感染症学雑誌
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64 巻 , 5 号
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  • 青木 泰子, 柏木 平八郎
    1990 年 64 巻 5 号 p. 549-556
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    MRSA感染症の多発病棟では, 医療従事者の鼻腔のMRSA保有がしばしば認められるが, その患者に対する感染源としての意義を解明する目的で, MRSA感染症の多発した集中治療病室 (ICU) で医師, 看護婦の鼻腔培養を行い, 検出されたMRSAの抗菌薬感受性とコアグラーゼ型を患者の感染病巣由来株と比較した.
    医師20名中10名, 看護婦26名中6名の鼻腔から黄色ブドウ球菌が検出され, 医師5名, 看護i婦2名の株がMRSAであつた. これら医療従事者保有MRSAのコアグラーゼ型はすべてII型で患者由来株と一致していたが, 抗菌薬感受性を比較すると, IPM, GM, MINO, OFLXなどに感受性である点が患者由来株と異なっていた. 医療従事者保有メチシリン感受性黄色ブドウ球菌 (MSSA) のコアグラーゼ型を臨床分離株と比較すると, 入院患者由来のMSSAと類似した分布を示していた. 医療従事者保有MRSAをGM, MINO, OFLXなどの薬剤を含む培地中で培養するとこれらの薬剤に対する耐性株が出現し, その後, 薬剤を含まない培地中で培養しても耐性の脱落は認められなかつた. さらに, 医療従事者保有MSSAをDMPPC, CMZを含む培地中で培養すると両薬剤に対する耐性株が得られた.
    以上の結果, 医療従事者保有MRSAは院内感染における感染源としての意義を有する可能性が示唆され, また, その対策に当たつては, MSSAをも対象とする必要があると考えられた.
  • 岩田 政敏, 佐藤 篤彦
    1990 年 64 巻 5 号 p. 557-563
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    慢性気道感染症の病態, 難治化要因を究明するため, serum sensitiveなムコイド型緑膿菌混入寒天ビーズをSDラット気管内に注入することにより, ラット慢性細気管支炎モデルの作成を試みた. 同時に, 本実験系におけるBALTの組織反応の面からも検討を加えた. 肺内緑膿菌量の推移では, 菌液を4.7×106cfu注入すると, 1日目に108cfuに増加し4日目より漸減するが, 28日目にも104cfu認められた. 肺組織所見においては, 7日目までは末梢気道壁, 気腔内に著しい好中球をみたが, 以後リンパ球や泡沫細胞が主体となり, さらに肉芽組織も観察され, いわゆるDPBの組織像と極めて類似していた. 一方, BALTではHEVの顕在化, リンパ球流入像やリンパ管でのリンパ球集籏像がみられた. また, 胚中心も7日~28日目まで観察され, BALT過形成による気道狭窄像も認められた. 以上の所見から, 緑膿菌持続感染に対する肺局所免疫にBALTの関与が示唆され, BALTの経時的免疫動態を明らかにすることは, 慢性気道感染症の病態解明に寄与するものと考えられる.
  • 齋藤 剛, 赤松 高之, 青山 辰夫, 岩井 英人, 権田 隆明, 村瀬 雄二, 山下 直哉, 岩田 崇
    1990 年 64 巻 5 号 p. 564-569
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    百日咳の施設内流行をみた乳児院に在籍する生後6ヵ月以上36ヵ月以下の乳幼児19名をDPTワクチン接種群と未接種群に分けて百日咳コンポーネントワクチンの効果をprospectiveに検討した. 接種群9名中感染例は7名, 未接種群10名中感染例は7名で二次感染率は78%(7/9), 70%(7/10) と差は無かったが, 感染例が典型的百日咳に進展する割合は接種群14%(1/7), 未接種群86%(6/7) と接種群は有意に低率で, 14日以上の痙咳発作の有無を指標に算出したワクチンの効果は81%であった. 百日咳コンポーネントワクチンは菌の感染は阻止し得ないが典型的百日咳への進展を阻止又は軽症化し, 十分な臨床効果を現わす.
