感染症学雑誌
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73 巻, 11 号
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  • 松下 秀, 小西 典子, 有松 真保, 甲斐 明美, 山田 澄夫, 諸角 聖, 泉谷 秀昌, 寺島 淳, 渡辺 治雄
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1087-1094
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    東京において1980-1998年に, 国内散発事例及び海外旅行者による輸入散発事例より分離された674株のSalmonella serovar Typhimurium (S. Typhimurium) について, その検出頻度, 薬剤耐性, 及びdefinitive type 104 (DT104) の出現状況について検討した.
    この間, 国内事例より8, 359株, 輸入事例より4, 083株のサルモネラが検出され, そのうちS. Typhimuriumは前者で6.2% (522株), 後者で3.7% (152株) を占めていた.
    CP, TC, SM, KM, ABPC, ST, NA, FOM, 及びNFLXの9種薬剤 (DT104株についてはSUを追加) に対する耐性試験の結果, 国内事例由来株では245株 (46.9%), 輸入事例由来株では109株 (71.7%) がFOM, NFLXを除くいずれかに多剤あるいは単剤耐性であった. 薬剤別では, 両事例由来株ともTC, SM, ABPC, CPに対する耐性率が高かった. その耐性パターンは, 全体で40種と多彩であったが, その主要なものは国内事例由来株でCP・TC・SM・ABPC, CP・TC・SM・KM・ABPC, TC・SM, SM単剤, TC・KM, 輸入事例由来株でTC単剤, CP・TC・SM・ABPC, CP・TC・SM・KM・ABPC, CP・TC・SM・KM・ABPC・ST, TC・KMであった.
    ファージ型別試験の結果, DT104と型別されたのは, 国内事例由来供試52株中31株, 輸入事例由来供試46株中13株で, 前者が1987年, 後者が1986年以降の分離株において認められた. 検出DT104株は2種の耐性パターンのものに限られており, CP・TC・SM・ABPC・SU (供試49株中43株), CP・TC・SM・KM・ABPC・SU (供試5株中1株) であった.
  • 恩田 智子, 林 清華, 狩野 繁之, 鈴木 守
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1095-1098
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    酸素吸収・二酸化炭素発生剤のアネロパック®・プラス (5%O2, 5%CO2), およびアネロパック®・CO2 (15%O2, 6%CO2) を使うマラリア原虫培養系によりPlasmodium falciparumの継代培養を行い, 従来の標準的条件下 (ガスボンベを5%O2, 5%CO2, 90%N2に調整) における原虫の増殖状況の結果と比較した.
    既に培養に適応したSGE-1株とK1株の2株の原虫をそれぞれ26日間培養した. 培養液の交換の都度に, アネロパック®と新しいものと交換した.
    原虫増殖曲線を比較すると, SGE-1株とK1株の両株で, アネロパック®・プラス法, アネロパック®・CO2法, 従来法の全ての条件で平行関係が認められた. したがって, 培養に適応した株に関する限り, アネロパック®を使ってガス環境を整えれば, 熱帯熱マラリア原虫の連続培養が可能であることが判明した. 本法は, 野外試験における熱帯熱マラリア原虫の新たな方法として今後の活用が期待できる.
  • 林 清華, 恩田 智子, 狩野 繁之, 増田 剛太, 鈴木 守
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1099-1103
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    薬剤感受性試験は低酸素, 高炭酸ガスの環境下で原虫を培養し, 薬剤を作用させて行われている.マラリア流行地の野外試験に適した培養法を基に行われる薬剤感受性試験は, 現場で最も必要とされているにもかかわらず, 適正な方法, 機材はまだ不充分である.今回, 野外試験用に開発した酸素吸収・炭酸ガス発生剤のアネロパック®・CO2 (三菱ガス化学株式会社, 東京) 及びポータブル小型恒温槽 (タイジ株式会社, 東京) を組み合わせたアネロパック®マラリアカルチャーシステムを用いて薬剤感受性試験を行う上で, その結果を従来の標準法と同じ培養環境が整えられるか検討した.
