感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
59 巻, 9 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
  • 中島 邦夫
    1985 年 59 巻 9 号 p. 845
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 滝沢 慶彦, 高瀬 愛子, 冨沢 功
    1985 年 59 巻 9 号 p. 846-851
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    小児気管支喘息 (以下喘息) 患者について, 6種類の溶レン菌T抗原に対する末梢リンパ球反応を微量全血培養法によるin vitroリンパ球幼若化 (LTF) 反応を用いて検討した.結果は3H-thymidineuptakeをcount per minute (cpm) またはstimulation index (SI) で示した.抗原非添加の対照培養血でのcpmは喘息患者 (74.9±28.0) と正常小児 (83.5±43.3) との間に統計学的有意差は認められなかった.しかし, 各T抗原に対するLTF反応では喘息患者では全体的に高い反応を示す傾向にあり, 特にT4, T6, T12に対しては高値を示していた.さらに, T8やT22のような希少菌型の抗原に対しても有意に高い陽性 (SI≧3.0) 率を示していた (p<0.01).これらの溶レン菌T抗原に対するLTF反応には, 特異的反応に一部に非特異的反応が加わっていることが推測されたが, 喘息とT抗原との関連性を強く示唆するものと思われた.
  • 沈降反応法およびスライド凝集反応法との比較
    小林 貞男, 松岡 祐子, 郡 美夫, 村井 貞子
    1985 年 59 巻 9 号 p. 852-859
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Counterimmunoelectrophoresis法 (CIE法) を用いてB群溶連菌の型別を行うため, まず, 使用抗原の抽出法について検討を行った.温和な生理食塩水抽出法では, 抗原の抽出が不十分であり, 交差反応も多く, また, 反応性も弱かった.通常用いられている100℃塩酸酸性加熱抽出では, 電気泳動における移動度が変化することがあり, 時には同型の抗血清との反応が認められないこともあった.50℃塩酸酸性加熱抽出および高圧加熱抽出した抗原は, 交差反応もなく, また, 反応性も強く, CIE法に用いる抗原として適しているが, 操作の容易さの点から, 高圧加熱抽出法が奨められる.
    患者分離菌株の高圧加熱抽出抗原を用いてCIE法により型別を行い, 沈降反応法およびスライド凝集反応法による型別の結果と比較を行った.多糖類抗原に基く抗原型は3者で完全に一致しているが, c蛋白質抗原型については, 沈降反応法とCIE法では16株中1株を除いて一致しているのに反し, 両法でともにc蛋白質抗原が認められた9株は, スライド凝集反応法では新たに追加された種々の易熱性蛋白質抗原型を示した.
    B群溶連菌感染未熟児患者より採取した血清および尿について, CIE法により型抗原の検出を行ったが, III型菌が分離された患者の2回にわたる採取尿 (25倍濃縮) からは, いずれもIII型抗原が検出された.しかし, Ic型菌が分離された患者の血清中からは抗原を検出することはできなかった.
  • 小嶋 尚夫, 佐藤 麿人
    1985 年 59 巻 9 号 p. 860-868
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    他菌の混在する検査材料から溶血レンサ球菌を選択的に増菌し, その分類と検索を効果的に行うための選択増菌培地を考案しSEB培地と名付けた.同培地の選択増菌性について検討を行った.溶血レンサ球菌に対する増菌効果とブドウ球菌に対する抑制効果は増菌培養24時間以後より顕著になった.A群, B群, C群, G群に属する溶血レンサ球菌は標準株, 新鮮臨床分離株いずれもが104~106の増菌率を示し, 同培地はこれら各群の溶血レンサ球菌の検出に広く有効であることが認められた.咽頭に常在する菌数に近い菌数を接種して各種の菌の生育試験を行った結果, β-Streptococcusは顕著な増殖を示すのに対し, Staphylococcus aureusをまいずれの菌株も生育が抑制または阻止された.S.epidermidisは生育が抑制され, Neisseriaは生育が阻止された.α-Streptococcusでは生育が抑制される菌株の他に増菌する菌株が認められた.Streptococczas faecalisは増殖した.その他, Candida albicans, E.coli, Pseudomonasはいずれも生育が抑制された.SEB培地と他の増菌培地の選択増菌効果を比較した結果, SEB培地が他に比べてブドウ球菌等の生育を効果的に抑制すると同時に, 溶血レンサ球菌に対する増菌効果もすぐれていることを認めた.SEB培地に接種した溶血レンサ球菌は4℃1週間そのまま保存でき, ブドウ球菌はさらに抑制された.同培地で溶血レンサ球菌を凍結保存することができた.SEB培地は極めて安定であり, 5~7℃下で長期間保存することができた.
