中, 25血清はLAにより抗トキソプラズマ抗体陽性 (1: 40以上) であった.LA陽性血清は, 1例を除き, IIPでも陽性 (1: 20以上) を示した.63血清はLA, IIPのいずれの方法でも陰性を示した.LAで1: 20を示し疑陽性とされた6血清は, IIPでは2例が陰性, 4例が陽性を示した.
最後に, IIPは, IIFに比べいくつかの利点を持つため, 抗トキソプラズマIgG抗体の定量に有用である.
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