感染症学雑誌
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75 巻, 4 号
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  • 5. 学名の正式発表・引用形式, 修正名
    河村 好章
    2001 年 75 巻 4 号 p. 259-262
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 横井 一, 北橋 智子, 田中 俊光, 宇田川 悦子
    2001 年 75 巻 4 号 p. 263-269
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1999年4月から2000年3月までの1年間, 千葉市内下水処理施設の流入水(2検体)と処理水(2検体), および美浜区のヨットハーバー内の海水(10検体)とそこに生息するカキ(6検体)の合計20検体を毎月採取し, アストロウイルス(AstV)遺伝子の経時的推移をPCR法により調査した.
    4月に採取した下水処理施設流入水(1/2), 処理水(2/2), 海水(5/10), およびカキ(1/6)の合計9検体からAstV遺伝子が検出され, 5月には流入水(2/2)と海水(2/10)の4検体, 6月は流入水(1/2)のみとなり, 検出数の推移は減少傾向を示した.7月から翌年の1月までの期間は, AstV遺伝子は全く検出されず, 翌年2月から, 流入水(1/2)と処理水(2/2)の3検体から再び検出されはじめ, 3月にはピークとなり, 下水処理施設流入水(2/2), 処理水(2/2), 海水(7/10), およびカキ(1/6)の合計12検体から検出された.
    一方, ダイレクトシークエンス法により遺伝子型別を行ったところ, 4月, 5月, 6月, および翌年2月に検出されたAstV遺伝子は, 1型あるいは2型に分類され, 3月のものは1型, 2型, 3型, 6型, および7型に分類された.
    以上の結果から, ヒトの糞便とともに排泄されたAstVによる汚染は, 冬から春にかけて下水, 海水, カキの順に進行することが示唆された.
  • 黒川 学, 宮田 勉, 村瀬 稔, 仲西 寿男
    2001 年 75 巻 4 号 p. 270-275
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    イムノクロマト法を応用したシガ毒素の検出キットが市販されている. TSI寒天培地の発育菌から直接シガ毒素を抽出し, 遠心上清を得ることなくテストできる改良法を考案し, 原法, RPLA法およびPCR法と比較した. RPLA法を基準とした場合の感度, 特異度および一致率はシガ毒素1型では, 原法はそれぞれ, 77.5, 100および90.5, 改良法でそれぞれ, 93.8, 100および97.4, PCR法でそれぞれ, 100, 99.1および99.5であった. シガ毒素2型では, 原法はそれぞれ, 95.3, 10, および96.3, 改良法でそれぞれ, 100, 100および100, PCR法でそれぞれ, 100, 100および100であった. テストの所要時間は, TSI培地でシガ毒素産生性大腸菌血清型と判定された時点から, 原法, 改良法, RPLA法およびPCR法でそれぞれ24時間, 0.5~1時間, 48時間および6時間で, 改良法が最も迅速であった.
  • 内田 幸憲, 井村 俊郎, 竹嶋 康弘
    2001 年 75 巻 4 号 p. 276-282
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    医師のズーノージスへのかかわりの現状を知る目的で神戸市医師会会員 (2, 584名) および福岡市医師会会員 (1, 814名) にアンケートによる意識調査を行った. 神戸市会員からは1, 165通 (回収率451%) 福岡市会員からは774通 (回収率42.7%) のアンケートが回収された. 診療の中で感染症患者診察率が10%以下の医師は7~8割であるが感染症を疑う時に動物飼育の有無や海外旅行について問診を行う医師は70%に及んでいた.
    感染症新法に定められた15種類のズーノージスを最近の5年間に疑うか確定診断をした医師は738名 (38.1%), 1, 355件であった. ペット動物が感染源と思われる患者の診察経験のある医師は365名 (18.9%) であった. 原因動物はイヌ, ネコとインコなど鳥類が主であるがサル, カメ等も少数の報告があった. 今後, 感染症やズーノージスが増えると感じている医師は約半数であった. ズーノージス対策に対する意見の自由記載では712名 (39.8%) から1, 050件の提案がなされた. その概要は, 「行政」に対するもの444件, 「教育」に対するもの244件, 「医療」に対するもの201件であった. また, 二次調査には80%の医師が協力すると回答した. ズーノージス対策への期待は大きく行政-医師-獣医師-ペット業者-ペット飼育者の間でのネットワーク構築が望まれていた.
