感染症学雑誌
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63 巻, 6 号
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  • 第2報: BRMによる緑膿菌性内因性敗血症の予防と発症の免疫学的機序の検討
    朝野 和典
    1989 年 63 巻 6 号 p. 557-564
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    第1報において, 免疫抑制状態に発症する感染症, 特に菌血症, 敗血症は生体内に内在する細菌叢よりの内因性感染として発症することを示した.このような内因性感染の発症には, 起炎細菌の定着増殖に対し防御的に働く常在細菌叢の抗菌剤による撹乱, すなわち菌交代現象と, 宿主生体側防御能の低下の2つの要因が重要である.
    従って, immunocompromised hostに発症するこのような重篤な感染症の治療および予防に抗菌剤を使用することは, 内因性感染発症の主要因でもある菌交代現象を惹起することにもなり, そのため抗菌剤の投与は慎重に行わなければならない.
    そこで内因性感染症の治療および予防法を検討する目的で, cyclophosphamide投与免疫抑制マウスを用いて緑膿菌性内因性敗血症実験モデルを作製し, これを対象にbiological response modifier (BRM) を投与し, 内因性感染の予防効果について検討を加えた.その結果, P.aeruginosaによる内因性感染の発症予防には, MDP-Lys (L 18), rhIL-1, rhG-CSFが有効であり, その作用機序は単なる顆粒球の数的増多によるものではなく, またその発症機序におけるT-cell系の関与も低いことが示唆された.
  • 福山 正文, 上村 知雄, 伊藤 武, 村田 元秀, 光崎 研一, 原 元宣, 田淵 清
    1989 年 63 巻 6 号 p. 565-574
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    河川水やその泥土および淡水魚などの自然環境における運動性Aerornonasの分布を明らかにするため, 相模川7ヵ所, 多摩川8ヵ所, 津久井湖5ヵ所を対象に本菌の検索を定量的に実施した.また両河川で捕獲した淡水魚の腸管内容物, 鯉, 体表からの菌検索を行った結果以下の成績を得た.
    1.相模川の泥土208件中134件 (64.4%) から運動性Aerornonasが検出された.多摩川の泥土では186件中101件 (54.3%), 津久井湖の泥土120件中68件 (56.7%) が本菌陽性であった.これらの泥土から分離された運動性Aerornonas176株について同定したところ, 21.6%がA. hydrophila, 13.1%がA. sobria, 24.4%がA.caviaeであった.なおPopoffの分類で同定出来ない菌株が74株 (42.0%) 認められた.
    2.泥土を採取した同一地点について水からの運動性Aerornonasの検索を行ったところ, 相模川河川水48件, 多摩川河川水44件および津久井湖の湖水40件全例から本菌が検出された.分離菌株120株の内14.2%がA. hydrophila, 27.5%がA. sobria, 29.2%がA. oaviaeであり, 末同定株が29.2%みられた.
    3.河川泥土や湖泥土中の運動性Aerormnas菌数は前者平均が2.5×105個/g, 後者が平均8.8×105個/gであった.河川泥土の一部の定点において菌数が大きくばらついたが全体的には4月に減少し, 7月と10月に増加する傾向がみられた.津久井湖の泥土では採取地点により菌数の変動が著しかったが, 河川泥土と同様に7月と10月に高くなる傾向がみられた.
    河川水と湖水については前者が平均1L当たり1.4×103個, 後者が約3.3×102個であった.各定点での菌数に一部の例外以外それほどの大きな変動はみられず, 季節により菌数に与える影響もみられなかった.
    4.相模川と多摩川で捕獲した淡水魚511件中462件 (90.4%) から運動性Aeronzonasが検出された.分離菌株1,056株の内17.2%がA. hydrophila, 31.4%がA. sobriaおよび19.5%がA. caviaeであった.
