内科領域の重症感染症患者で原則として3日以上の抗生剤投与による治療効果が不十分もしくは無効であった患者262例を対象として新しく開発された静注用液状人免疫グロブリン製剤C-425と抗生剤との併用効果, 安全性ならびに有用性を検討した.
本剤が投与された262例の判定委員会における取扱いは, すべての評価より除外された症例12例, 安全性のみ採用例87例で, 有効性, 安全性および有用性のいずれもが採用となった症例 (完全採用例) は163例 (62.2%) であった.
完全採用例163例の感染症の内訳は, 敗血症疑93例 (57.1%), 肺炎33例 (20.2%), 敗血症18例 (11.0%) などで, 基礎疾患については, 80%以上の患者が白血病や悪性リンパ腫などの造血器悪性腫瘍であり, 全般に重篤な疾患を有していた.
臨床効果は, 主治医判定で有効以上が49.1%, やや有効も含めた有効率は74.8%であり, 委員会判定でも有効以上およびやや有効以上での有効率は, それぞれ53.4%, 68.7%で主治医の判定とほぼ同様の成績が得られた.
細菌学的効果を検討しえた症例は19例で, 陰性化11例, 減少1例, 不変5例, 菌交代2例で陰性化率は57.9%であった.
副作用症状については250例中6例 (2.4%) に認められたが, 本剤との関連が疑われたもの, あるいはありとされた症例は3例 (1.2%) で, 特に臨床上問題と考えられた症例はなかった. また, 肝機能異常が4例 (1.6%) に認められたが, 本剤との関連は明らかでなかった.
これらの成績より内科領域における重症感染症に対して本剤は有効でかつ安全性の高い薬剤と考えられた.
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