1991年から1993年までに臨床材料より分離した肺炎球菌のうち, oxacillin (MPIPC) ディスク1μgに対して阻止円直径が19mm以下を示した66株を対象とし, 血清型別と薬剤感受性についての検討を行い, 合わせて微量液体希釈法とディスク拡散法との比較を行った.さらに菌型分布においては, MPIPCディスクの阻止円直径が20mm以上を示した32株も追加し調査を行い, 以下の結果を得た.
1) 肺炎球菌98株は6種類の抗血清で約70%が型別可能となり, ペニシリン感受性肺炎球菌 (PSSP) は3型20.6%, 19型15.9%, 6型14.3%, 18型9.5%, 14型7.9%, 4型1%の順で多く, ペニシリン中等度耐性肺炎球菌 (PISP) およびペニシリン耐性肺炎球菌 (PRSP) では19型60%, 18型8.6%であった. PISP/PRSPにおいては19型が過半数を占め, PSSPと明らかに分布が異なった.
2) MPIPCディスクによるスクリーニング法とbenzylpenicillin (PCG) のminimum inhibitory concentration (MIC) を比較すると, MPIPCに耐性を示した66株のうち, PSSPが31株 (47%) 認められた.
3) PISP/PRSPのMICはcefaclor (CCL), cefazolin (CEZ), cefotiam (CTM), cefotaxime (CTX), imipenem (IPM), minocyclin (MINO) およびerythromycin (EM) がPSSPより耐性側に傾いていたが, clindamycin (CLDM) とofloxacin (OFLX) では差は認められなかった.
4) 3型はすべてがムコイド状集落を形成し, MINOに耐性, EM, CLDMには高度耐性を示した.
) NCCLSにより微量液体希釈法とディスク拡散法の薬剤感受性カテゴリーがともに定まっているCCL, EM, OFLXでの完全一致率はそれぞれ75.8%, 92.4%, 86.4%となった.
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