  • 秋山 茂, 小林 正枝, 岩下 正人
    1989 年 63 巻 6 号 p. 575-583
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    総ての消毒薬の殺菌効力を評価する方法として1974年に改良Kelsey-Sykes法が提案された.このKelse野Sykes法について, 本法で提案されている特殊な作用瓶や被検菌培養用の液体培地, さらに菌液調製の必要性などについて検討した.加えて, 従来から殺菌効力試験法として用いられている石炭酸係数測定法 (PC法) による実験成績との比較から, その有用性や実験方法そのものの操作性についても検討し以下の結果を得た.
    1) KS法で規定している増殖用培地 (BactoSyntheticBrothA.0.A.C.CodeNo.0352) と我々がPC法に用いている普通ブイヨン (NissuiNutrientBrothLotNo.065210) との間に被検菌の発育支持能には差が認められず, 我々の普通ブイヨンをK-S法の増殖用培地として用いることが可能であった.
    2) K-S法に用いる供試菌液は標準硬水に再懸濁したものを用いても, ブイヨン培養菌液をそのまま用いても試験成績に差は認められなかった.また菌膜を形成する場合に, これを取り除いても取り除かずに供試した場合にも実験成績に差は認められなかった.
    3) K-S法で規定されている作用瓶を用いた成績と, 従来よりの作用試験管を用いた実験の成績は同一であり, K-S法で特殊な作用瓶を用いる必要性は認められなかった.
    4) 有機i体共存下の試験ではPC有機体法の方がK-S法より高濃度の消毒薬を必要とした.
    5) K-S法はPC法に比べ操作が煩雑であるが, 使用濃度を推定し得る点で有用な試験法である.しかし, PC法やPC有機体法と優劣をつけることはできない.
  • 三輪 智恵子, 渡辺 豊
    1989 年 63 巻 6 号 p. 584-592
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1986年4月から11月にかけて, 岐阜県で無菌性髄膜炎 (AM) の流行がおこった.190症例について疫学的・ウイルス学的に検討し, 更に血清疫学的に流行原因についても検討した結果, 以下の事が判明した.
    1.患者の年齢は, 0歳から30歳に分布していたが, 7歳以下が84.2%を占めていた.
    2.190症例中136症例 (71.6%) より, 7種類のエンテロウイルスが分離されたが, 121症例 (88.9%) からエコーウイルス7型 (Echo-7) が分離された.
    3.交差中和試験で, Echo-7の1986年分離株と標準株との間の抗原構造は, 大差がなかった.
    4.岐阜県内住民の過去10年間の血清疫学的調査により, Echo-7に対する抗体保有率が低下していたことが判明した.
    5.過去18年間, 岐阜県ではEcho-7は分離されなかったが, 血清疫学的調査により散発的小流行があったことが確認できた.
  • 青木 隆一, 松原 義雄, 相楽 裕子, 冨沢 功, 滝沢 慶彦, 新田 義朗, 瀬尾 威久, 上村 誠, 増田 剛太, 根岸 昌功, 楊 ...
    1989 年 63 巻 6 号 p. 593-605
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    感染性腸炎 (細菌性赤痢・サルモネラ腸炎・カンピロバクター腸炎・病原大腸菌腸炎など) に対するT-3262の臨床的有効性, 安全性および有用性を評価する目的で, 同患者・保菌者136例に本剤を投与し検討した.併せて, 臨床分離株に対する本剤の抗菌力を測定し, NA, PPA, ENX, NFLX, OFLX と比較した.
    投与方法は1日量450mg (分3食後) を5日間 (サルモネラ腸炎患者・保菌者には7日間) 経口投与とした.解析の対象となった感染性腸炎は89例 (細菌性赤痢23例, サルモネラ腸炎30例, カンピロバクター腸炎15例, 病原大腸菌腸炎6例, その他15例) であった.
    臨床効果は病原大腸菌腸炎 (n=2) に1例無効例があったが, その他はすべて有効率100%であった.