  • 橘 宣祥, 岡山 昭彦, 村井 幸一, 塩入 重正, 石原 史朗, 志々目 栄一, 石崎 淳三, 津田 和矩
    1990 年 64 巻 5 号 p. 570-574
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    宮崎県の住民11,224名から1983~1985年に得られた血清の抗HTLV-I抗体をHUT102を抗原とする間接蛍光抗体法で測定し, HTLV-Iの浸淫度を異にする宮崎県の北部, 南部および宮崎市部の各地域毎の年齢別, 性別陽性率を比較検討した. 北部と南部の陽性率は30歳代では4.2と4.9%で差は僅かであったが40歳代ではそれぞれ7.0%, 12.0%と差が拡大した.50歳以上の陽性率の上昇は同程度であることから, これが高年齢層での地域差の要因と考えられた.
    1987~1988年に20~42歳の971名 (男714名, 女257名) の再検査で抗体陽転者6名 (男4, 女2) が見出された. 感染経路などについては不明であるが, 輸血の既往歴はない. 40歳代までの陽性率の上昇にはこれらの陽転者の存在も重要と考えられた.
  • 山崎 透
    1990 年 64 巻 5 号 p. 575-583
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    緑膿菌性気道感染症の成立機構を明らかにするために, 緑膿菌の付着因子の一つとされるpili (fimbriae) に的を絞り, pili保有株とpili非保有株 (変異株) を用いて付着に対する基礎的な検討を行ない, 抗菌剤のpi1i産生性および付着に対する影響を検討した. 気道モデルとしてマウスの塩酸傷害気管を用い, 気管粘膜への付着性は電子顕微鏡にて観察した. 正常粘膜にはpili保有株, 非保有株ともに付着性は低く, 塩酸傷害粘膜にはpili保有株がpili非保有株よりも多数付着した (p<0.01). pili保有株の付着性は, 菌体を熱処理 (60℃, 5分), ホルマリン処理, 抗pili血清, N-acetylneuraminic acid (NANA) およびN-acetylglucosamine (G1cNAC) 処理にて低下した. 各種抗菌剤の1/4MIC添加培地にてpili保有株を37℃, 4時間培養すると, erythromycin (EM), minocycline, clindamycinではpili数の減少がみられたが (p<0.01), ofloxacin, tobramycin, piperacillin, ceftazidime (CAZ) では影響はみられなかった. EM1/32MIc添加培地での継代培養ではpili数の減少がみられたが (p<0.01), CAZではみられなかった. さらに, EMではpili数の減少と比例して塩酸傷害粘膜への付着性の低下が観察された.
    以上より緑膿菌のpiliは付着因子としての役割を有し, そのレセプターはNANA, G1cNAcの糖が考えられ, 細菌の蛋白合成系に作用するEMなどの抗菌剤のsub-MIcとの接触によりpili産生性は低下し, 気道粘膜への付着性も低下することが明らかとなった. 臨床における緑膿菌性気道感染症の成立において, MICに達しない低濃度のEMの投与は, その発症を予防する可能性が示唆された.
  • 吉田 耕作, 梅田 昭子, 一幡 良利, 菅沼 優
    1990 年 64 巻 5 号 p. 584-591
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Staphylococcus hyicus ST67P株をIchimanらの方法でS.epidermidisの莢膜血清型別を行つたところ, 1 (++)/II (+) 型であった. 本株加熱死菌で免疫したマウスに, 同株およびS.epidermidisATCC31432株 (莢膜型1型), SE-360株 (莢膜型II型), SE-10株 (莢膜型III型) を腹腔内に接種したのち, 脂腔内生菌数の推移を観察したところ, 同株ならびに, ATCC31432株では生菌数は著明に減少したが, SE-360株, SE-10株では生菌数の増加がみられた. マウスを用いて行った実験で, 抗ATCC31432株ウサギ血清の被働性感染防御活性は, 同株ならびにST67P株で吸収されたが, ST67P株はSE-360株およびSE-10株に対する感染防御活性は吸収しなかった. ST67P株菌体をフェリチンでラベルした抗ST67P株血清, 抗ATCC31432株血清, 抗SE-360株血清, 抗SE-10株血清で処理したのち, 超薄切片を作製し, 電顕的観察を行つたところ, 同株による抗血清では分厚い莢膜の最外層に多数のフェリチン顆粒の集積がみられ, 抗ATCC31432株血清では比較的薄い莢膜と, その最外層にフェリチン顆粒を認めたが, 抗SE-360株血清では, 細胞壁の周囲にフェリチン穎粒の集合のみがみられ, 抗SE-10株血清では細胞壁の周辺には莢膜様物質も, フェリチン顆粒の存在も認められなかった. 以上のことから, ST67P株とATCC31432株とは明らかに共通の感染防御抗体が存在するものと考えられた.