  • 溶連菌感染症について
    森田 盛大, 石田 名香雄
    1985 年 59 巻 9 号 p. 869-876
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1976年9月~1977年8月及び1978年9月~1984年9月における秋田県の感染症サーベイランス情報から得られた溶連菌感染症 (発疹を伴う) の一定点観測医療機関当りの旬別平均患者発生数を目的変数及び9種類の気象 (平均気温, 最高気温, 最低気温, 相対湿度, 平均蒸気圧, 風速, 日射量, 日照時間及び降水量) の旬別平均旬間値を説明変数として重回帰分析し, 旬間気象値から旬間患者発生数を推定する推定式Yの作成を検討した.その結果, 気象値を対数変換することによって, 最高気温TMAX, 相対湿度RH, 平均蒸気圧MVP及び日射量TRHを説明変数とする重回帰式, すなわち, 旬間患者発生数推定式Y=2.7415 log TMAX+8.7521 log RH-3.4656 log MVP-4.4631 log TRH-12.6089が得られた.この重回帰式の場合, 回帰変動のF分布片側確率は0.01%以下, また各説明変数の偏回帰係数のt分布片側確率は0.01%以下~1%以下であったことから, これらの信頼性は高いと考えられた.しかも, この重回帰式における重相関係数は0.9219と高値であり, 全患者発生情報の84.99%(寄与率) を説明し得るものであったことから, 本重回帰式は旬間患者発生数推定式としてかなり有用ではないかと考えられた.
  • 森田 盛大, 山脇 徳美, 茂木 武雄, 庄司 キク, 斉藤 志保子, 岡村 敏弘, 長沼 雄峰, 工藤 真生
    1985 年 59 巻 9 号 p. 877-882
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    秋田県の1976年4月~1984年11月の感染症サーベイランス検査において, 51種類の多彩な感染症患者2,694名の咽喉ぬぐい液から564株 (20.9%) のA群溶血連鎖球菌が分離された.この内, 猩紅熱と溶連菌感染症からの分離率 (平均63.5%) が最も高率であったが, 扁桃炎や気道感染症からもかなり高率に分離された.しかし, ウイルス性発疹症や対照としたその他の疾患からの分離率は健康小児からの分離率とほぼ同程度であった.月別分離率は, 最低率の8月以後, 9月から上昇しはじめ, 12月に最も高率であった.分離菌型は12型 (27.0%) が最も多く, 次いで, 4型 (.4.4%), 6型 (6.9%) であり, これら3菌型だけで全分離株の49.1%および血清型別できた375株の73.9%を占めた.一方, T型別できない分離株が33.5%存在したことから, 今後, M型別の検討も必要と考えられた.
  • 中島 邦夫, 奥山 道子, 菅原 猛行, 奥田 清
    1985 年 59 巻 9 号 p. 883-891
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    溶血レンサ球菌に対する血清抗体としては, 従来からASOを初めとする菌体外産物に対する測定が広く行われている.今回, 菌体成分に対する抗体として, A群溶血レンサ球菌 (以下, A群菌と略す) の細胞壁成分である多糖体に対する抗体 (antistreptococcal-polysaccharide: 以下ASP) がマイクロタイター法によって, 検査室レベルで容易に測定できる方法が開発され, 検討の機会を得たものである.