    細菌学的効果は細菌性赤痢 (n=19) では有効率100%であった.サルモネラ腸炎 (n=30) についても100%という極めて良好な成績が得られたが, カンピロバクター腸炎 (n=14) では64.3%であった.病原大腸菌腸炎 (n=6) ではすべて著効であった.
    副作用は130例中1例 (0.8%) に胃部重圧感がみられ, 臨床検査値異常は81例中, GPT上昇2例, GOT・GPT上昇2例, 好酸球増加1例の計5例 (6.2%) に見られたが, いずれも軽微であった.
    T-3262の赤痢菌, サルモネラ, カンピロバクターに対するMIC90はそれぞれ0.025, 0.05, 0.78μg/mlで, カンピロバクターでOFLXと同等であったほかは他のキノロン剤よりも低かった.
  • 青木 隆一, 清水 長世, 冨沢 功, 滝沢 慶彦, 松原 義雄, 新田 義朗, 相楽 裕子, 瀬尾 威久, 金久 直子, 村田 三紗子, ...
    1989 年 63 巻 6 号 p. 606-622
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    ニューキノロン系抗菌剤Lomefloxacin (LFLX, NY-198) の感染性腸炎 (細菌性赤痢, 病原大腸菌腸炎, カンピロバクター腸炎など) に対する有効性, 安全性および有用性を客観的に評価する目的で, Pipemidicacid (PPA) を対照薬とする二重盲検法により比較検討した.
    治験薬の1日投与量はLFLX: 600mg, PPA: 2,000mgで, 1日4回毎食後および就寝前に経口投与とし, 投与期間は5日間とした.
    総投与症例数は290例で, 除外, 脱落例を除き有効性および有用性の評価対象例は169例 (LFLX群: 83例, PPA群: 86例) であり, いずれの背景因子においても, 両群間に有意な偏りは認められなかった.また安全性の評価対象例は284例 (LFLX群: 141例, PPA群: 143例) であった.
    薬剤投与開始日に症状のあった73例の臨床効果 (有効率) は, LFLX群32/35例 (91.4%), PPA群32/38例 (84.2%) であり, そのうち細菌性赤痢57例においても, LFLX群27/30例 (90.0%), PPA群22/27例 (81.5%) と前者が優れた傾向を示したが, 両群間に有意差は認められなかった.
    延菌株数184株に対する細菌学的効果 (有効率) は, LFLX群84/90株 (93.3%), PPA群76/94株 (80.9%) と前者が有意に優れ (p=0.0153), そのうち赤痢菌148株においても, LFLX群71/73株 (97.3%), PPA群59/75株 (78.7%) と前者が有意に優れていた (p=0.0007).
    以上を勘案して評価した169例の総合効果 (有効率) は, LFLX群77/83例 (92.8%), PPA群68/86例 (79.1%) と前者が有意に優れ (p=0.0144), そのうち細菌性赤痢134例においても, LFLX群65/67例 (97.0%), PPA群52/67例 (77.6%) と前者が有意に優れていた (p=0.0012).
    副作用はLFLX群1/141例 (0.7%), PPA群は0/143例であり, 臨床検査値異常はLFLX群10/132例 (7.6%), PPA群7/136例 (5.1%) に認められたが, すべて軽微なものであり, また発現率では両群間に有意差はなかった.
    以上, 有効性と安全性を勘案して評価した169例の有用性 (満足率) は, LFLX群76/83例 (91.6%), PPA群66/86例 (76.7%) と前者が有意に優れ (p=0.0111), そのうち細菌性赤痢134例においても, LFLX群64/67例 (95.5%), PPA群50/67例 (74.6%) と前者が有意に優れていた (p=0.0011).
    以上の成績から, LFLXは細菌性赤痢を始めとする感染性腸炎に対し, 臨床上有用な薬剤と考えられた.
