感染症学雑誌
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57 巻, 4 号
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  • 田中 光, 中里 博子, 古賀 宏延, 渡辺 講一, 伊藤 直美, 藤田 紀代, 重野 芳輝, 鈴山 洋司, 山口 恵三, 斉藤 厚, 原 ...
    1983 年 57 巻 4 号 p. 289-296
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    我国におけるレジオネラ症の解析の一助として, 長崎県下の健康人血清527検体 (527人), 当教室の保存血清755検体, ならびに肺炎あるいは高熱を有した患者血清125検体の計1,407検体を対象として, 間接蛍光抗体法 (IFA test) による抗体価の保有分布を検討した.
    抗原として, Legionella pneumophila, serogroup I~IVをPoly group (1) とし, L.pneumophila, serogroup V~VI, L.micdadei. L.bozemanii. L.dumoffii, L. longbeachaeをPoly group (2) とするPolyvalent antigenを使用し, これら2種の測定値のより高値のものをそれぞれの抗体価とした.
    健康人527例中237例 (45%) は抗体価が4倍未満であり, 64倍以上の抗体価を示したものは, 64倍12例 (2.3%), 128倍1例 (0.2%) で, 両者併せて13例 (2.5%) であった. 抗体価分布において男女差は認められなかったが, 年齢別分布では高齢者になる程32倍以上になる割合は高くなっていた.
    健康人血清, 教室保存血清, 肺炎・発熱患者血清の3群の抗体価分布において, 64倍以上の抗体価を有したものの比率は, 肺炎・発熱群が最も高く4.8%(6例), 次で健康人群の2.5%(13例), 教室保存血清群の13%(10例) となり, そのうち128倍を示した3例 (各群1例) は, すべてL.pneumophila, serogroup Iであった. なお, 256倍以上の抗体価を有したものは皆無であった.
  • 星野 重二, 横田 宏子, 斎藤 誠, 清水 長世, 辻 正周, 細谷 純一郎, 松原 義雄, 瀬尾 威久, 相楽 裕子, 増田 剛太, 楊 ...
    1983 年 57 巻 4 号 p. 297-302
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    細菌性赤痢の患者および保菌者にPipemidic acid (PPA) を試用する機会をえ, 次の如き成績をえた.
    PPAは赤痢に対て, 対症状効果および除菌効果において満足すべき成績を示した.
    しかし, 一部持続排菌など無効例も認められた.
    これに対してPPA+KMの併用は, より良好な成績を示したが, 症例数も少なく, 背景因子にも差が
    あるなど, 将来の重要な検討課題であると考えられた.
    副作用は1例の皮疹を認めた外, 特に異常を認めることなく安心して使用し得るものと思われる.
  • 斎藤 誠, 冨沢 功, 小西 和美, 滝沢 慶彦, 松原 義雄, 瀬尾 威久, 相楽 裕子, 庭野 一次, 今川 八束, 村田 三紗子, 近 ...
    1983 年 57 巻 4 号 p. 303-317
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    経口抗菌剤ピペミド酸 (PPA) の有効性・安全性を客観的に評価する目的で, 細菌性赤痢を対象とし, カナマイシン (KM) を対照薬として, 二重盲検法により比較検討した.
    投与量は両剤とも1日2.Og, 投与期間は5日間とした. 総投与例数は211例で, 除外・脱落を除くPPA群73例, KM群66例の計139例が効果判定対象とされた.
    背景因子は両群間に有意差は認められず, その均一性が確認され, 解析結果から以下の成績が得られた.
    全139例について臨床効果を総合的に有効率でみるとPPA群86.3%, KM群75.8%で, 有意差はなかった. しかし, 患者群ではPPA群92.5%, KM群72.5%であり, PPA群が有意に勝っていた.
    対症状効果として, 発熱, 血便, 便性異常, 排便回数について検討したが, 便性異常を除く3症状に対してPPAは有意に勝っていた.
    対排菌効果についてはPPA群は94.5%, KM群は77.3%で, PPA群が有意に勝っていた.
    副作用はPPA群で2例, KM群で3例に認められた.
    分離赤痢菌146株についての, MICのピ-クは, PPA群では1.56μg/ml, KM群では6.25μg/mlにあった.
  • 稲積 温子, 大黒 寛, 朴 英珍, 池田 信也, 村井 貞子, 金子 義徳
    1983 年 57 巻 4 号 p. 318-332
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1973年1月より1977年10月までに栃木県日光市内にある二小学校在籍児 (延13,397名) に対して約97%にあたる12,988名について15回の咽頭培養と3回の採血を行った. 血清学的にβ溶血連鎖球菌の群別, T型別を行い, ASO価を測定し, 対象とした学童の中から発生したSF, AGN患者についても同様の調査を行った結果, 次の如くであった.
    1) 二小学校におけるβ溶連菌の保菌率は冬期高く, 夏期に低く, 最高42.6%, 最低10.9%であり, この内A群82.0%, B群4.0%, C群3.5%, G群10.0%であった.
    2) A群溶連菌をT型別にみると全国的な流行菌型を反映しており, 5年間を通じて, 1, 4, 12型が主要菌型であった.
    3) しかし, 菌型推移は学校により異っており, 学級を流行単位として拡大して行く傾向を示している.
    4) 12型については, 1, 4型とは流行像を若干異にしており, 今後に興味のある菌型である.
    5) SF, AGNの患者では比較的保菌状態の乏しい結果を得た.
    6) 長期保菌状態は必ずしもASO価の上昇には結びついておらず, 新たな菌型の導入によって, ASO価は変化した.
    7) 保菌状態による抗体上昇は明らかであり, この意味では大きな保菌者流行を起した菌型での患者流行はむしろ稀と考えられる.
  • 井上 林太郎, 光武 良彦, 高橋 長海, 日高 令一郎, 池崎 英文, 吉田 博, 森園 隆昭, 川口 元也, 安倍 弘彦, 谷川 久一, ...
    1983 年 57 巻 4 号 p. 333-338
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    症例. 32歳男性. 主訴は胸痛, 呼吸困難. 入院時に心膜摩擦音を聴取し, 心電図では広範囲にSTの上昇を認め, 胸部X線では左下肺野の浸潤像がみられた. また蛋白尿を認めたため腎生検を施行しメサソギウム基質および細胞の増殖がみられ, 電顕所見では内皮細胞下にdense depositを認めた. 経過中にマイコプラズマ抗体価 (CF) の上昇を認めた. 以上より本症例をマイコプラズマ肺炎に心膜心筋炎および糸球体腎炎を合併したものと診断し, エリスロマイシン等の投与を行ったところ良好な経過を示した.
  • 1983 年 57 巻 4 号 p. 371-373
    発行日: 1983/04/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
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