感染症学雑誌
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56 巻, 5 号
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  • 松井 博範, 對尾 征彦, 船橋 満, 中村 章, 井上 裕正
    1982 年 56 巻 5 号 p. 357-363
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    百日咳感染におけるIgM (19S), IgG (7S) 抗体およびIgA抗体の重合体がどのような病期に, またどのような関係で血中に出現してくるかを明らかにする目的で, 百日咳と診断された0.8~10.1歳の患者20名のペア血清40検体を用い, ショ糖密度勾配遠心法により検討し次の結果を得た.
    19S抗体は第1病週から100%6に出現し長く持続する.7S抗体は19S抗体に比べてやや遅れて出現し, 第7~8病週で100%となるが, 再感染と考えられる場合は第1病週で出現する.IgA抗体の重合体は, 19S抗体についで出現するがその出現率は30%程度で, 第2~6病週に認められた.
  • 中村 嘉孝, 町井 彰, 村上 義次, 庭野 一次, 相楽 裕子, 瀬尾 威久, 松原 義雄
    1982 年 56 巻 5 号 p. 364-372
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1970年1月より1979年12月までに都立豊島病院に収容し, Salmonella typhiを検出し, かつ心電図を記録した急性期腸チフス患者56例 (男35, 女21)[高血圧・心疾患症例を除外した] を対象として, 入院時の心電図を中心に, 体温, 胸部X線写真, 血算, 電解質, GOT, GPT, LDH, Al-Pを検討した.56例中25例44.6%に何らかの心電図異常 (ST-T異常9例, 0.45秒以上のQTc延長9例, 一度房室ブロック5例, 心室性期外収縮1例, 完全右脚ブロック1例) を認めた.P波に異常なく, 左軸偏位を1例認めた.記録病日に関連して心電図異常の出現率をみると1~10病日で20%, 11~20病日で40%, 21~30病日で77.8%となり, chloramphenicol治療を始めるまでの菌血症の期間が長いほど, ECG異常出現率が高くなる.心胸比を検討し得た53例中10例18.9%に50%以上の心胸比の症例を認め, 心拡大例に心電図異常例が多く見られた.腸チフスの3主徴の1つ, 比較的徐脈を自験例についても確認できた.Hb109/dl以下の貧1血は比較的徐脈を見い出しにくくする.比較的徐脈はST-T異常以外の房室ブロック, QTc延長, 心拡大とは相関しないので, S.typhiに由来する心筋炎の臨床症状とは結論できない.GOT, GPT, LDH, Al-Pと心電図所見とは関連を認めない.S.typhiに由来する心膜・心筋炎の症例の心電図経過を呈示した.
  • 山本 正悟, 河野 喜美子, 南嶋 洋一
    1982 年 56 巻 5 号 p. 373-380
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Toxoplasma gmdiiに対するヒトIgG抗体を検出するため, 免疫ペルオキシダーゼ間接法 (IIP) の検討を行った.
    まず, ヒトIgG: FCおよびヒトIgG: F (ab') 2に対するペルオキシダーゼ (PO) 標識ヤギIgG分画を用い, 100血清について, IIPを行った.次に, IIPによる抗体価を, fluorescein isothiocyanate (FITC) 標識ウサギ抗血清を用いた免疫蛍光間接法 (IIF) およびトキソテストーMT (栄研) を用いたラテックス凝集試験 (LA) による抗体価と比較した.さらに, いくつかの手技上の問題点を明らかにした.
    結果は次のとおりである.
    1) ヒトIgGに対するヤギおよびウサギの抗血清は, いずれも抗トキソプラズマ抗体を保有していた.それ故, 使用前に, 二次血清をトキソプラズマ虫体で吸収する必要があった.
    2) 抗F (ab') 2抗血清を用いたIIPでは, 正常IgMがトキソプラズマ虫体の表面に (非特異的に) 結合することにより, 非特異染色 (polar staining) が見られたが, γ 鎖特異的な抗体を用いたIIPでは, そのような染色は見られなかった.
    3) 100血清中, 33血清は, IIPでも抗トキソプラズマ抗体陽性 (1: 20以上), IIFでも陽性 (1: 10以上) を示し, その抗体価は両方法で相関した.また67血清はいずれの方法でも陰性を示した.なお, 数例の陰性血清 (67例中4例) が, 抗F (ab') 2抗血清を用いた場合に1: 10で陽性を示し, 抗Fc抗血清を用いた場合に陰性を示したため, 1: 20以上の抗体価を示す血清を抗トキソプラズマ抗体陽性とした.
    4) 94血清中, 25血清はLAにより抗トキソプラズマ抗体陽性 (1: 40以上) であった.LA陽性血清は, 1例を除き, IIPでも陽性 (1: 20以上) を示した.63血清はLA, IIPのいずれの方法でも陰性を示した.LAで1: 20を示し疑陽性とされた6血清は, IIPでは2例が陰性, 4例が陽性を示した.
    最後に, IIPは, IIFに比べいくつかの利点を持つため, 抗トキソプラズマIgG抗体の定量に有用である.
  • 稲本 元
    1982 年 56 巻 5 号 p. 381-385
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    透析患者のごとき免疫不全患者では結核の肺外散布が起こりやすいであろうと推測されている.そこで透析患者における肺結核の肺外病巣につき疫学的に検討した.
