1990年4月から1992年1月の間に, 当院で検出した
S.pneumoniae 210株を対象に, EM耐性
S.pneumoniaeの分離状況, マクロライド系抗菌薬使用状況および生物学的性状等について検討を行った.
1.EM耐性
S.pneumoniaeの臨床科別検出状況は, 呼吸器内科, 小児科領域で検出率が高値を示した.
2.EM耐性株検出症例のマクロライド系抗菌薬の投与状況は, 呼吸器内科, 小児科領域の症例に多く投与されていた.
3.
S.pneumoniaeのMIC90は, EM8.0μg/ml, CLDM8.0μg/ml, MINO8.0μg/ml, ABPC1.0μg/mlであり, ペニシリン系では中等度耐性, マクロライド系, 特にEMにでは高度耐性を示し, MIC400μg/m1以上を示す菌株も認めた.
4.VITEKGPIカード
®による生物学的性状試験では, EM耐性株の中にデキストロース利用試験 (DEX), ラクトース利用試験 (LAC), プルラン利用試験 (PUL), メリビオース利用試験 (MEL) 活性低下株が認められた.
5.EM耐性株によるマウス感染実験で, virulence低下の可能性が示唆された.
以上の成績から今後, EMのMIC動態および生物学的性状の変化に注目する必要性が示唆された.
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