慢性気道感染症に対するT-2588の有効性, 安全性および有用性を検討する目的でCafaclor (CCL) を対照薬とする二重盲検比較試験を実施した. T-2588は1日600mg (1回200mg, 1日3回), CCLは1日750mg (1回250mg, 1日3回), 原則として14日間経口投与し, 以下の結果を得た.
1) 慢性気道感染症 (主として慢性気管支炎, 気管支拡張症の感染時) に対する小委員会判定による臨床効果は, T-2588群が有意に高い成績が得られた.
2) 主治医判定による臨床効果は, 小委員会判定と同様T-2588群に有意に高い成績が得られた.
3) 細菌学的効果はT-2588群の消失率が有意に高く, 特に
H. influenzaeにおいて有意差が認められた.
4) 症状・所見及び臨床検査値の改善度は, 咳嗽, 咳痰量・性状, 胸部ラ音, ESRにおいてT-2588群が有意に優れていた.
5) 副作用の発現率およびその種類において, 薬剤群間に有意差を認めなかったが, 臨床検査値異常の発現率ではT-2588群が高く, 有意差がみられ, その主な原因は好酸球増多であった.
6) 臨床的有用性は, 小委員会判定においてT-2588群が有意に優れていた.
7) 主治医判定による有用性でも小委員会判定と同様T-2588群に有意に高い有用率がみられた.
8) 以上の結果よりT-2588600mg/日投与はCCL750mg/日投与に比し慢性気道感染症に対し, 臨床的有用性が有意に高い薬剤であることが確認された.
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