新しいセフェム系抗生物質Ceftazidime (CAZ) の呼吸器感染症に対する有効性と安全性を客観的に評価する目的で, Cefotiam (CTM) を対照薬として, 二重盲検法により比較検討を行った.
投与法は, 両薬剤とも1回1g (力価) を1日2回, 14日間点滴静注とし, 以下の成績を得た.
1.小委員会判定による総合臨床床効果は, CAZ群で73.2%(90/123), CTM群で72.0%(90/125) の有効率を示し, 両薬剤群間の有意の差は認められなかった.
疾患群別にみると, 細菌性肺炎および肺化膿症では, CAZ群で60.6%(40/66), CTM群で74.2%(49/66) とCTM群の有効率が高かったが, 両薬剤群間に有意な差は認められなかった.慢性気道感染症では, CAZ群の有効率が86.0%(43/50), CTM群が66.7%(36/54) と, x
2検定においてCAZ群の方が有意 (p<0.05) に優れた成績であった.
2.主治医判定による総合臨床効果は, CAZ群で70.7%(104/147), CTM群では68.7%(101/147) で, 両薬剤群間に有意な差は認められなかった. これを疾患群別にみると, 細菌性肺炎および肺化膿症では, CAZ群の有効率が70.1%(68/97), CTM群は71.7%(66/92) と有意差は認められなかったが, 慢性気道感染症では, CAZ群が79.5%(35/44), CTM群で66.7%(34/51) とU検定においてCAZ群が優れた傾向 (p<0.10) が認められた.
3.細菌学的効果を判定し得た112例 (CAZ群55例, CTM群57例) において, U検定ならびにx2検定でCAZ群に菌消失例が有意、に多かった (p<0.01).
なお, 菌交代を含めた消失率では両薬剤群間に有意差を認めなかった.
4.副作用および臨床検査値異常の発現率には, 両薬剤群間に有意な差は認められなかった
5.有用性は, 小委員会判定において, 慢性気道感染症に対しCAZ群の有用率は84.0%(42/50), CTM群のそれは66.7%(36/54) であり, x
2検定においてCAZ群の有用率が高い傾向 (p<0.10) を示した
以外, 両薬剤群間に有意差は認められなかった.また, 主治医判定では両薬剤群間に有意の差は認められなかった.
以上のように呼吸器感染症に対するCAZの有効性と安全性を総合的に評価すると, 本剤はCTMと同等の成績を示し, 有用性の高い薬剤と考えられた.
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