感染症学雑誌
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74 巻, 12 号
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  • 3. 分類小委員会の役割と現状
    小迫 芳正
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1001-1003
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 浜本 昭裕, 木下 和久, 須山 尚史, 石井 良和, 河野 茂
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1004-1011
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    細菌性赤痢の集団発生事例を経験した. 有症者数は821名で, 467名 (56.9%) から菌が検出され, 346名 (42.1%) が入院した. 投薬のみで, 自宅治療を行った患者は121名で, 二次感染者数は5名 (1.1%) であった. このうち当院を受診した96名を対象に臨床症状の解析および分離菌の細菌学的検討を行い, また長崎市保健環境試験所から分与を受けた環境分離株についても同様の検討を行った. 患者の主訴は下痢, 腹痛, 発熱で, 便性は水様便が多く, 血便は47名中3名 (6.4%) と少なかった. 治療はlevofloxacin (LVFX) 300mg/日, 5日間投与で行われ, すべて除菌できた. また環境調査の結果, 患者が多発した某大学内の井戸水からShigella sonnei (S. sonnei) が検出され, 集団赤痢の原因は井戸水と断定された. 大学近辺のアパート浄化槽からも分離されたが, 井戸水との関与は否定された. 菌の生化学的, 血清学的および酵素学的性状は糞便由来株, 環境由来株ともに一致していた. 薬剤感受性試験では, 治療に使用したLVFXと同系のofloxacinはすべての株に感受性を示したが, 浄化槽由来株および糞便由来3株の計4株がfosfomycinに64μg/ml以上の耐性を示した. なお, パルスフィールドゲル電気泳動による遺伝学的検討の結果, 臨床材料由来株と環境由来株は, 極めて近縁関係にあることが判明した.
  • 寺田 喜平, 新妻 隆広, 大門 祐介, 片岡 直樹
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1012-1017
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    我が国ではMMRワクチンが使用できず, 別々に接種せねばならない. そのため風疹ワクチン接種率は50~60%と低く, このままでは将来も先天性風疹症候群を根絶することは難しい. 接種率を上げる方法として2回接種法があるが, どんな方法がもっとも効率良く抗体陽性率を上昇できるか検討したので報告する. 3種類の2回接種モデルを想定し, 予想される抗体陽性率と日本全体における費用を計算した. 第1モデルは1回目の接種を1~3歳までに, 2回目を6~9歳に個別接種にで実施する. 第2モデルは, 第1モデルと同様であるが, 2回目の接種を集団接種で行う. 第3モデルは1回目接種を他モデルと同様に, 2回目は小学校1年の学校検尿を利用して尿中風疹抗体を測定し, 陰性者に個別接種する. 結果は第1から第3モデルにかけて抗体陽性率が約60~90%に増加するに伴い費用も73~128億円に増加した. 尿中抗体の検査費用は, 検体数が年間約120万と多量なため安価になると予想できる. 今回の設定金額 (3, 000円) の半額以下になると第3モデルが費用対効果でもっともよかった. 予想価格600円では第2モデルより総額で年間20億円安くでき, 費用対効果でも20%改善した. 尿中風疹抗体スクリーニング法は90%以上の抗体陽性率が得られ, 費用対効果でも優れた方法と考えられた.
  • 菰田 照子, 坂内 久一, 秋田 博伸, 岩田 敏, 佐藤 吉壮, 砂川 慶介, 萩原 敏且
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1018-1022
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Chlamydia pneumoniae (C. pneumoniae) の標準株TW183株と茨城県霞ケ浦市に位置する国立霞ケ浦病院小児科を1992~1995年に受診した小児, 及びその家族より分離されたC. pneumoniae (6株) の電子顕微鏡像を観察した. そのうち4株について, 部分精製したC. pneumoniaeを抗原とし, 抗体に患者血清を用いたimmnunoblot法を行った. その結果, TW183株は洋梨状, 分離株はいずれも球状の感染性粒子形態を示した. しかし, immunoblotによるバンドの形成に差異は認められなかった.
