サルモネラ腸炎に対するT-3262 (tosuHoxacintosilate) の臨床的有効性, 安全性および有用性を評価する目的で, 同患者・保菌者103例に本剤を投与し検討した. 同時に, 臨床分離株に対する本剤の抗菌力を測定し, NA, PPA, ENX, NFLX, OFLXと比較した. また, 急性腸炎患者においてTー3262投与時の糞便中'濃度と腸内菌叢について検討した.
投与方法は1日量450mg (分3, 食後) を7日間経口投与とした. 解析対象症例は63例 (赤痢菌との混合感染1例を含む) であった.
臨床効果 (n=6) はすべて有効であり, 細菌学的効果 (n=61) は有効率98.4%(60/61) であった. 副作用は102例中4例 (3.9%) にみられ, 発疹1, 悪心・頭痛.口内炎・口角炎1, 軟便2例であった. 臨床検査値異常は23例中, GOT上昇1, GOT.GPT上昇2, BUN上昇1, 好酸球増加1の計5例 (17.4%) に見られたが, いずれも軽微であった.
T-3262のサルモネラに対するMIC
90は0.05μg/mlで他のキノロン剤よりも低かった.
急性腸炎患者7例におけるT-3262投与時の糞便中薬剤濃度はMIC
90以上の濃度が得られ, 回収率は24時間で2.85~46.3%で, 個体差が大きく, 同一の傾向は認められなかった. 薬剤投与後24時間内の腸内菌叢の変動にも一定の傾向はみられなかった.
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