    試験に供した熱帯熱マラリア原虫はクロロキンに対し高い耐性を示す株 (K-1), クロロキンに対して感受性を示す株 (SGE-1) と世界的に広く培養実験に使用されているFCR-3株, 及び輸入マラリア患者の末梢血より直接分離し培養した初代培養株2株の計5株であった.その結果, いずれの株も, 新方式及び従来の標準法で同程度のクロロキン感受性値を示すことが判明し, 野外試験においてクロロキン感受性試験を行うために, アネロパック®マラリアカルチャーシステムは極めて有用であると考えられた.
  • 西 順一郎, 吉永 正夫, 真砂 州宏, 黒木 久知, 亀之園 明, 茂幾 明彦, 宮之原 弘晃, 馬場 泰光, 池田 琢哉, 宮田 晃一郎
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1104-1109
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    腸管出血性大腸菌 (EHEC) は, O抗原血清型によりスクリーニングされベロ毒素が検査されているが, EHEC以外の下痢原性大腸菌については病原因子が容易に検査できず, O抗原血清型では病原性の有無について判断できないのが現状である. 散発下痢症から分離され, O抗原免疫血清に凝集の見られた大腸菌が実際にどの程度の頻度で病原性を持つかを知る目的で, 散発下痢症患児から分離された大腸菌184株を対象に, 腸管病原性大腸菌 (EPEC) の局在性付着因子遺伝子eae・bfpA, 腸管組織侵入性大腸菌 (EIEC) の侵入因子遺伝子IpaH, 毒素原性大腸菌 (ETEC) の毒素遺伝子LT・ST, EHECのべロ毒素遺伝子VT1・VT2, 腸管集合性大腸菌 (EAggEC) の付着因子遺伝子aggRの保有状況をPCRにより検討した. O抗原血清型の分布は, O1が31.5%, 次いでO6, O18, O111の順であった. eaeは7株 (3.8%) で陽性, bfpA, IpaH, LTはすべて陰性. STは2株 (1.1%), VTは5株 (2.7%) 陽性. AggRは8株 (4.3%) に検出され, 7株がベロ毒素非産生のO111であった. この7株はHeLa細胞付着試験で集合性付着を示した. O抗原免疫血清で凝集の見られた大腸菌における病原因子遺伝子の検出頻度は低く, EHECとEAggEC以外の下痢原性大腸菌はO抗原血清型でスクリーニングするよりも直接病原因子を検査することが必要と考えられた. またEAggECは比較的検出頻度が高く, 本邦においても散発下痢症の起因菌となっている可能性が示唆された.
  • 川上 小夜子, 斧 康雄, 山本 美和, 松村 充, 岡本 了一, 井上 松久, 宮澤 幸久
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1110-1115
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    帝京大学医学部附属病院において, 1990年から1996年までの7年間にcefotaxime (CTX) に対するminimum inhibitory concentration (MIC) が>8μg/mlを示したEscherichia coliおよびKlebsiella pneumonfaeの検出率の年次推移を調査した.E. coliは1990年度の1, 282株中6株 (0.4%) から年々増加し, 1995年度には2, 910株中50株 (1.7%) から検出され (X2検定: p=0.0013), 翌年は1.4%の検出率で推移した.K.pneumoniaeは1990年度の1,044株中7株 (0.6%) から1995年度には1996株中144株 (7.2%) へと大幅に増加し (X2検定: p<0.0001), 翌年は7.3%の検出率であった. また, 1995年度にそれらが検出された臨床材料は, 便 (86件), 尿 (59件), 喀痰 (15件), 膿汁 (15件), 咽頭ぬぐい液 (10件), その他 (12件) の順であった. 1996年11月-1997年3月に検出されたCTX>8μg/mlのE. coli 11株, K. pneumoniae 22株に対するMIC分布は, ampicillin: >512μg/ml, piperacillin: >512μg/ml, ceftazidime (CAZ): 2-64μg/ml, CTX: ≧512μg/ml, ceftizoxime: ≦1-512μg/ml, cefpodoxime: ≧256μg/ml, cefepime: 32->512μg/ml, aztreonam (AZT): 8->512μg/ml, cefmetazole: ≦1-16μg/ml, latamoxcef: ≦0.125-2μg/ml, imipenem: ≦0.125-1μg/mlであった. 上記penicillin系薬にclavlanic acid (CVA) を併用すると抗菌力は8倍->512倍ほど回復した. すなわちこれらの株はESBL産生菌の可能性を有したが, 欧米で問題となっているESBL産生菌のMIC値がCAZ>CTXに比べて逆の結果という特徴がみられた. また, 上記以外にCVAによる併用効果がみられないβ-lactamase阻害剤耐性と思われる菌もE. colfK. pneumoniaeから各々1株分離された.