    以上の成績は, 他の研究者の報告とも合わせ, 本邦には球状形態を示すC. pneumoniaeが広く蔓延していることを示す. 隣県の千葉県で分離された洋梨状の菌株が他のどの地域あるいは状況で検出され得るか, 興味が持たれる.
  • ウイルス付着物に対する殺ウイルス効果とその持続
    野田 雅博, 松田 俊二, 小林 正夫
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1023-1031
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    両性界面活性剤系, ビグアナイド系, アルデヒド系およびハロゲン系消毒剤の計4剤を用いて, 木綿ガーゼ, ステンレス片, 木片, ポリプロピレン樹脂片およびラテックス樹脂片にDNAウイルスのヒトヘルペスウイルス (HHV), ヒトアデノウイルス (HAV), ブタパルボウイルスおよびRNAウイルスのウシラブドウイルス (BRV), ヒト免疫不全ウイルス (HIV), ポリオウイルス (PV) の計6種のウイルスを付着させ, これら付着ウイルスに対する殺ウイルス効果を検討した. アルデヒド系およびハロゲン系消毒剤は木綿ガーゼ, ステンレス片, 木片, ポリプロピレン樹脂片およびラテックス樹脂片に付着させたすべてのウイルスに対して有効であったが, ビクアナイド系消毒剤はHHVおよびHIVに対して有効であった. 両性界面活性剤系消毒剤はHHVに対して無効であった.
    つぎに上述の4種の消毒剤に陽イオン界面活性剤系の消毒剤を加えた計5種の消毒剤の薬液調整後の殺ウイルス効果の持続期間をHHV, HAV, BRVおよびPVを用いて検討した. アルデヒド系消毒剤は調整後2~3日目まで, 陽イオン界面活性剤系, 両性界面活性剤系およびビグアナイド系消毒剤は調整後2日目まで, ハロゲン系消毒剤は調整後1日目まで, それぞれ殺ウイルス効果が持続した. 血清蛋白質混在の有無はアルデヒド系およびハロゲン系消毒剤の殺ウイルス効果の持続に大きく影響しなかったが, ビグアナイド系消毒剤では一部のウイルスに対し, また, 陽イオン界面活性剤系および両性界面活性剤系消毒剤では殺ウイルス効果はそれぞれ減衰・消失した.
  • 山崎 雅彦, 木村 和弘, 三田村 敬子, 渡邉 寿美, 込山 修, 山本 敬一, 市川 正孝, 橋本 洋子, 萩原 紀子, 前沢 民子, ...
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1032-1037
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    インフルエンザのA型, B型が鑑別可能な迅速診断キット, DirectigenTM Flu A+B (Becton Dickinson and Company, USA) を検討した. 対象は, 2000年1月から3月のインフルエンザ様疾患の患者239例で, 検体は鼻咽頭吸引液を用いた. このうちウイルス分離陽性は128検体で (AH1: 77, AH3: 51), 陰性は111検体であった. DirectigenTM Flu A+B陽性は120検体, 陰性は119検体で, ウイルス分離と比較すると, 感度89.8%, 特異度95.5%となった. 本キットとディレクティジェンFlu Aとの比較では, 陽性と陰性の判定は97.9% (234/239) が一致した.
    B型インフルエンザに関する検討は, 1999年2月から4月に採取された, 鼻咽頭吸引液凍結保存検体60検体を用いて行った. 本キットはウイルス分離と比較して, 感度88.9%, 特異度88.1%であった. インフルエンザOIA®との比較では, 判定は91.7% (55/60) が一致した.
    DirectigenTM Flu A+Bは, 鼻咽頭吸引液では, 従来のキットと同等の感度, 特異度, 迅速性を示し, さらに, A型とB型のウイルスを区別して検出できることから, アマンタジンやノイラミニダーゼ阻害剤の抗インフルエンザ薬の投与に際しての判断基準などとして, より有用である.
  • 清水 英明, 渡邉 寿美, 川上 千春, 平位 芳江, 三田村 敬子, 菅谷 憲夫, 今井 光信
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1038-1043
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A型およびB型インフルエンザウイルスを検出する迅速診断キットであるDirectigenTM Flu A+Bについての評価を目的として, 感度と特異性の検討を行った.