  • 栗村 統, 市村 宏, 椿尾 忠博, 本田 重則, 田村 偉久夫, 大村 素子, 土井 秀之
    1989 年 63 巻 6 号 p. 623-632
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    腸チフスに対するOFLXの臨床的, 細菌学的効果について検討するとともに, OFLXの抗菌力をCP, ABPCおよび他のピリドンカルボン酸系抗菌剤と比較した.また一部症例について血清中のOFLXの濃度を測定した.
    1) 臨床的, 細菌学的効果: 対象はチフス菌が検出された11症例 (小児1例を含む患者8例, 保菌者3例) である.成人患者に対する投与量は1日量として900mgが5例, 800mgから1,200mgに増量した例1例, 900mgから1,200mgに増量した例1例で, 小児例および保菌者に対しては600mgであった.投与日数は有効例ならびに胆石を認めない保菌者には14日間, 胆石を有する保菌者には21日間であった.患者8例中4例に著効, 3例に有効, 1例に無効であった.無効例を除き全例に対してのOFLXの除菌効果を確認した.GPT値の上昇, 末梢赤血球数の減少, 好中球の減少がそれぞれ1例に認められた.2) 抗菌力: チフス菌40株に対するCPのMICは1.56μg/ml, ABPCのMICのピークは0.38μg/mlであった.OFLXのMICは0.05μg/mlから0.1μg/mlに分布し, NFLX, CPFXおよびT-3282にほぼ等しかった.ENX, NY-198の抗菌力はやや劣り, NAのMICが最も劣った.3) 血清中=濃度: 患者5例についてOFLX投与中のOFLXの血清中濃度を経時的に測定した.早朝投与前では0.82μg/mlから6.34μg/mlに, 就寝前には2.52μg/mlから11.2μg/mlに幅広く分布した.日中の濃度にも大きな個人差がみられた.
  • 田口 真澄, 小林 一寛, 原田 七寛, 神野 逸郎
    1989 年 63 巻 6 号 p. 633-640
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1985年から1987年の3年間に大阪府下の市民病院を受診した下痢症患者2, 889人 (小児科1,548人, 内科1, 341人) を対象とし, 採取した糞便の下痢起因菌検索を実施した.下痢起因菌は739検体 (25.6%) から832菌株分離した.
    検出菌種は15菌種あり, 最も多く分離したのはC.jejuniで, 全分離菌株数の51.7%に達した.ついでSalmonelh spp.18.3%, V.parahaemobticus10.3%, Aeromonas spp. (3菌種合わせて15.7%) が高率であった.同一検体から複数の下痢起因菌を分離した例が73例あった.
    検出率の高かったC.jejuniSalmonella spp.両菌種とも15歳以下 (小児科) の検出率は16歳以上 (内科) のそれをうわまわり, C.jejuniではそれぞれ19.3%, 9.8%, Salmonelh spp.では6.4%, 3.9%であった.
    検体採取当日の検査でC.jejuni陽性の検体を, Cary-Blair輸送培地で室温保存すると, 2~4日の保存で検出率が25%以下に低下したことからC.jejuniの検査においては, いかに迅速に培養検査を実施できるかが検出に最も重要なことと思われた.
    Aeromonas3菌種の年齢別検出率を見ると, A.oaviaeの10歳以下の検出率が, A. hydrophihA.Sobriaと比較して高率であった.
    Aexomonas spp.の検出には, DHLの糖をキシロースに替えたdesoxycholate-hydrogen sulfidexylose-agar (DHXA) を調整して, 直接塗抹培養と, 無塩アルカリペプトン水増菌後の塗抹培養に使用した.Aeromonas spp.検査において無塩アルカリペプトン水の増菌は有効である事が確認された.
    Enterohemorrhagic E.coli O157: H7の検出には, DHXAの糖をソルビットに替えたDHSAを調整して, 3例の小児の本菌感染例を認めた.