  • PCGとキノロン系抗菌剤の感受性分布
    石田 雅己, 渡辺 英明, 長田 昌美, 福井 裕子, 上田 誠, 古郷 功, 瀧井 昌英
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1116-1122
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    肺炎球菌検出の精度向上を目的として北九州市立5病院の検査科の協力のもと, 1994年10月より1995年7月までの10ヵ月間に臨床検体より分離された200株の肺炎球菌を対象とし, 疫学的, 細菌学的, 臨床的検討を加えた.
    PCG, NFLX, CPFX, FLRX, LFLX, TFLX, SPFX, LVFXのMICをマイクロプレートを用いた微量液体希釈法により測定した. PCGに対する感受性はPSSP48.0%, PISP39.5%, PRSP12.5%であり, MPIPCのディスク感受性試験による判定は, PSSPの10.5%を耐性と判定する危険性が示唆された. 肺炎球菌の89.0%は気道系より検出され, その年齢分布は2峰性を示し, 0歳より3歳に全体の40.5%, 50歳以上に39.5%が検出された. 前者でPCG非感受性株の比率が高かった.
    キノロン系7薬剤の肺炎球菌に対するMIC90の分布はFLRX, LFLXの2剤が16μg/ml, NFLXは8μ9/mlと高値を示し, SPFXは0.5μ9/ml, TFLXは0.25μ9/mlと良好な感受性を有し, CPFX, LVFXの2剤は2μg/mlと両者の中間に位置していた. NCCLSの基準を参考にすると, TFLX, SPFX, LVFXの3薬剤は98%, またはそれ以上の感受性率であった. キノロン耐性肺炎球菌が検出された4症例を検討したが, うち3例でキノロン投与歴があり, 本剤は容易に耐性化する可能性が示唆された.
  • 岡田 純, 角家 明文, ラナ 美代子, 石川 章, 飯国 弥生, 近藤 啓文
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1123-1129
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    膠原病患者のカリニ肺炎予防に対するSulfamethoxazole-Trimethoprim (ST) 合剤の有効性と副作用を検討した. プレドニゾロン換算で40mg/day以上を服用した84例を対象とした. カリニ肺炎の危険因子 (リンパ球減少, 間質性肺炎) のいずれかがあった場合, ST合剤の投与 (1ないし2錠/day) を37例に行った. ST合剤を服用しなかった47例を対照とした. カリニ肺炎はST合剤非投与群で43%に認められたが, 投与群での発症はなかった. ST合剤1錠投与群 (11例) では, 副作用の発現はなく, 2錠投与群 (26例) の19.2%に比べ有意に少なかった (p<0.05). 検査値異常は, ST合剤1錠投与群では36.4%, 2錠投与群では364%と両群で差はなかった. 以上より, ST合剤投与は, 膠原病患者のカリニ肺炎の予防に有効であり, ST合剤の1錠投与は副作用も少ない可能性が推測された.
