1977年4月から1981年12月の約5力年間に当センターに収容された患者の臨床材料から検出された
P.aeruginosaについて血清型や6種の抗生物質に対する感受性を検討し, また, これらの菌株と患者の糞便およびベットの周辺部から検出された菌株との間の血清型について調査し, 次のような成績が得られた.
1)
P.aeruginosaは2987検体中438検体14.7%から検出された. 分泌液, 喀痰, 熱傷部切片, 膿 (33.9~21.1%) などから比較的多く検出されたが, 尿からは, わずか5%であった. 年度別にみて, 提出される臨床材料は増加傾向を示しているが, 逆に,
P.aeruginosaの検出率は減少傾向にあった.
2) 328菌株について血清型を検査したところ, 325株 (99.1%) で判明した. E型が最も多く165株 (50.3%), G型が42株 (12.8%), I型が34株 (10.4%) であった. 年度別には, いずれの年度でもE型の占める割合が最も多いが, 徐々に減少傾向を示し, その他のいろいろの血清型が認められるようになった.
3) 100μg/ml以上の耐性を示す菌株がSBPCで53.0%, DKBで39.5%, TOBで35.5%であった. 一方, AMK, CL, PLBに対する割合は, わずか1~2%であった. また, 年度別耐性菌の割合をみると, SBPC, DKBでは減少傾向を, TOBで増加傾向をそれぞれ示し, さらに, CL, PL-Bに対する耐性菌は1981年に入ってはじめて認められるようになった.
4) 4症例中3症例の糞便およびベットの周辺部から, それぞれの臨床材料由来のものと同一血清型の
P.aeruginosaが検出され, 残る症例でもほとんど同様の傾向で認められたことはOpportunistic infec-tionの様相を示唆しているものと推測される.
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