感染性腸炎 (細菌性赤痢, サルモネラ腸炎, 病原大腸菌腸炎, コレラなど) に対するprulinoxacin (PUFX) の臨床的有効性, 安全性及び有用性を評価する目的で, 同患者・保菌者122例に本剤を投与し検討した. 同時に臨床分離株に対するPUFXの抗菌活性体 (UFX) の最小発育阻止濃度 (MIC) を測定し, ciprofloxacin (CPFX), ofloxacin (OFLX), tosufloxacin (TFLX), nalidixicacid (NA) のそれと比較した. また, 急性腸炎患者においてPUFX投与時の糞便中薬物濃度と腸内細菌叢に及ぼす影響について検討した.
投与方法は1日400mg (分2, 朝夕) を5日間 (サルモネラ腸炎は7日間, コレラは3日間) 経口投与とした. 有用性解析対象症例は84例であった.
臨床効果は, サルモネラ腸炎で有効率88.9%(8/9例) であり, その他は100%(45/45例) であった. 細菌学的効果は, サルモネラ腸炎で有効率75.0%(12/16例) であった他は100%(61/61例) であった. 副作用としては109例中1例 (0.9%) に中等度の華麻疹が認められ, 臨床検査値の異常変動は100例中, 好酸球増多1例, S-GPT上昇2例の計3例 (3.0%) にみられたが, いずれも軽度であった. 有用性は「極めて有用」が65.5%(55/84例),「有用」以上が95-2%(80/84例) であった.
UFXの赤痢菌, サルモネラ属病原大腸菌, コレラ菌の臨床分離株に対するMIC
90は, それぞれ0.025, 0.05, 0.025, 0.05μg/mlであり, CPFX, TFLXとほぼ同等で, OFLX, NAより優れていた.
急性腸炎患者3例におけるPUFX投与時の糞便中UFX濃度は赤痢菌, サルモネラ属, 病原大腸菌, コレラ菌のMIC
90以上の濃度が認められた. また, 腸内細菌叢の変動については, 本剤の有効性及び安全性に影響を及ぼすと思われる変動は認められなかった.
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