感染症学雑誌
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75 巻, 12 号
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  • 9. 分類・同定に有用な方法とその適応範囲
    河村 好章
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1003-1006
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 佐藤 厚夫, 北澤 克彦, 本多 昭仁, 前本 達男, 稲川 直浩, 仙田 昌義, 小林 裕之, 伊部 正明, 森 雅亮, 横田 俊平
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1007-1013
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1985年から1999年の15年間に, 国保旭中央病院小児科で診断し加療した小児全身性肺炎球菌感染症33例を, 菌血症群 (22例) と髄膜炎群 (11例) の2群に分けて比較検討した.対象33例の診断時年齢 [中央値] (以下同) は [1歳3カ月] で, 生後7カ月から1歳台が全体の57.6%を占めていた.2例で血清IgG2の低下が示唆された.発熱は全例に共通の症状で, 13例 (39.4%) に痙攣を認めた.病型別の検討では, 発症年齢は菌血症群 [1歳4カ月] よりも髄膜炎群 [10カ月] で低い傾向にあった.菌血症群では545%が発熱後12時間以内に診断されたのに対して, 髄膜炎群では全例が12時間以上経過していた.診断時白血球数は菌血症群 [23, 900/mm3] よりも髄膜炎群 [9, 700/mm3] で有意に低値であったが, CRP値は菌血症群 [4.2mg/dl] よりも髄膜炎群 [25.6mg/dl] で有意に高値であった.菌血症群は全例が抗菌薬により後遺症なく軽快したが, 髄膜炎群は3例 (27.3%) が死亡, 4例 (36.4%) が神経学的後遺症を残した.以上の結果より, 全身性肺炎球菌感染症では菌血症から髄膜炎へ進展する病態が考えられ, 髄膜炎の予後が不良であることを考慮すれば, 菌血症の段階で早期診断・早期治療を行う妥当性が示唆された.
  • 嶋 貴子, 近藤 真規子, 斎藤 隆行, 川田 かおる, 伊藤 章, 坂本 光男, 相楽 裕子, 今井 光信
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1014-1024
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    EIA法を測定原理とするマイクロプレートを用いたHIV抗原抗体同時検出キット (ジェンスクリーンHIV Ag-Ab: 以下ジェンスクリーンと略) について, 他のHIV抗原抗体同時検出キット2法 (バイダスHIVDUO: 以下バイダスと略, エンザイグノストHIVインテグラル: 以下エンザイグノストと略) との比較検討を行った.HIV抗体陽性血漿90例はすべて陽性となり, 感度は100%であった.HIV陰性血漿670例を用いた検討では2例の偽陽性例がみられ, 特異性は997% (偽陽性率0.3%) であった.サブタイプパネル (WWRB302) を用いた検討では, ジェンスクリーンはHIV-1グループMのサブタイプA-G, B/D, グループ0およびHIV-2の全てを検出することができた.HIV感染初期セロコンバージョンパネル血清を用いた検討では, ジェンスクリーンはエンザイグノストと比較すると10パネル中5パネルにおいて1-2採血日早く陽性となり, バイダスと比較するとほぼ同時期に陽性となることが分かった.またセロコンバージョンパネルBB (PRA952) において, バイダスは3採血日目の検体でHIV陽性, 4採血日目では判定保留, 5採血日目では陰性, 6採血日目で再び陽性となる判定結果であったが, ジェンスクリーンは3採血日以降の検体は全て陽性となり, 確実に判定が可能であった.従ってジェンスクリーンは他の抗原抗体同時検査法と比較して十分な感度, 特異性を有しており, ウインドウ期についても同等あるいは短縮が可能なため, HIVスクリーニング検査法として有用であることが分かった.
  • 上田 泰史, 白石 祥吾, 勢戸 和子, 田口 真澄, 宮田 義人, 松下 秀
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1025-1029
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1993年~2000年の8年間に大阪空港および関西空港から入国した海外旅行者下痢症患者24名より, 市販の診断用血清に凝集せず, 新血清型として報告されている赤痢菌が検出された.その内訳は, Shigella dysenteriae93-119 (2株), S.dysenteriae204/96 (4株), S.dysenteriaeI9809-73 (4株), S.flexneri88-893 (9株), およびS.boydii E16553 (5株) であった (いずれもprovisional serovar).これらの患者の症状は, 全例とも下痢を主徴とし, 腹痛12例 (50.0%), 発熱12例 (50.0%) および嘔吐7例 (29.2%) であった.そのうち3例は粘血便等を伴う典型的な赤痢症例であった.市販の血清に凝集する既知血清型の赤痢菌あるいは赤痢菌以外の病原菌が同時に検出された混合感染例が6例 (25.0%) 認められた.患者の推定感染国は, 南西アジアが多く79.2%を占めた.
    検出された24菌株のうち23株 (95.8%) は薬剤耐性株で, いずれも多剤耐性を示した.
  • 森本 紀子
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1030-1039
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1996年から2000年にポリオワクチンを二回投与した四人の乳幼児の糞便から排泄ウイルス量と分泌型IgA (slgA) 抗体価を経日的に測定した.腸管内で主に第一回ワクチン投与後1型と2型のポリオウイルスが増殖し, 第二回ワクチン投与後3型のポリオウイルスが増殖した.10%糞便中のslgA抗体価は, 1型と3型が4倍以上, 2型が8倍以上の時投与したワクチン中のポリオウイルスの増殖を抑制した.血中中和抗体価は, 腸管内で3型ポリオウイルスが短期間増殖した時は低く長期間増殖した時は高かったが, 1型と2型の混合感染の時は高い抗体価のみ得られた.
    ポリオウイルス型特異的slgA抗体がポリオウイルス感染を抑制し, ポリオウイルスの増殖期間と産生ウイルス量が血中中和抗体価の高低と相関する傾向にあるという結果であった.
