感染症学雑誌
Online ISSN : 1884-569X
Print ISSN : 0387-5911
ISSN-L : 0387-5911
75 巻, 2 号
選択された号の論文の12件中1~12を表示しています
  • 4. 細菌の分類と命名の相互関係
    吉田 真一
    2001 年 75 巻 2 号 p. 93-96
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 真崎 宏則, 吉嶺 裕之, 出川 聡, 麻生 憲史, 田尾 操, 松本 慶蔵, 井口 和幸, 渡辺 浩, 渡辺 貴和雄, 大石 和徳, 永武 ...
    2001 年 75 巻 2 号 p. 97-102
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Methicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) は, 1980年代以降, 当院内科老人病棟において, Pseudomonas aeruginosaとならぶ院内肺炎の起炎菌として急増した. 今回我々は, ポビドンヨードによる上気道清浄化を取り入れた院内感染対策を継続し, 院内肺炎の発生頻度を調査することにより, 院内肺炎の発症予防効果を検討した.院内感染対策の継続により, 対策前に比し院内肺炎は有意に減少した (対策後1年, 2年, 3年: すべてP<0.05). 院内肺炎の主要起炎菌は, MRSAおよびP.aeruginosaであった. 両菌は, 院内感染対策を徹底して継続することにより, 対策前に比し有意に減少した (MRSA: 対策後1年, 2年, p<0.05;対策後3年, p<0.01;P.aerugimsa: 対策後2年, p<0.01;対策後1年vs対策後2年, 対策後3年, p<0.01, p<0.05).
    老人病棟の長期臥床患者の上気道において, MRSAやP.aeruginosaの検出頻度が高いことより, 院内感染対策の中で, 特に, ポビドンヨード等による上気道清浄化が, 院内肺炎の発症予防に重要であると考えられた.
    なお, 院内肺炎患者において, 褥瘡保有率の有意な低下が認められたことより (対策後1年, 2年: p<0.05), 褥瘡対策による褥瘡保有率の低下も, 院内肺炎の減少の一因と考えられた.
  • 蜂谷 敦子, 岡 慎一
    2001 年 75 巻 2 号 p. 103-109
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Counting immunoassay (CIA) 法を測定原理とする自動分析装置「PAMIA-50」を用い, 新たに開発された抗HIV抗体検出用試薬の評価を行った.HIV抗体陽性100検体, 陰性100検体を用いた検討では, 検出感度, 特異性ともに100%であった.本法は, 検討したHIV-1グループMのサブタイプA~F, E/F, C/E, B/O, グループO, HIV-2すべてを検出できた.この検討で従来法の1つはsubtype Aの1検体を検出出来なかった.また種々のパネル血清を用いた検討でも従来法と同等の結果が得られた.本法の測定時間は15分と短く, 多量の検体を処理することが出来た.そのためすでにPAMIA-50の設置されている病院や施設において, 本法は有用で信頼のおける検出法であるといえる.
  • 道津 安正, 神田 哲郎, 楠本 征夫, 石崎 驍, 冨増 邦夫, 河野 茂
    2001 年 75 巻 2 号 p. 110-115
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1999年8月8日に, 当院夕食のオムレツを原因とするサルモネラ食中毒を経験したので, 臨床的・細菌学的検討を加え報告する. 患者数は62名 (男性25, 女性37) で, 平均年齢は52.1歳であった. そのうち59名の便からSalmonella Enteritidisが分離培養された.21名に基礎疾患があり, 臨床症状では下痢 (100%), 発熱 (88.7%), 腹痛 (82.3%), 悪心 (45.2%), 嘔吐 (25.8%) がみられ, 検査値異常では白血球増多 (31.9%), CRP高値 (95.7%), クレアチニン上昇 (2.7%), 低カリウム血症 (11.9%) を呈した. 当院で分離されたS. Enteritidis 20株の各種抗菌薬に対する各MIC値は一管差以内で一致し, 由来が同一である可能性を示唆していた. Ofloxacin, tosufloxacin, fosfomycin (FOM), oxacillin (MPIPC) を除くβ-ラクタム系, アミノ配糖体に感受性で, MPIPC, clarithromycin, clindamycin, vancomycinに耐性を示した. 治療は59例にlevofloxacinを (そのうち6例はFOMを併用) 投与し, 小児の2例にnorfloxacinを, 妊婦の1例にflomoxef sodiumをそれぞれ主軸とした投与を行い, 全例軽快した. 乳酸菌製剤は28例 (45.2%) に, 止痢剤は6例 (9.7%) に投与した. 今回の食中毒の原因食材として感染鶏卵の関与が強く疑われた. 今後の食中毒発生予防のためには加熱調理の徹底が必要で, 大病院の夏期の献立として自家製のオムレツは不適当と考えられた.