  • 山田 澄夫, 尾形 和恵, 加藤 玲, 森本 敬子, 林 志直, 伊藤 忠彦, 松下 秀, 小西 典子, 甲斐 明美, 遠藤 美代子
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1130-1139
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1998年10月から12月の長期にわたり都下八王子市の保育施設においてShigella sonneiによる集団例が発生し, 疑似患者および保菌者各3名を含む延41名の患者が確認された.1例の海外由来を除き全て施設内由来であったが, その多くは3歳園児 (20例) とその家族 (13例) であった.患者の発症日分布から, 本流行は前期と後期に区別され, 後期発症期間には再発病あるいは再感染および再排菌と考えられる事例が認められた.患者の主症状は下痢, 発熱および腹痛で, 血便も7例観察された.全員が入院し, 成人例にはLVFX, 小児例にはFOMが投与され, 予後良好であった.
    前期発症期間由来株の大部分はコリシン0型の9種の抗生剤に対する感受性株であったのに対し, 後期発症由来株の多くはコリシン2型のTC耐性株で差を認めたが, 両期間由来株のプラスミドプロファイルとRAPD-PCR法によるDNAフィンガープリントは同一であった.FOMのMICは前期・後期で差がなかったが, MBCは後期株で高かった.一方, 海外由来株もコリシン0型であったが, ABPCとST耐性であり, 分子疫学的解析像も異なっていた.
  • 鹿からの本菌分離について
    福山 正文, 横山 里恵, 坂田 慎治, 古畑 勝則, 大伸 賢二, 原 元宣, 佐藤 良治, 田淵 清, 伊藤 武, 甲斐 明美, 松田 ...
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1140-1144
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    ヒトのVero毒素産生性大腸菌 (VTEC) 感染症における感染源や感染経路を明らかにするため, 1997年8月から1998年1月までの期間に2カ所の公園で放し飼いにされていた鹿の新鮮糞便を採取し, VTECの分離を試みたところ, 以下の成績が得られた.
    1) 供試した200例中21例 (10.5%) からVTECが分離された.その内訳は, A公園100例中15例 (15.0%), B公園100例中6例 (6.0%) からそれぞれVTECが分離され, 地区別において差異が認められた.
    2) 分離された21株について毒素型別を行ったところ, VT1産生株が10株 (47.6%), VT2産生株が5株 (23.8%), VT1とVT2両毒素産生株が6株 (28.6%) であった.
    3 分離株の血清型では, O128: H2に2株, 次にO8: H10, O128: H12およびO169: HUTに各1株であった.残り16株は型別不能であった.地区別において, A公園ではO128: H2, O8: H10およびO169: HUTに各1株が型別されたが, 残り12株は型別不能であった. B公園ではO128: H2に2株が型別されたが, 残り4株は型別不能であった. また, B公園の型別不能株のうち, 1株は自家凝集が認められた.
    以上のことから, ヒト由来VTECの毒素型や血清型と一致する菌株が鹿から分離されたことから, ヒトVTEC感染症の感染源の一つとして関与する可能性が考えられた.
  • 石井 理恵, 中島 夏樹, 五島 敏郎, 有本 寛, 加藤 達夫
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1145-1152
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    最近経粘膜ワクチンの研究および開発が進められている.今回, 生後6週Balb/c雌性マウスを用い, ケイキサレートをアジュバントとした百日咳ワクチンの経鼻接種を試み, 百日咳に対する血清IgG抗体, 局所分泌型IgA抗体およびリンパ球特異細胞性免疫の誘導について検討を行った.沈降精製百日咳ジフテリア破傷風混合ワクチン, 百日咳菌PTとFHAの混合ワクチン, 百日咳菌PTとFHAの混合ワクチンにアジュバントを添加したワクチン, の3種類を, 4週間毎に3回, 筋注および経鼻接種し, 接種後4週毎に採血しELISA法で抗PTおよび抗FHAIgG抗体価の測定を行った.同時に3回接種後4週で鼻腔洗浄液を採取し, 抗PTおよび抗FHAIgA抗体価をELISA法で測定した.また, マウスの脾細胞から分離した単核球を, PT, FHAとともに培養し, その芽球化反応をサイミジンの取り込みにより検討した.その結果, 血清IgG抗体は抗PT抗体, 抗FHA抗体のいずれにおいても筋注のみならず経鼻接種でも上昇することが確認され, かつ, 局所IgA抗体ではPT, FHAともにアジュバントを加えた経鼻接種において上昇を認め, また, 特異細胞性免疫でも同様に, 経鼻接種群でPT, FHAどちらの上昇もみられたが, なかでもアジュバントを加えたワクチン接種群のFHAが有意に上昇した.以上よりケイキサレートをアジュバントとし加えた百日咳ワクチンの経鼻接種の効果の可能性が示唆された.