    1979年4月から1983年1月までの間に, 大阪市立少年保養所入所児及び大阪市内1小学校児童の計538名の小・中学生の血清を採取し, ASP, ASO, ASKの三種の抗体値を測定した.
    ASP値の平均値は6~9歳で64倍, 10~12歳で43倍, 13~15歳で50倍であり, 32倍と64倍の間に正常値と異常値の境界値があるものと考えられた.3種の抗体の相関関係については, ASP-ASO, r=0.214, ASP-ASK, r=0.103, ASO-ASK, r=0.705であって, ASP-ASO, ASP-ASKの間には相関は認められず, ASO-ASKの間にやや相関を認めた.
    大阪市内1小学校学童109名について血清抗体値を測定した時点より過去1年間に6回にわたって検索を実施して得た咽頭分離溶血レンサ球菌のA群菌と抗体値の関係を相互に比較した.菌検出回数が増すと, 3種の抗体値のいずれについても抗体値が高値をとる割合が多くなった.またA群菌を1回以上検出した50例についてASO, ASKは23例 (46.0%) の異常値をみたが, ASPは18例 (36.0%) の異常値をみたに留まった.また, A群菌陽性例のうちASO値が200倍以下の低値であった28例については, ASPは10例 (38.5%) の異常値をみ, ASKは7例 (25.0%) の異常値をみ, ASPの方が若干優っていた.
  • 7府県の小・中学生の咽頭分離の溶血レンサ球菌を対象にして-第1編検出率の比較
    中島 邦夫, 奥山 道子, 奥田 清
    1985 年 59 巻 9 号 p. 892-904
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1983年4月終りから同年6月初めに至る約1ヵ月半の間に, 北海道と沖縄を除く東北から九州に至る7地方の小・中学生の咽頭の溶血レンサ球菌の検索を実施した.対象は秋田, 新潟, 埼玉, 大阪, 島根, 佐賀の6府県の小学生 (1~6年生) および高知の中学生 (1年生) である.検出率の比較はA, B, C, G群菌について行った.培地作製から検体採取, 培養, 同定まで出来る限り条件を一定にした.培地は大阪市立少年保養所で作製したN-O培地を使用し, 現地に於て咽頭粘液を滅菌綿棒で採取し直接塗抹を行った.直ちに大阪まで運搬し, 培養および同定は大阪市立少年保養所に於て実施した.その結果, 菌検出率は従来の報告よりも高率であった.群別にみると, A群菌は最も多く分離されたが, B群菌はA群菌に次いで高率にみられた.G群菌は若干数ながら殆んどの学校, 学級に於て分離された.C群菌は極めて少なく, 皆無の学校, 学級もみられた.また, 各小・中学校とも学級によって検出率にかなりの差異があり, 最高と最低で2~3倍の開きがみられた.性別では, A群菌は男子に, B群菌は女子に, それぞれ多く検出された.B群菌の検出率は全般的にみた場合, 小学1年生が最も低く, 高学年になるにつれて上昇の傾向をみせ, 特に小学6年生, 中学1年生に於て著明であった.rural area (秋田, 島根, 佐賀) はurban area (新潟, 埼玉, 大阪) よりも検出率が高率であった.
  • 7府県の小・中学生の咽頭分離の溶血レンサ球菌を対象にして-第2編A群溶血レンサ球菌のT型別の比較
    中島 邦夫, 奥山 道子, 奥田 清
    1985 年 59 巻 9 号 p. 905-913
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1983年4月終りから同年6月初めに至る約1ヵ月半の間に, 北海道と沖縄を除く東北から九州に至る7地方, 即ち北から南へ, 秋田, 新潟, 埼玉, 大阪, 島根, 佐賀の小学生 (1~6年生) と高知の中学生 (1年生) を対象に咽頭よりA群溶血レンサ球菌の検出を実施し, 分離したA群菌について家兎免疫抗血清による凝集反応によってT型別を実施した.その結果, 全国各地からT-1, T-3, T-4, T-6, T-8, T-11, T-12, T-13, T-18, T-22, T-23, T-28, T-B3264, T-5/27/44の14種のT型を分離し得た.このうち, 各地から満遍無く分離したのは検出数の多い方から言うとT-13, T-12, T-4の3型のみであった.しかし, 各地区に於ける最多分離型, 所謂主要流行菌型は, 秋田と新潟ではT-13型, 埼玉はT-28型, 大阪はT-12型, 島根はT-8型, 佐賀はT-11型とT-12型, 高知はT-28型, T-1型とT-13型となっていた.即ち, 全国的にみて各地の主要流行菌型は決して同一ではなく, 地域特異性のあることが判明した.