    対象は全国161施設の透析患者男子4,722人, 女子2,552人でそのうち結核患者は150人であった結核病巣が明らかな男子84人, 女子53人のうち肺結核患者は男子59人, 女子26人であった.肺結核透析患者のうち肺外病巣を伴ったものは男子14人, 女子13人であり, 肺結核患者のうち男子で24%, 女子50%が肺外病巣を伴っていた.透析患者は非腎不全期に比べ肺外病巣を伴うことが多く, 肺外病巣を伴う肺結核は予後が不良であった.肺結核の致命率は合併する肺外結核罹患臓器数の増加に伴い高くなった.合併する肺外罹患臓器は多彩で脳実質と筋肉を除き全身に及んでいた.各肺外臓器の合併頻度は異なり, 頻繁に合併する臓器が侵された場合患者の致命率は低く, 合併が稀な臓器が侵襲された場合は致命率が高かった.致命率を高くした合併結核臓器は非腎不全期には合併が見られず透析患者に特徴的に見られた。
  • 村田 銀蔵
    1982 年 56 巻 5 号 p. 386-390
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    特殊な病因物質にかたよらず, また食中毒発生のかなり多い東京都の食中毒事例を用い, 気象要因にもとつく食中毒発生予測判別式を作出した.直接バリマックス法, 重回帰分析, 判別分析の併用により実際の適中率65~68%程度の判別式を作り出すことができた.この式は事後予測のみでなく, 事前予測に対しても十分に使用に耐えるものと推察される.
  • Well-controlled studyによる比較
    中川 圭一, 渡辺 健太郎, 木原 令夫, 小山 優, 鈴木 達夫, 加藤 康道, 斉藤 玲, 中山 一朗, 富沢 磨須美, 松井 克彦, ...
    1982 年 56 巻 5 号 p. 391-402
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    CLDM-Pの急性肺炎に対する治療効果をLCMを対照薬としてwell-controlledstudyセこよる比較試験を行った.対象疾患は急性肺炎 (グラム陽性球菌, マイコプラズマ, 嫌気性菌による肺炎) とし, CLDM-PおよびLCM共1回600mgを1日2回筋注で投与し, 投与期間は原則として2週間とした・投与総例数はCLDM.P30例, LCM27例であったが, 小委員会においては急性肺炎として46例が採用された.そのうち細菌性肺炎としてCLDM-Pに18例, LCMに19例が採用され, マイコプラズマ (MP) 肺炎としてCLDM'Pに5例, LCMに4例採用された.細菌性肺炎に対する有効率はCLDM-Pが88.9%, LCMが89.5%と高率で, MP肺炎に対しても両群共に100%の有効率を示した.副作用においても両群間に有意差はなく, 有用性においても主治医判定で有意差はなかった.以上の事実からCLDM-Pは急性肺炎に対してはLCMと同等の有用性を有する薬剤と考えられる.
  • 二重盲検法による比較
    中川 圭一, 小山 優, 伊藤 勝仁, 山本 敬, 上田 雅己, 福井 洸, 斉藤 玲, 中山 一朗, 富沢 磨須美, 松井 克彦, 阿部 ...
    1982 年 56 巻 5 号 p. 403-433
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    CLDM-Pの治療効果および副作用を急性肺炎を対象とし, LCMを対象薬として二重盲検法によって比較検討した.この研究は全国25施設で119例について行われた.このうち小委員会において25例が解析対象から除外され94例が解析対象として採用された, 投与法は1回600mgを200~300mlの糖液または生食液に溶解し, 1日2回約1時間かけて点滴静注した.
    試験成績をCLDM-P群50例, LCM群44例について検討したが, 全般改善度はCLDM-P群88.0%, LCM群93.2%ときわめてすぐれた効果をおさめ, 両群問に有意差はなかった.
    症状, 所見についてみるとCLDM-P群に有意にすぐれたもの, あるいはすぐれた傾向を示したものが数項目認められたが, CLDMの抗菌力がLCMに比しすぐれていることに, 起因するものであろう.
    副作用, 検査値異常についても両薬剤間に有意差はなく, CLDM-Pは急性肺炎に対し有用性のある薬剤であるといえよう.
  • 多施設二重盲検法によるIbuprofbnとの比較
    勝 正孝, 早川 正勝, 河合 美枝子, 藤森 一平, 河野 通律, 竹田 義彦, 関田 恒二郎, 荻原 宏治, 野口 龍雄, 飯塚 邦芳, ...
    1982 年 56 巻 5 号 p. 434-453
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    The efficacy and safety of miroprofen, a new non-steroidal analgesic/anti-inflammatory agent, were compared those of ibuprofen in 179 patients with acute upper respiratory infections by a double blind method. Patients were administered either miroprofen 150 mg t.i.d. or ibuprofen 300 mg t.i.d. for 4 days. The results were as follows;
    1. In final global improvement rating, clinical improvement was 89%(70/79) in miroprofen group and 83%(70/84) in ibuprofen group, showing no significant differences between two groups.
    2. In overall safety rating, adverse effects were 8%(7/83) in miroprofen group and 3%(3/86) in ibuprofen group, showing no significant differences between two groups.
    3. In improvement of severity rating on hoarse voice and pharynx redness on 2nd day, and headache on 4th day, miroprofen group was significantly superior to ibuprofen group (p<0.05).
    4. In global utility rating, usefulness was 81%(64/79) in miroprofen group and 81%(68/84) in ibuprofen group, showing no significant differences between two groups.
  • 1982 年 56 巻 5 号 p. 454-456
    発行日: 1982/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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