    ヒトのインフルエンザウイルス分離株A (H1N1, H3N2) 型13株, B型10株の合計23株についての反応性をみたところ, すべてのインフルエンザウイルス分離株で陽性の反応が確認され, 抗原の変異, 亜型間での差はみられなかった.また, A型・B型インフルエンザウイルス以外の呼吸器系ウイルスとは反応しなかった.
    A型・B型インフルエンザウイルスの代表株について, 検出限界を測定したところ, AH1N1 (A/Beijing/262/95) で7.8×103pfu/ml, AH3N2 (A/Kitakyusyu/159/93) で4.7x104pfu/ml, B型 (B/Guangdong/05/94) で3.1×104pfu/mlまで検出することが可能であった.
    DirectigenTM Flu A+Bは簡便かつ迅速な検出が可能であり, 他のインフルエンザ診断キットと同等の感度と特異性を有し, A型とB型インフルエンザウイルスを鑑別することができることから医療現場において有用であると考える.
  • プラセボを対照とした第III相二重盲検並行群間比較試験成績
    柏木 征三郎, 工藤 翔二, 渡辺 彰, 吉村 功
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1044-1061
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    リン酸オセルタミビル (Ro64-0796) は, A型およびB型インフルエンザウイルスの増殖に必須の酵素であるノイラミニダーゼ (NA) に対する強力で選択的な阻害剤オセルタミビル・カルボン酸 (Ro64-0802) のプロドラッグで, 経口投与後速やかにRo64-0802に変換される. 今回, 我々は, 16歳以上のインフルエンザウイルス感染症患者を対象に, リン酸オセルタミビル (Ro64-0796) 1日2回朝・夕食後5日間経口投与時の本剤の有効性および安全性を検討する目的で, プラセボを対照とした第III相二重盲検並行群間比較試験を実施した. 本試験に登録された患者数は316例で, プラセボ投与群162例, Ro64-0796投与群154例であった. このうち治験薬が投与され, かつインフルエンザウイルスの感染が確認された症例 (ITTI: Intent-to-treat infected population) は, プラセボ投与群130例, Ro64-0796投与群122例の計252例であった.
    その結果, Ro64-0796は, 有効性の主要評価項目であるインフルエンザ罹病期間を約1日 (23.3時間) 短縮させ (p=0.0216, 一般化ウイルコクソン検定), 投与3日目の鼻・咽頭ぬぐい液中のウイルス力価を有意に低下させた (p=0.0009, 共分散分析). さらに, 平熱までの回復時間 (36.9℃以下になるまでの期間) をプラセボに比べ約45%短縮させ, インフルエンザ症状の改善に要する時間の短縮ならびに症状の重症度軽減をもたらした. 一方, 安全性については, 有害事象として, 嘔気, 嘔吐, 腹痛などの胃腸障害が多くみられたが, 副作用の発現率は, プラセボ投与群40.9%, Ro64-0796投与群33.1%と, 両群で有意な差は認められず (p=0.155, x2検定), 臨床的に問題となる臨床検査値異常変動およびバイタルサインの異常も認められなかった.
    以上の成績から, Ro64-0796は, 臨床的に有効かつ安全な経口インフルエンザ治療薬であると考えられた.
  • プラセボを対照とした第III相二重盲検並行群問比較試験成績
    柏木 征三郎, 工藤 翔二, 渡辺 彰, 吉村 功
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1062-1076
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    リン酸オセルタミビル (Ro64-0796) はA型およびB型インフルエンザウイルスの増殖に必須の酵素であるノイラミニダーゼ (NA) に対する強力で特異的な阻害作用を有するオセルタミビル・カルボン酸 (Ro64-0802) のプロドラッグで, 経口吸収後速やかにRo64-0802に変換される.今回, 我々は16歳以上の健康志願者308例 (プラセボ投与群153例, Ro64-0796投与群155例) を対象に, リン酸オセルタミビル (Ro64-0796) 75mg1日1回夕食後6週間経口投与時のA型およびB型インフルエンザウイルスに対する発症抑制効果を検討するため, プラセボを対照とした第III相二重盲検並行群間比較試験を実施した.