  • 7府県の小・中学生の咽頭分離の溶血レンサ球菌を対象とにして-第3編B群溶血レンサ球菌の型別の比較
    中島 邦夫, 奥山 道子, 奥田 清
    1985 年 59 巻 9 号 p. 914-920
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1983年4月終りから同年6月初めに至る約1ヵ月半の間に, 北海道と沖縄を除く東北から九州に至る7地方, 却ち北から南へ, 秋田, 新潟, 埼玉, 大阪, 島根, 佐賀の小学生 (1~6年生) と高知の中学生 (1年生) を対象に, 咽頭よりB群溶血レンサ球菌の分離を試み, 型別を実施した.
    B群の型別方法は家兎免疫抗血清による凝集反応によったが一部には沈降反応も実施した.
    第1位分離型は島根を除きIa型であり, 第2位はIc型であった.島根のみはIc型が第1位で, 第2位がIa型であった.III型の分難率は以外に低く, それに代ってIb型がかなり多く分離された.また, II型は少数であり, X型とR型は皆無であった.
  • 7府県の小・中学生の咽頭分離の溶血レンサ球菌を対象にして-第4編薬剤感受性
    中島 邦夫, 奥山 道子, 奥田 清
    1985 年 59 巻 9 号 p. 921-934
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1983年4月下旬から同年6月上旬に至る約1ヵ月半の期間に北海道と沖縄を除く東北から九州に至る7地方, 即ち秋田, 新潟, 埼玉, 大阪, 島根, 佐賀の小学生 (1~6年生) 及び高知の中学生 (1年生) の咽頭から分離した溶血レンサ球菌のうちA群菌413株, B群菌197株, C群菌12株, G群菌63株について薬剤感受性を測定した.PC系薬剤ではPCG, ABPC, AMPC, ACPC, SBPCについて検討したがPCGが各群菌に対して最も優れたMIC値を示し, SBPCが最も劣っていたが耐性菌はなかった.ただ, B群菌の感受性は各薬剤ともA, C, G群に比し劣っていた.cephem系薬剤はCER, CET, CEZ, CEX, CPZ, LMOXについて検討したが各群ともCERが最も優れたMIC値を示しLMOXが最も劣っていた.PC系同様にB群菌のMIC値は劣っていたが, 特にLMOXでは顕著であった.macrolide系薬剤はEM, OL, JMを検討したがEMが比較的良好であった.耐性菌 (≧25μg/ml) は, 6.7%(28株), 8.7%(36株), 8.5%(35株) に出現したが高度耐性菌 (100μg/ml,≧200μg/ml) は, 4.8%(20株), 4.6%(19株), 5.8%(24株) であった.TCはA, B, G群についてはバラッキが著しく二峰性であり耐性菌, 高度耐性菌を認めた.CPはA, B群にバラッキと耐性菌, 高度耐性菌を認めた.
    A群型別ごとにみた薬剤感受性の検討ではT-12型にかなり高い比率でmacrolide系薬剤に耐性菌と高度耐性菌を認めたがT-11型に1株高度耐性菌を認めた.TCに対しては, 耐性菌をT-1型, T-3型, T-4型, T-12型, T-13型, T-28型に認め高度耐性菌をT-4型とT-12型に認めた.CPについては耐性菌をT-12型に高度耐性菌をT-11型とT-12型に検出した.耐性パターンについてはTC, CPの2剤又は1剤とmacrolide系薬剤との組み合せがA群T-12型に多く, T-11型に1株とB群III型に1株検出された.