  • 単独感染群と起炎菌不明群との比較検討を含めて
    小橋 吉博, 大場 秀夫, 米山 浩英, 沖本 二郎, 松島 敏春, 副島 林造
    2001 年 75 巻 4 号 p. 283-290
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    重複感染をきたした市中肺炎の症例が過去15年間で1, 017例中83例 (82%) で認められた. これらの臨床像を検討した結果, 重複感染群が単独感染群335例および起炎菌不明群599例に比して,(1) 高齢で長期臥床状態の患者に多い,(2) 臨床症状は呼吸困難感意識障害, 消化器症状といった非典型的肺炎症状を, 身体所見は血圧低下 (ショック) をきたしやすい,(3) 検査所見は血清蛋白, アルブミン, コリンエステラーゼ低下といった低栄養状態, 低酸素血症を呈しやすい,(4) 治療は人工呼吸管理を要する重症例が多く, 死亡率も167%と予後不良, といった特徴が有意にみられた. 微生物学的検査では, 重複感染はHaemophilus influenzae+Methicillin-sensitive Stahylococcus aureus, H. influenzae+Respiratory virusの組合せが5例ずつで最も多く, 2種類が75例で, 3種類が8例で検出されていた. 重複感染の頻度は, Respiratory virusが最も高率であったのに対し, Mycoplasma pneumoniaeが逆に低率であった.
    今回の検討結果から, 複数菌が検出された市中肺炎の症例は, 高齢者に好発することもあり, 高齢者市中肺炎に類似した臨床像, 起炎菌のパターンをとることから, 治療法も複数菌感染を想定した抗菌薬の使用が有用と考えられた.
  • 池戸 正成, 小松 理, 工藤 由起子, 山本 茂貴, 熊谷 進
    2001 年 75 巻 4 号 p. 291-299
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    腸管出血性大腸菌血清型O26 (O26) の分離を目的とした培地の検討を行った. 026の鑑別性状を調べるため, 13種類の糖の発酵能を試験した. 一方, 選択剤の検討のため, 14種類の抗菌薬と亜テルル酸カリウムについてO26とそれ以外の大腸菌に対するMICを測定した. その結果, 鑑別性状としてラムノース発酵能が, 選択剤として亜テルル酸カリウムとセフィキシムが有用であることが確認できた. 新しいO26分離用培地は, ラムノースと大腸菌群の特異性状であるβ-ガラクトシダーゼ産生能を試験する発色酵素基質x-galを組み合わせ, 亜テルル酸カリウムとセフィキシムの添加によりO26の選択性を高めた培地である. この培地では, pH指示薬のフェノールレッドとx-galの呈色の組み合わせによりO26は特徴のある暗青色の集落を形成する. その他の血清型の大腸菌あるいは腸内細菌は緑色, 黄色あるいは無色の集落を形成するか, 発育を阻害されることから, 容易にO26の鑑別が可能であった.
  • 長谷川 美幸, 小山 悦子, 小林 寅〓, 渡辺 彰
    2001 年 75 巻 4 号 p. 300-306
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    抗酸菌自動検出装置BACTEC MGIT960 (ベクトン・ディッキンソン) による培養陽性試料に対し迅速同定を目的としてアキュプローブ結核菌群同定 (極東) およびアキュプローブマイコバクテリウムアビウムコンプレックス (極東) を用い, 直接同定に関する検討を行った.
    1999年2月から4月の間に抗酸菌感染症が疑われた患者より採取した喀痰試料を常法に従いMGIT960を用い37℃, 42日間まで培養した. MGIT陽性培養液を数日間追加培養後, アキュプローブを用いて直接同定を行った.
    今回の検討に用いた喀痰99検体からの検出菌は, 単一の抗酸菌が認められた例が93検体 (93.9%), 複数の抗酸菌が同時に検出された例が6検体 (6.1%) であった.
    MGIT960陽性反応時の培養液中生菌数をMiddlebrook 7H10 agerを用いた寒天平板コンラージ法にて測定した. その結果, 培養液1mlあたりの抗酸菌量はMycobacterium tuberculosisで3.8×102~25×106cfu/ml, Mycobacterium avium-intracellulare complex (MAC) では1.5×103~1.9×108cfu/mlと陽性判定直後でも試料により大きな差を認めた.
    アキュプローブによる直接同定が成功した例はM. tuberculosisあるいはMACが検出された延べ101例中96例 (95.0%) で, 内訳はM. tuberculosis 57例 (56.4%), MAC 39例 (38.6%) であった.
    以上の成績からMGIT960陽性試料からのアキュプローブを用いた直接同定は, 近年増加傾向のある抗酸菌感染症に対し, 培養同定検査における迅速診断に有用であることが示唆された.
