Campulobacter fetusは全身性感染症の原因となり, 多彩な臨床像を呈することが知られるが, 日本における本症の報告は未だ数少ない. 今回われわれは,
C. fetusによる髄膜炎の1例を経験したので, 若干の文献的考察を加えて報告する.
症例は53歳男性で, 基礎疾患は特になく, 感染経路も不明であった. 昭和57年7月27日頭痛, 発熱が出現し, 近医から抗生剤を投与されたが反応せず, 8月10日都立駒込病院に入院した. 入院時検査成績は, 体温38.0℃, WBC 8, 400/mm
3, 血沈11mm/1h, CRP (-), 髄液は初圧80mmH
20, 蛋白490mg/dl, 細胞数1,138/3mm
3 (単核球973/3mm
3), 糖47mg/dlであった. 無菌性髄膜炎として治療を開始したが, 髄液及び血液から
C. ftus subsp. fetusが検出されたため, CP, GM, LMOXによる抗生剤療法に変更し, 臨床症状の著明な改善を得たので, 昭和57年11月17日退院とした. 退院時に認められた髄液所見の軽度異常は, 約1年後に正常化した.
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