  • 松下 秀, 河村 真保, 高橋 正樹, 横山 敬子, 小西 典子, 柳川 義勢, 甲斐 明美, 山田 澄夫, 諸角 聖, 工藤 泰雄
    2001 年 75 巻 2 号 p. 116-123
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1995~1999年の最近5年間に, 東京においてヒト散発事例より分離された, 国内事例由来1, 807株及び海外旅行者による輸入事例由来470株, 合計2, 277株のサルモネラについて, その血清型分布と薬剤耐性の面から検討を加えた.
    血清型別試験の結果, 国内事例由来株は17種の0群, 99種の血清型, 輸入事例由来株は12種の0群, 58種の血清型に分類された.その主要血清型は前者でSalmonella Enteritidis, S.Thompson, S. Hadar, S.Infantis, S.Typhimurium, S.Litchfield, 後者でS.Enteritidis, S.Anatum, S.Hadar, S. Weltevredenなどであった.
    CP, TC, SM, KM, ABPC, ST, NA, FOM及びNFLXの9種薬剤に対する耐性試験の結果, 国内事例由来株で615株 (34.0%), 輸入事例由来株で155株 (33.0%) が供試薬剤いずれかに多剤あるいは単剤耐性であった.主要検出血清型で高耐性率を示したのは, 前者でSalmonella Blockley (100%), S.Hadar (96.6%), S.Typhimurium (63.6%), S.Enteritidis (62.2%), 後者でS.Blockley (100%), S.Hadar (971%), S.Rissen (88.9%), S.Emek (83.3%), S.Panama (83.3%), S . Typhimurium (77.8%) であった.
    薬剤耐性株の耐性パターンは, 国内事例由来株で53種, 輸入事例由来株で35種, 全体で60種認められた.その主要パターンは, 前者でSM単剤, TC・SM, TC単剤, TC・SM・KM・ST, TC・SM・KM, CP・TC・SM・ABPC, 後者でTC・SM, TC単剤, NA単剤, TC・SM・KM・NA, TC・SM・NAであった.
  • 垣花 シゲ, 浜端 宏英, 比嘉 直美, 仲宗根 昇
    2001 年 75 巻 2 号 p. 124-132
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    急性気道炎の患児及び年齢のほぼ一致した健康児, 各109名について咽頭と鼻前庭の細菌学的検査を行った.気道病原菌として一般に認識されているHaemophilus influenzae, Streptococcus pneumoniae, β-hemolytic Streptococcus, Staphylococcus aureus, Moraxella catarrhalisのいずれかが分離された者は患児グループで91%であったが健康児グループでも77%という高い保菌率を示した.際だった所見は患児の鼻前庭から高率にS.pneumoniaeを分離したことである.即ちS.pneumoniaeの分離率は健康児咽頭で9%, 鼻前庭で8%であったが, 患児ではそれぞれ7%と28%であった.S.pneumoniae以外のα-hemolytic Streptococcusの分離率は患児・健康児ともに鼻前庭では6%に留まった.H.influenzaeは健康児の咽頭保菌率は34%で, それが気道炎時には41%になったが健康保菌者との有意差はなかった.H.influenzaeは健康者の鼻前庭からは全く分離されなかったが, 患児の鼻前庭からは25%に分離されたことから, 鼻前庭からのH.influenzae分離は急性気道感染症 (ARI) に関する貴重な情報であると考えられた.S.aureusは鼻前庭よりも咽頭からの分離率が高く, また患児よりも健康児の方が高い分離率であったことからブドウ球菌性ARIという診断には十分な考慮が必要である.以上の結果からS.pneumoniaeH.influenzaeをARIの起炎菌として判定するためには鼻前庭の培養検査が極めて重要であると考えられる.
  • 石田 千鶴, 常岡 英弘, 飯野 英親, 村上 京子, 猪熊 壽, 大西 堂文, 塚原 正人
    2001 年 75 巻 2 号 p. 133-136
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    猫・犬に寄生する2種類のノミ (Ctenocephalidis felis, Ctenocephalidis canis) のBartonella henselae感染の有無を検討した. 飼い猫・犬から採取したノミ62匹について, PCR法によるB. henselae特異DNAの検出を試みたところ, 猫から採取したノミの33.3% (12/36), 犬から採取したノミの26.9% (7/26) からB. henselae特異DNAが検出された. 以上の事実から, 猫ノミ, 犬ノミ共にB. henselaeに感染しており, 寄生ノミが犬・猫への感染媒体であること, および人への直接感染源となり得ることが示唆された.