  • 池松 秀之, 鍋島 篤子, 鍋島 茂樹, 角田 恭治, 前田 尚康, 鄭 湧, 李 文, 林 純, 原 寛, 柏木 征三郎
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1153-1158
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    新しく日本に導入されたenzyme immunassayを原理とし, A型インフルエンザウイルスの抗原を検出する迅速診断キットDirectigen Flu Aの有用性について, 一般成人及び高齢者での検討を行った.1999年1月3日から1999年2月15日までの期間において, インフルエンザが疑われた患者57名を対象として, インフルエンザ迅速診断キットによる診断とペア血清のHI抗体価の測定を行った.対象患者を年齢より, 59歳以下の成人群32名と, 60歳以上の高齢者群25名に分けた.
    インフルエンザA/H3N2に対するHI抗体価の上昇は, 42名 (73.7%) に認められた.成人群のHI抗体価上昇例は25例 (78.1%), 高齢者群では17例 (68.0%) であり, 両者に, 有意の差は認められなかった.
    A型インフルエンザ迅速診断キットで陽性者は25名で, 25名全員ともHI抗体価は上昇していた.咽頭拭い液によるA型インフルエンザ迅速診断キットのHI抗体価による診断との一致率は70.2% (40/57), sensitivityは59.5% (25/42), specificityは100% (15/15) であった.迅速診断キットの施行日別の陽性率は, 第1, 第2, 第3病日では, それぞれ667%, 813%, 53.3%であり, 第4病日以降に施行された5例は, 全員陰性であった.迅速診断キットの陽性率は, 高齢者と一般成人で差は認められなかった.
    このA型インフルエンザ迅速診断キットは, 高齢者においても高い診断能を有し, 15分で結果が得られる迅速性や, 特別な器材を必要とせず操作も簡便である事からも, 一般診療のみならず, 高齢者集団におけるインフルエンザへの対策にも, 非常に有用であると思われる.
  • 泉川 公一, 玻座真 博明, 泉川 欣一, 原 耕平, 宮崎 義継, 上平 憲, 河野 茂
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1159-1162
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 46-year-old male patient with alcoholic cirrhosis of the liver was carried to our out-patient clinic as he had developed shock while under routine follow-up, and died on the way to the hospital. He had been admitted several times since the diagnosis eight years ago, and was finally discharged from the hospital six weeks ago with improved physical condition and laboratory findings. A vesicle and bulla formation with phlegmon on the skin of right leg and sole of foot was noticed. Vibrio vulnificus was detected from the purulent discharge of the skin on culture. We conclude that the patient developed V. vulnificus-septicemia which resulted in sudden death. Since V. vulnificus infection may frequently take a fulminant course in patients with liver cirrhosis, adequate measures should be taken for early diagnosis and treatment to prevent the fatal outcome.
  • 斎藤 あつ子, ライ シバクマラ, 何 深一, 神前 昌敏, 辻 正義, 石原 智明
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1163-1164
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 沖本 二郎, 砂川 尚子, 浅岡 直子, 大場 秀夫, 米山 浩英, 小橋 吉博, 副島 林造
    1999 年 73 巻 11 号 p. 1165-1166
    発行日: 1999/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
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