  • 三木 寛二, 坂崎 利一
    1990 年 64 巻 5 号 p. 592-596
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    近年, Acinetobacter属には新たに命名, 未命名のものを含めて9種類のgenospeciesが追加されるとともに, 既存の2菌種が再定義された. この新分類にそって過去数年間に収集したAcinetobacter属128菌株を再同定したところ, 86.7%がA.baumannii, 2.3%がA.junii, 1.6%がgenospecies11に一致し, 残りの9.4%はいずれの菌種とも生化学的に同定できなかったが, A.calcoaceticusおよびA.lwoffiiに該当するものは1株もなかった. 各菌種間の鑑別は主として炭素源利用性によっているために, これらの同定はルーチンテストにはやや不向きであるが, 本菌属中44℃ で発育できるのはA.baumanniiだけなので, この温度における発育テストを行うだけで, 臨床材料に由来するAcinetobacter属の大半はスクリーニングできると思われる.
  • 横田 憲治, 小熊 恵二, 吉田 博清, 高山 義一, 杉山 敏郎, 矢花 剛, 谷内 昭, 榑林 陽一, 磯貝 浩, 磯貝 恵美子
    1990 年 64 巻 5 号 p. 597-603
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Campylobacter pyloriの胃内存在を明らかにするため, 1) 培養法, 2) モノクローナル抗体を用いた免疫組織染色法, 3) ウレアーゼを利用した簡便法の3法について,胃炎,潰瘍などの疾患群とコントロール群とで比較検討した.
    疾患群では, 3法の菌検出率はそれぞれ64%, 75%, 74%であったが, 3法ともに陽性の例は48%であった.培養法と簡便法の一致率は81%(コントロール群を入れると83%) であったが,培養法と染色法の一致率は60%(コントロール群を入れると57%) であった.これらのことより,簡便法は有用な方法であること,また,菌の存在を確認するためには, 3法を併用することが重要であることが判明した.培養法か染色法で菌の存在が,確認されたものを合計すると,疾患群では77%,コントロール群では31%であり,明らかに疾患群で高かった.
    全菌体を用いた酵素抗体法により,患者抗体価の測定を行ったところ,培養陽性者と陰性者とのあいだでは有意な抗体価の差が認められた.しかし,胃潰瘍の程度などによる差はなかった.
  • III. 緑膿菌肺炎感染マウスにおける感染防御効果とその作用機序について
    朝野 和典, 古谷 信彦, 平瀉 洋一, 舘田 一博, 山口 恵三, 森川 伸雄, 千住 玲子, 門田 淳一, 河野 茂, 広田 正毅, 原 ...
    1990 年 64 巻 5 号 p. 604-611
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    Immunocompromised hostに発症する感染症は種々の抗菌剤の新たな開発にもかかわらず, 難治で重篤である.すなわち, 生体側の感染防御能の低下が存在するために, 抗菌剤の投与のみでは十分な治療効果が得られない場合が多い.そこでこのような生体側の低下した感染防御能を活性化し, 高める目的で, 種々のBRMの使用が今日検討され, いくつかのBRMについてその有効性が確認されている.
    今回G-CSFについてマウスを用いた動物実験を行ない, 日和見感染症菌として重要な緑膿菌による肺炎型感染症に対する感染防御効果, および抗生剤との併用効果について検討を加えた.