  • 大西 健児, 大山 卓昭, 今川 八束
    1989 年 63 巻 6 号 p. 641-643
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Two admitted patients, a 5-year-old Filipino girl and a 29-year-old Indonesian man, who were diagnosed otherwise were concurrently found to harbour Trichuris trichiura eggs in stoll specimens containing 3, 300 and 30 eggs per gram feces (EPG), respectively. A satisfactory response was obtained with administration of mebendazole in the recommended dose of 100 mg twice daily for three consecutive days. Repeated post-treatment fecal examinations revealed 0 EPG. Adverse reaction, either physical or laboratory, due to the anthelmintic was negative. The study indicates that the effectiveness of mebendazole on mild infection with T. trichiura is excellent without any untoward effect.
  • 海老原 和正, 高橋 公太, 八木沢 隆, 山口 裕, 太田 和夫, 池田 祐之, 小渡 輝雄, 栄鶴 義人, 南嶋 洋一
    1989 年 63 巻 6 号 p. 644-648
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    症例は32歳の男性で, 生体腎移植後8ヵ月目にCytomegalovirus (CMV) 肺炎を合併しヒトβ型インターフェロンの投与で治癒した.患者はこの後血清クレアチニン値 (s-Cr) が上昇したので, 腎生検を施行したところ尿細管腔内に封入体保有細胞が認められ, ウイルス学的にCMVnephropathyと診断された.患者尿は持続的にCMV陽性であり, ganciclovirが投与された.ganciclovirは腎機能に応じて3mg/kgを点滴静注で32日間連続投与された後, 同量の週3回の維持投与が8週間行われた.CMVは投与開始1ヵ月後には尿から分離されなくなった.またs-Crも3.2mg/dlから2.8mg/dlに低下し, 副作用はまったくみられなかった.このことから, ganciclovirは抗CMV治療薬として有効であると考えられた.
  • 福井 一裕, 岡村 和彦, 渡辺 正男, 中村 茂俊, 山本 昌幸
    1989 年 63 巻 6 号 p. 649-653
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    クリプトコックス髄膜炎は人の深在性真菌症の中では最も頻度が高く, 種々の免疫不全状態の患者に発症することが多いが, 本例のような健常人での発症の報告は少ない.また抗真菌剤としてAmphotericinB (AMPH-B) や5-fluorocytosine (5-FC) に加えてMiconazoleが臨床使用され, 優れた安全性と有効性が報告されている.
    症例は68歳の健康な男性で, 昭和62年3月より頭痛, 嘔吐に加え複視と歩行障害も加わってきたため3月15日に当科入院となった.髄液検査にて多数のCneoformansと著明な頭蓋内圧充進をみたため, 髄液持続ドレナージを行いAMPH-Bと5-FCの投与を開始した.しかし症状の改善みられず, これらのi薬物による副作用が出現した.そこで, Micon-azoleの静注と髄注に治療変更した所, 髄液所見, 臨床所見とも改善し, 8月14日に退院した.その後昭和63年2月より髄液真菌数の再上昇を示したため, 3月10日より4月30日まで再入院にてMiconazoleを投与し軽快した.Miconazoleの総投与量は初回入院時90.6g (髄腔内投与: 505mg), 次回入院時36.Og (髄腔内投与: 50mg) であったが副作用は示さなかった.また, 初回入院時の長期の髄液持続ドレナージにより頭蓋内圧充進を抑制した点も患者の救命上重要であった.
  • 浅井 定三郎, 亙野 昌治
    1989 年 63 巻 6 号 p. 654-658
    発行日: 1989/06/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    大阪府泉南郡岬町に住む男児で発熱, 左腋窩リンパ節腫脹を主訴に来院.蛍光抗体法で血清学的に診断した.経過中CRP陰性で紅斑を認めず, probable DICを合併したがminocyclineが著効を示した.リケッチア血症に至る前に早期に診断治療できた症例と考えられた.大阪府では20年ぶりの発症, 和歌山では1986年の成人例に次いで2例目で小児では初例である.
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