    耐性T-12型の出現頻度は秋田と大阪が高く全般には80.2%であったが島根は44.4%と低率であった.macrolide系薬剤耐性のみについて検討すると秋田が最高で北高南低の傾向がみられた.
  • 児玉 博英, 徳満 尚子, 刑部 陽宅, 柏木 義勝
    1985 年 59 巻 9 号 p. 935-942
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1980年1月から5年間, 富山県において臨床材料から分離された溶血連鎖球菌の一部について, 患者の年齢別・材料別の菌群・菌型分布, 年次別の菌型分布の変遷と, 菌群・菌型と薬剤感受性の関係を調べ, 次のような成績を得た.
    1.患者の年齢別・材料別の分離株の群別分布には極めて特徴があり, 小児の上気道・化膿巣由来では殆どがA群, 成人・老人の尿・膣分泌物等では殆どがB群, 新生児材料もまた大部分がB群であった.
    2.A群菌の菌型分布は, 材料別にはあまり特徴はなかったが, 年次別には特徴があり, 12型菌が調査期間中一定して優勢であったほかは, 6型→1型→13型→4型と変遷し, 1980年に比較的多く分離された6型菌が, 1981年以後は殆ど分離されなくなった.一方, B群菌の菌型分布は, 材料別にも年次別にも特徴はなく, Ia型とIII型が常に優勢であった.
    3.分離株は総てペニシリン, セファロリジン, セファレキシンに対して感受性であったが, これら薬剤のMICはB群菌に対してはAおよびG群菌よりもやや高く, また同一菌株に対してセファレキシンのMICは他の2剤に比べるとかなり高かった.エリス群マイシン耐性菌は大部分A群12型であったが, A群の他の菌型や, BおよびG群の中にも, 高度耐性株が少数認められた.B群菌に関しては, 菌型と薬剤感受性パターンの間に明瞭な特徴は認められなかった.
  • 奥山 雄介, 大島 まり子
    1985 年 59 巻 9 号 p. 943-950
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    近年, B群レンサ球菌は新生児敗血症及び髄膜炎の起因菌として問題になっている.
    今回, 我国の医療機関で1977年から1983年までに臨床材料から分離されたB群レンサ球菌 (B群菌) 1,944株 (件) について, 分離菌の患者年齢・性別, 臨床材料別及び血清型別分布等を検討した.その結果は次のとおりである.
    1) B群菌が分離された患者年齢分布;年齢の明瞭な1,233件の各年齢別分布は, 0歳3.9%, 1~5歳6, 9%, 6~10歳6, 9%, 11~20歳9.9%, 21~30歳16.5%, 31~40歳18.2%, 41~50歳14.6%, 51~60歳8.0%, 61~70歳5.7%, 71歳以上9.3%であった.
    2) B群菌が分離された患者性別分布;性別の明瞭な1.694件の性別分布は, 男547件 (32.3%), 女1.147件 (67.7%) であった.
    3) 臨床材料由来;臨床材料の由来の明瞭な1.850件の材料別分離状況は, 尿36.5%, 咽頭粘液31.4%, 膣分泌物17%, 喀痰4.2%, 膿3.6%, 精液1.8%, 髄液1.2%, 血液1.1%及びその他3.3%であった.
    4) 血清型別分布;1,944株全ての菌型分布は, Ia型28%, Ib型11%, Ic型15%, II型4%, III型24%, IIIR型9%, R型3%及び型別不明7%であった.また, 新生児敗血症及び髄膜炎から分離された14株中13株 (93%) がIII型及びIIIR型 (III型11株, IIIR型2株) であった.
  • 1985 年 59 巻 9 号 p. 951-953
    発行日: 1985/09/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
feedback
Top