    その結果, G-CSFはcyclophsphamide処理マウスの肺炎型緑膿菌感染症に有効であった.特に, 抗生剤との併用で著名な相乗効果が得られ, 臨床上のみならず, 経済性においても有効な治療法と考えられた.
    一方, G-CSFのこのような感染防御効果は, 抗マクロファージ剤のひとつであるカラゲナンによって減弱することが判明した.このことより, G-CSFの作用機序および投与適応に新たな問題が提起された.
  • 金子 通治, 植松 香星
    1990 年 64 巻 5 号 p. 612-619
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    1985年4月から1989年6月までの間に, 山梨県内の主要医療施設の散発性下痢症患者から分離されたサルモネラ391株について, その血清型, 月・年齢・性別分離頻度, 薬剤感受性およびRプラスミド保有状況を検討した.
    血清型は35種類に分類された.分離頻度の高かつた血清型は, S.Typhimurium (24.8%), S.Litchfleld (9.2%), S.Oranienburg (9.0%), S.Enteritidis (7.9%), S.Hadar (6.1%) であつた.山梨県内ではヒト由来株として初めてS.Hadar, S.Brandenburg, SChester, S.Chailey, SOsloおよびS.Inchparkが分離され, 多彩化傾向が一層強まった.月あたりの平均分離株数は, 8月が最も多く17.3株で次いで9月 (11.3株), 5月 (10.6株), 7月 (9.8株) の順で夏期に集中していた.年齢別では, 10歳以下の乳幼児, 小児からの分離例が多く, とくに2歳児 (17.1%), 1歳児 (15.1%), 0歳児 (10.7%) および4歳児 (9.8%) の乳幼児に多かった.性別では, 男からの分離例が57.5%と女より多い傾向にあつた.耐性株は391株のうち179株, 45.8%であり, 最多耐性型はSA・SM・TC・CP・KM・ABPC型で21株を占めた.接合伝達性Rプラスミドを保有していたのは, 74株, 41.3%であつた.S.Typhimuriumは分離された97株のうち57株 (58.8%) が耐性で, うちRプラスミドによるものが57.9%であつた.山梨県のように比較的せまい地域においては, その時期, 時期における流行血清型が把握でき, これら成績を医療施設, 行政機関に還元することは, 保健, 予防衛生上重要である.
  • 原田 大, 吉田 博, 大曲 和博, 酒井 輝文, 安倍 弘彦, 谷川 久一, 有吉 護, 永田 見生, 井上 明生
    1990 年 64 巻 5 号 p. 620-624
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    我々は, ヘビなどの爬虫類の腸内常在菌として知られるEdwardsiella tarda (E.tarda) による敗血症に全眼球炎および化膿性脊椎炎を合併した症例を経験した.症例は39歳男性.昭和62年10月3日, 発熱, 腰痛, 多発関節痛, 右眼視力低下を主訴に入院.化膿性脊椎炎, 右全眼球炎を疑い, 動静脈血培養, 結膜ぬぐい液培養, 関節液培養および, 尿, 便培養施行し, 静脈血よりE.tazda, 結膜ぬぐい液よりStaaphylococcus epidermidis (S. aureus), Staphylococcus aureus (S.aureus) を分離し, 敗血症, 全眼球炎の診断にてアミカシン, セフォタキシム, 塩酸セブメノキシム, アンピシリン等を投与, 投与後も解熱は見られず, 入院12日目に眼球内容除去術を施行, 眼球内容よりS. epidermidisを分離, その後も抗生物質投与を続けたが, 経過中腰椎CTscanにて骨破壊像と骨新生像を認め化膿性脊椎炎の合併も認めた.以後抗生物質投与で一旦解熱したが, 増悪, 椎体病巣郭清を行なつた.椎体病巣より菌は分離されなかった.以上, 全眼球炎, 化膿性脊椎炎を合併したE. tardaによる敗血症の1例を経験したので報告した.
  • 関 紀夫, 横田 勉, 待鳥 浩信, Tetsuyo KUBOTA, Kazuo TAMURA, Masashi SEITA, 志々目 栄一 ...
