Mycoplasmapneumoniae (以下M.Pn.と略す) による心炎 (心膜・心筋炎) は, 比較的稀で, 本邦では10例を数えるにすぎない.
今回, M.Pn.感染症に合併した心炎の2例を経験したので報告する.
症例1: 38歳, 男性.昭和55年11月20日, 発熱, 29日, 胸部X線上, 肺炎を指摘され入院寒冷凝集反応 (×8→×2048) と, M.Pn・抗体価 (CF) (×64→×4096) の著明な上昇を認め, M.Pn.感染と診断・入院時, 心電図上, 心房細動 (A.f.), 心室性期外収縮 (VPC) があり, A.f.は第2病日軽快.VPCは, 第6週でも認め, 運動負荷にて増悪した.以上より, M.Pn.心筋炎と診断.長期間の心電図の経過観察の重要性が示唆された.
症例2: 78歳, 男性.昭和56年3月27日, 発熱にて入院.寒冷凝集反応 (×8→×256), M.Pn.抗体価 (CF) (×16→×128) の上昇があり, 第6病日, A.f.を来たし, 心エコー上, 心のう液貯留を認め, M.Pn.心膜炎と診断.A.f.は第2週にて消失.心拡大も軽快した.
以上.M.Pn.感染に合併した心炎の2例を報告し, M.Pn・感染時の循環器系の検索の必要性と共に, 長期間の経過観察の重要性につき考察を加えた.
抄録全体を表示