    試験の結果, 有効性の主要評価項目であるインフルエンザウイルスの感染が確認され, 37.5℃以上の発熱および2つ以上のインフルエンザ症状がみられた患者 (1群;臨床的インフルエンザ感染症) の発現率は, プラセボ投与群8.5% (13/153), Ro64-0796投与群1.3% (2/155) であり, Ro64-0796はプラセボに対して臨床的インフルエンザ感染症の発現を約85%抑制した (p=0.00323, フィッシャーの正確検定).副次的評価として検討した, インフルエンザウイルスの感染が確認されたが, 発熱あるいは2つ以上のインフルエンザ症状のいずれかを欠く患者 (2群;非臨床的インフルエンザ感染症) および感染が確認されたが発熱, インフルエンザ症状のいずれをも有さない患者 (3群;無症候性インフルエンザ感染症) の発現率においても本剤投与群で発現率の減少が認められた.1+2群の累積発症抑制率は76%, 1+2+3群では63%となり, インフルエンザウイルス感染症に対する本剤の発症抑制効果が確認された.
    一方, 安全性評価では, 因果関係が「なし」以外の有害事象の発現率はプラセボ投与群で28.1%, Ro64-0796投与群で26.5%であり, 上腹部痛, 嘔気および嘔吐などの胃腸障害が多くみられたが, そのほとんどが軽度であり, 無処置にて消失・軽快し, 安全性上問題はみられなかった.
    以上の結果から, Ro64-0796はインフルエンザウイルス感染症の発症を抑制する薬剤として臨床的に有用であることが示された.
  • 萩原 恵里, 勝瀬 大海, 大久保 忠信, 白井 輝, 伊藤 章, 石ヶ坪 良明
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1077-1080
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    We report here two cases of HIV infection with a borderline personality disorder. Case 1 was a 25-year-old male patient who was diagnosed with HIV infection 4 years ago. Borderline personality disorder was also diagnosed at that time. Although he was referred to our hospital in 1999, we had to refer him to another hospital for his regular outpatient hemodialysis. Case 2 was a 24-year-old male patient who had borderline personality disorder since 1996. He was diagnosed with HIV infection in 1999 and referred to our hospital. Be ignored rules in visiting clinics such as prior reservations and frequently called doctors, case-workers and nurses. After several visit he intentionally took excessive sedative medicines and called a case-worker at our hospital. Be was admitted to our hospital for three days. After he was discharged, we set limitations for his behavior not to harm himself and to obey the rules in visiting clinics. In other countries investigators report that borderline personality disorder is more common in HIV-infected persons. It may be because persons with borderline personality disorder are more likely to engage in high-risk sexual behavior, which is also applicable to these two cases. As HIV infection is rapidly prevailing in Japan, it is possible that the chance are that this disoder will be seen more frequently in HIV infected cases.
  • 名古屋 洋, 樋口 元弥, 山崎 幸男, 榎本 悟
    2000 年 74 巻 12 号 p. 1081-1087
    発行日: 2000/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    On Aug. 3, 1999, a 73-year-old male was admitted to our hospital with the chief complaint of pain in the neck, high fever, and numbness in the arm. MRI of the cervix showed high intensity at the C3/C4 disc space. Laboratory data showed several signs of inflammation. Haemophilus aphrophilus was detected from the specimen of the disc space, and the diagnosis of pyogenic vertebral osteomyelitis caused by H. aphrophilus was made.
    After the identification of H. aphrophilus, antibiotic therapy with Cefotiam (2g/day) was given but his vertebral collapsed. Surgical treatment consisted of curettage and anterior spinal body fusion using the iliac bone, was performed on his 23rd hospital day, successfully. The antibiotic therapy of Cefazolin (2g/day) was continued for the first 3 days, followed by Cefotiam (2g/day) and later Levofloxacin (300mg/day). The patient was discharged on the 88th hospital day.
    The origin of infecting H. aphrophilus in this patient was not clear, but oral source was suspected.
    We reported the first case of pyogenic vertebral osteomyelitis caused by H. aphrophilus in Japan.
  • 2000 年 74 巻 12 号 p. 1092
    発行日: 2000年
    公開日: 2011/02/07
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