    1990 年 64 巻 5 号 p. 625-629
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    症例は46歳, 男性.AML (M2) のため入院し, 抗悪性腫瘍剤により一旦寛解に達したが, 抗生剤に不応性の発熱が持続し, 肝腫大と右季肋部鈍痛が出現した.また腹部CTにて肝に多発性のlow densityareaを認めた.以上の所見から真菌性肝膿瘍を疑った.Amphotericin Bの全身投与を開始したが解熱しないため確定診断のため開腹肝生検を施行した.その結果, 組織の一部に真菌の菌糸を認めたために真菌性肝膿瘍と診断した.開腹の際, 門脈内tubingを施行し, Amphotericin Bの門脈内投与を開始した.その結果, 3ヵ月後には腹部CT及び腹部エコー所見そして炎症所見の改善をみた.AmphotericinBの門脈内投与が著効したと思われた.
  • 宇高 真智子, 前原 信人, 玉城 和則, 普久原 浩, 兼島 洋, 中村 浩明, 伊良部 勇栄, 下地 克佳, 橘川 桂三, 重野 芳輝, ...
    1990 年 64 巻 5 号 p. 630-635
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    症例は43歳, 女性.幼少時より非アトピー型気管支喘息の既往あり.喘息発作の治症としてはじめてステロイドを含む治療が行われた.2週間後, 発熱が出現するとともに胸部X線にて両下肺野に粒状陰影が認められるようになった.抗生剤 (セフェム系, アミノ配糖体, テトラサイクリン) の治療にもかかわらず, 呼吸困難咳嗽増強し, さらにご糞便より糞線虫が検出されたため精査, 治療目的にて当科紹介入院となった.当科にて施行したTBLB (transbronchial lung biopsy: 経気管支肺生検) の結果, 本症例の肺病変はPneumoctstis carinii肺炎と診断された.抗HTLV-1 (human T lymphotropic virustype 1) 抗体陽性, さらに血液検査にて異常リンパ球の出現, 末梢血にて花細胞が確認され, 本症例はくすぶり型成人T細胞白血病を発症していたことが判明した.Pneumocystis carinii肺炎はST合剤により治癒せしめ得たが, 糞線虫は再三の駆虫を試みたが完全駆虫はできなかった.患者の状態は良好となったので, くすぶり型成人T細胞白血病に対しては治療を行わず, 外来経過観察とした.
  • 春日井 啓悦, 渡辺 尚彦, 中村 俊香, 外園 光一, 朝日 洋一, 村山 正博, 須階 二朗, 岡田 忠彦, 川田 忠典, 阿部 光文, ...
    1990 年 64 巻 5 号 p. 636-641
    発行日: 1990/05/20
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    感染性心内膜炎 (IE) の内で, カンジダ性心内膜炎の頻度は0.6%と少ないが致命率の高い疾患である.今回, 救命し得たカンジダ性IEを経験したので報告した.
    症例: 34歳男性.主訴;発熱.飲酒歴;18歳から連日焼酎360ml飲用.既往歴;1985年11月急性出血性壊死性膵炎, その後腹腔内膿瘍を併発し, 長期にわたる抗生剤の使用と中心静脈栄養による管理を必要とした.現病歴;1988年3月22日より発熱, 腰痛, 血尿が出現.その後, 典型的塞栓症状, 感染症所見, 心雑音が出現し, 血液培養にて, Candida tropicalisが検出され, これによるIEと診断した.Miconazole (MCZ) 1日1,200mgを投与開始.経過中, 右鎖骨下動脈の血栓症を併発, 弁置換術および血栓除去術を行った.その後, MCZ投与後解熱傾向なくAmphotericin B (AMPH) 1日40mgとFlucytosine (5-FC) 1日8gの併用投与に変更したが, 腎障害のため中止.再度MCZに変更したところ炎症所見増悪.AMPH 1日20mg点滴静注, 5-FC 1日8g経口投与, AMPH 1日2.4g経口投与併用治療を再開し60日間投与にて治癒.治療中止10ヵ月後の現在血液培養にても再発を見ていない.検出菌の感受性成績 (摂種菌量106 cell/ml) のMICは, AMPH 3.13μg/ml, 5-FCでは6.25μg/mlであった.
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