1995~1999年の最近5年間に, 東京においてヒト散発事例より分離された, 国内事例由来1, 807株及び海外旅行者による輸入事例由来470株, 合計2, 277株のサルモネラについて, その血清型分布と薬剤耐性の面から検討を加えた.
血清型別試験の結果, 国内事例由来株は17種の0群, 99種の血清型, 輸入事例由来株は12種の0群, 58種の血清型に分類された.その主要血清型は前者で
Salmonella Enteritidis,
S.Thompson,
S. Hadar,
S.Infantis,
S.Typhimurium,
S.Litchfield, 後者で
S.Enteritidis,
S.Anatum,
S.Hadar,
S. Weltevredenなどであった.
CP, TC, SM, KM, ABPC, ST, NA, FOM及びNFLXの9種薬剤に対する耐性試験の結果, 国内事例由来株で615株 (34.0%), 輸入事例由来株で155株 (33.0%) が供試薬剤いずれかに多剤あるいは単剤耐性であった.主要検出血清型で高耐性率を示したのは, 前者でSalmonella Blockley (100%), S.Hadar (96.6%),
S.Typhimurium (63.6%),
S.Enteritidis (62.2%), 後者で
S.Blockley (100%),
S.Hadar (971%),
S.Rissen (88.9%),
S.Emek (83.3%), S.Panama (83.3%), S . Typhimurium (77.8%) であった.
薬剤耐性株の耐性パターンは, 国内事例由来株で53種, 輸入事例由来株で35種, 全体で60種認められた.その主要パターンは, 前者でSM単剤, TC・SM, TC単剤, TC・SM・KM・ST, TC・SM・KM, CP・TC・SM・ABPC, 後者でTC・SM, TC単剤, NA単剤, TC・SM・KM・NA, TC・SM・NAであった.
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