日本脳炎の発病病理を明らかにする目的で, マウスの足踪に日本脳炎ウイルスの新鮮分離株を接種し, その前後の異なった時期にcyclophosphamide (CY) で処置を行い, 感染ならびに発症・死亡におよぼす影響を検討した.
CY 1回処置群では, いずれの時期に処置した群でも, 感染価は対照群との間に差はなかった.しかし, 致死率は, ウイルス接種の2日前から4日後までの間に処置した群で上昇を示し, 感染マウスに対する死亡マウスの比は54.5%以上と高かった.
CY2回および3回処置群では, 感染価, 致死率ともにいずれの時期に処置した群も上昇した.とくに, 致死率は, 2回および3回処置群ともに, 1回目の処置をウイルス接種と同日, 2回目の処置をウイルス接種の5日後から10日後の間, さらに3回処置群では, 3回目の処置を20日後までに行った群で著しく上昇した.それらの群において, 2回処置群の感染マウスは78.6%以上が死亡, 3回処置群の感染マウスは一般と高い値を示し, 94.1%以上が死亡した.
CY処置マウスにおける感染から発症・死亡までの期間は, 接種ウイルス濃度が低い群に遅れて死亡する傾向がみられた.また, ウイルス接種後20日以上経って死亡したものは, 2回あるいは3回処置群に多数みられた.最も長い経過で死亡したマウスは, ウイルス接種後26日を要した.
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