1992~1994年の3年間に, フィリピン共和国マニラ市において散発下痢症患者より分離された263株のサルモネラについて, その血清型分布と薬剤耐性, 及びチフス菌 (
S. Typhi) と
S. Enteritidisのファージ型について検討した.
血清型別試験の結果, 供試菌株は, 10種の0群, 32種の血清型に分類された. その主要血清型は,
S. Weltevreden,
S. Enteritidis, チフス菌,
S. Typhimurium,
S. Derbyなどであった.
CP, TC, SM, KM, ABPC, ST, NA, FOM, 及びNFLXの9種薬剤に対する耐性試験の結果, 95株 (36.1%) がFOMとNFLXを除く供試薬剤いずれかに耐性であった.
5株以上検出された血清型のうち50%以上の高耐性率を示したのは,
S. Ruiru (100%),
S. Typhimurium (87.0%),
S. Senftenberg (80.0%),
S. Derby (66.7%),
S. Agona (50.0%) であった.
耐性菌95株の耐性パターンは全体で21種認められ, そのうち80株 (84.2%) は2剤以上の多剤耐性菌であった.
チフス菌37株のファージ型は, B1が27株, E2が6株, 及びA, DVS, UVS1, 型別不能 (UT) がそれぞれ1株であった.
S. Enteritidis38株のファージ型は, 4が32株, 7が3株, 及び1, 9, UTがそれぞれ1株であった.
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