  • 茂木 秀人, 安部 茂, 丹生 茂, 鈴木 大介, 山口 英世, 星野 恵津夫
    2001 年 75 巻 2 号 p. 137-143
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    プ口トンポンプ阻害薬 (PPI) であるlansoprazole (AG1749) およびその活性体 (AG2000) が, Candld albicansの発育能およびC. albicansに対するマク口ファージ (MΦ) の発育阻止能に与える影響を解析した. AG1749およびAG2000は100μM以下の濃度でC. albicans発育に影響は及ぼさなかった. 一方, マウス腹腔MΦは, 試験管内でC. albicansの発育を阻止するが, その抗Candida活性をAG2000は10μM以上で濃度依存的に抑制した. なおAG1749ではその抑制効果は弱かった. さらに, このAG2000のMΦへの作用はSH化合物 (L-cysteine) の添加により阻止された. したがってAG2000で報告されているSH基との反応性が, このMΦ 機能抑制に関与することが推定された. またMΦをAG2000存在下に1時間だけ前培養すると, そのMΦ の抗Candida活性はその後のAG2000不在のCandida混合培養系でも抑制されていた. これらの結果は, AG2000がMΦの抗真菌活性へ持続的調節作用をもつことを示している. これらの結果からPPI服用中の患者で報告されている食道カンジダ症の一因を考察した.
  • 真崎 宏則, 麻生 憲史, 田尾 操, 池田 秀樹, 出川 聡, 井口 和幸, 松本 慶蔵, 渡辺 貴和雄, 渡辺 浩, 大石 和徳, 永武 ...
    2001 年 75 巻 2 号 p. 144-150
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    院内感染対策継続中の愛野記念病院内科老人病棟MRSA専用室内 (8床) の入院患者および環境において, 1996年9月から12月までの4カ月間に, グラム陰性菌の保菌実態や病室内環境からの検出状況を検討した. 調査期間中に, 気道116検体 (鼻腔42検体, 咽頭42検体, 喀痰または吸引痰32検体), 褥瘡24検体, 尿40検体, 便42検体, 皮膚計125検体 (頭髪部42検体, 前腕部42検体, 鼠径部41検体) および環境 (床拭き取り42検体, 落下細菌42検体) の計431検体について培養を実施した. 環境菌は, 15菌種検出された. 検体別では, 鼻腔で4菌種中3菌種, 咽頭および喀痰で6菌種中5菌種, 褥瘡で2菌種中1菌種, 尿で8菌種中5菌種, 便で10菌種中7菌種, 皮膚で6菌種中4菌種が, 環境由来グラム陰性菌として検出された. 環境由来グラム陰性菌は, Acinetobacter baumaniiおよびKlebsiella pneumonineの2菌種が, 落下細菌として, 有意に高い頻度で検出された (A.baumanii, p<0.01; K. pneumonine, p<0.05). Pseudomonas aeruginosa, Citrobacter spp.およびEnterobacter sakazakiiの3菌種についても, 落下細菌しての検出頻度が高い傾向が認められた (各々p=0.078).
    以上より, 患者の気道, 便, 尿および褥瘡由来のグラム陰性菌が, 病室内環境を汚染している可能性を示唆するものと考えられた.
  • 屋良 さとみ, 比嘉 太, 新垣 紀子, 伊志嶺 朝彦, 新里 敬, 健山 正男, 當眞 弘, 斎藤 厚
    2001 年 75 巻 2 号 p. 151-154
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Loiasis is quite common in the endemic regions of Central and West Africa. But only three cases were reported in Japan. This is a report of a 28 year old male from Gabon infected with Loa loa with eye symptoms as the chief complaint. For the first time in Japan he was treated with Ivermectin (IVM) which is recently attracting attention as the drug for filariasis world wide. IVM therapy was effective, and decreased the counts of microfilarias in the patient's blood. No adverse effect was seen in this patient. This case suggested that IVM is an useful drug for loiasis, and further study is warranted.
  • 新谷 泰成, 長谷川 均, 岩政 喜久恵, 安川 正貴, 藤田 繁
    2001 年 75 巻 2 号 p. 155-160
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    We have reported two women, aged 86 and 84 years, with cardiac aspergillosis with initial onset of arrhythemia during chemotherapy of acute myeloblastic leukemia and primary plasma cell leukemia, respectively. In leukopenia followed by chemotherapy, they suddenly had arrhythemias with high fever. The former had cardiac infarction with complete atrioventricular block and the latter was also cardiac infarction following to atrial fibrillation. In both cases, cardiac aspergillosis was not diagnosed by echocardiagraphy but by autopsy. Since cardiac aspergillosis dose not have characteristic features clinically or examinationally, we need to consider arrhythemias revealed in leukopenia as one symptom of cardiac aspergillosis.
  • 和山 行正, 田口 文章
    2001 年 75 巻 2 号 p. 161-162
    発行日: 2001/02/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
feedback
Top