  • 清水 英明, 李 蕾, 三田村 敬子, 奥山 恵子, 平位 芳江, 牛島 廣治
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1040-1046
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    イムノクロマトグラフィー法を用いてA群ロタウイルスとアデノウイルスを同時に検出する迅速診断キットのラピッドテスタロターアデノ (第一化学薬品) について, 基礎および臨床的検討を行った. A群ロタウイルスでは赤色, アデノウイルスでは青色の特異的なラインが形成され, その他の腸管系ウイルスとの交差反応はみられなかった.検出感度はA群ロタウイルス (SA11株) では104.4TCID50/ml, アデノウイルス3型では104.45TCID50/mlで, 他のイムノクロマトグラフィー法や酵素免疫測定法のキットとほぼ同程度, ラテックス凝集法を用いたキットより10倍程度感度が高いことが確認された.
    臨床検体における他の検査キットとの比較では, 他のイムノクロマトグラフィー法のキットとの一致率はA群ロタウイルスで99.2% (121/122), アデノウイルスで98.6% (138/140) であった.またラテックス凝集法のキットとの一致率はA群ロタウイルスで94.5% (69/73), アデノウイルスでは92.3% (84/91) で, 他のイムノクロマトグラフィー法のキットとの一致率は高かった.ラピッドテスタロターアデノはA群ロタウイルスおよびアデノウイルスを簡便かつ迅速に検出することができ, さらに反応ラインの色の違いによって2種類のウイルスを容易に判別できることから, 臨床での診断に有用であると考える.
  • 山崎 雅彦, 三田村 敬子, 木村 和弘, 韮澤 真理, 込山 修, 市川 正孝, 山本 敬一, 染谷 研一, 中野 孝子, 橋本 洋子, ...
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1047-1053
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A型とB型のインフルエンザウイルスが検出可能な, イムノクロマトグラフィー法による迅速診断キット, Quick Vue Influenza Test (QUIDEL, USA) について検討した. 対象は, 2001年1月から3月のインフルエンザ様疾患の患者で, 鼻腔吸引液184検体, 鼻腔ぬぐい液140検体, 咽頭ぬぐい液101検体を採取した. ウイルス分離陽性204検体中, Quick Vue陽性は179検体, ウイルス分離陰性221検体中Quick Vue陰性は203検体で, ウイルス分離との比較で, 本キットの感度は87.7%, 特異度は91.9%となった. 検体毎の感度は, 鼻腔吸引液で92.6%, 鼻腔スワブで83.7%, 咽頭ぬぐい液で76.5%と, これまでの酵素免疫法による迅速診断キットによる結果と同様な傾向を示した.本キットとインフルエンザOIAとの比較では, 陽性と陰性の判定は84.2%が一致し, 全体では同等の感度, 特異度であった. 大きな特徴は簡便性に優れている点であった. A型とB型の型別はできないが, 2つのウイルスを同時に検出できることから, 外来治療におけるノイラミニダーゼ阻害剤の投与に際しての補助診断として有用である.
  • 兼子 裕人, 喜多 ゆり, 谷脇 雅史, 加嶋 敬, 大川原 康夫
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1054-1056
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    成人T細胞性白血病 (ATL) における種々の日和見感染合併が知られているが, 寛解期の易感染性について検討した報告は少ない. 我々は慢性型ATLの完全寛解例に併発したクリプトコッカス髄膜炎を経験した. 症例は73歳女性. 1997年4月22日, 意識消失と発熱のため当科入院. 項部硬直髄液細胞数増加などから髄膜炎として抗生剤, 抗真菌剤を投与したが, 第12病日に死亡. 剖検で髄膜, 肺にクリプトコッカスが証明された. HTLV-Iキャリアにも真菌感染症を生じることが報告されており, HTLV-I陽性者が髄膜炎症状を呈した際にはキャリアや寛解例であっても速やかに強力な抗真菌治療を行うべきであると考えられた.
  • 坂本 光男, 相楽 裕子, 小泉 信夫, 渡辺 治雄
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1057-1061
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    We report a case of leptospirosis infected in Sabah, Borneo island, Malaysia. The case is 25-year old male who had participated in the EcoChallenge Sabah 2000 Expedition Race, a multisport event held during August 20 to September 3, 2000 at various sites in Sabah in Malaysian Borneo. He developed a high fever and headache on September 7, and he was admitted to our hospital on September 9. On admission he also had conjunctivitis and myalgias. Laboratory findings on admission revealed leukocytosis with left shift, slightly elevated transaminase levels, high CRP levels and proteinuria. Plasmodium spp. were negative on blood smears, and no bacteria were isolated from blood and feces cultures. We performed the laboratory tests for leptospirosis, based on the information about the probable leptospirosis outbreak among athletes who participated in the EcoChallenge Race, however both Leptospira antigens and antibodies were negative at that time. We diagnosed leptospirosis clinically because he manifested persistent symptoms, and minocycline 100mg b.i.d. was administered intravenously resulting in excellent efficacy. Serum antibody tests by microscopic agglutination test (MAT) at convalescent stage revealed significant increased antibodies against Leptospira interrogans serovar hebdomadis, and the diagnosis of leptospirosis was confirmed . Infectious diseases have been global and it is important to have information concerning worldwide infectious disease situations as much as possible for accurate diagnosis.
  • 沖本 二郎, 本多 宣裕, 浅岡 直子, 藤田 和恵, 大場 秀夫, 中村 淳一, 副島 林造
    2001 年 75 巻 12 号 p. 1062-1063
    発行日: 2001/12/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 2001 年 75 巻 12 号 p. 1064
    発行日: 2001年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
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