  • 佐藤 征, 三浦 富智, 齋藤 雅明, 月足 正辰, 本郷 俊治, 戸羽 隆宏
    2001 年 75 巻 4 号 p. 307-313
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    弘前市医師会成人病検診センターにおいて中耳炎患者の耳漏からTCBS寒天培地上で白糖非分解性コロニーとして分離された株を, 23S rRNAの菌種特異的領域を増幅させるnested PCR法でVibrio vulnificusと同定した.倉敷中央病院において敗血症患者血液から分離され, 表現形質を基に既にV. vulnificusと同定されていた6菌株も同様のPCR法でV. vulnificusと同定された.細菌同定キットAPI20Eをこれらの分離株の同定に適用したところ, いずれも相対同定確率99.8%でV. vulnificusと同定できたが, 3種類の異なるプロファイルを与えた.耳漏分離株からも血液分離株同様にcytotoxin-hemolysin遺伝子が検出された.従って, 迅速診断が求められる本菌の同定には, 約4時間で確実な成績が得られるcytotoxin-hemolysin遺伝子を検出するPCR法が有効であると考えられた.
    これまで, V. vulnificus感染症の北限は秋田県とされていたが, 青森県内でも本菌感染症が確認された.また, 我々の知る限り, 本菌が中耳炎の起因菌として患者の耳漏から分離された例は無い.
  • 飯村 達, 天野 祐次, 松江 隆之, 小野川 尊, 遠藤 美代子, 奥野 ルミ, 柏木 義勝, 松木 一雅
    2001 年 75 巻 4 号 p. 314-325
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    東京都は毎年11月と2月に特別区, 多摩と島しょの健康学童と保育園児を対象に咽頭レンサ球菌の検査を実施してきた.1979~1998年の20年間に20, 118名を対象に実施した結果を要約すると以下のとおりである.
    1) 離したレンサ球菌は4, 176株である.その群別はA群3, 188株 (76.3%), B群569株 (13.6%), C群63株 (1.5%), G群356株 (8.5%) でA群が3/4以上を占めている.
    2) A群レンサ球菌の血清型は, 3地域とも12型が首位で, 以下28型, 1型, 4型, 6型などが主要菌型である.
    3) A群レンサ球菌の検出率は, 特別区15.9%, 多摩17.1%, 島しょ14.5%で, 3地域全体の平均は15.8%であった.
    4) A群レンサ球菌の流行例と思われるものが20件あり, 28型7件, 12型5件, 6型4件, 4型2件, 1型と25型はそれぞれ1件あった.
    5) A群レンサ球菌の薬剤感受性測定は2, 927株に実施し, 740株 (25.3%) が耐性であった.耐性株の出現頻度は年度によって異なり, 50%以上を示したのは1984年, 1994年, 1998年の3年で, 30%台が4年, 他は30%未満である.また薬剤耐性パターンはTC単剤耐性が最も多く, 次がTC・CP2剤耐性, EM単剤耐性, TC・CP・EM・OL・LCM5剤耐性の順である.菌型別耐性は4型のTC単剤, 12型のTC単剤と5剤耐性, 25型のEM単剤耐性が多かった.
    6) 1997, 1998年度2回の検査で同型菌を分離したのは12.3%で, 健康学童の咽頭におけるレンサ球菌の保菌期間は短期間のものが多いようである.
  • 諸藤 慎一郎, 安部 茂, 丹生 茂, 斧 康雄, 山口 英世, 冲永 功太
    2001 年 75 巻 4 号 p. 326-332
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    日和見感染の予防および治療法としての抗菌化学療法の効果が不充分な場合, 特定のサイトカイン, 特にG-CSFをはじめとするコロニー刺激因子自身または, その産生誘導活性をもつ化合物は, Candida albicans (以下C. albicansと略) その他の日和見菌による感染に対する予防および治療に有用と考えられる.そうした免疫増強活性をもつ化合物の簡便, 迅速でしかも高感度の評価系ならびに探索系を開発することを目的として, マウス骨髄細胞 (BMC) のC. albicans発育阻止能を増強する活性を指標とするin vitro測定法を検討した.各種条件下で比較検討した結果, G-CSFとともに24時間前培養したシクロフォスファミド処置マウス由来のBMCをE/T比160で用いた場合に最も高感度に応答し, 0.005ng/mlの低濃度でC. albicans発育阻止能の増強がみられた.同様の効果はGM-CSFでも, 0.05ng/ml以上の濃度でみられた.従って, 本法はC. albicans発育阻止能の増強という点でG-CSFやGM-CSFの免疫増強の評価ならびに探索に有用と考えられる.
  • 特に小型球形ウイルスについて
    小島 禎
    2001 年 75 巻 4 号 p. 333-340
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    平成10年10月から平成11年4月に埼玉県浦和市内の小児科に来院した急性胃腸炎症の患児の糞便72検体について, 電子顕微鏡およびRT-PCRを用いて小型球形ウイルス (SRSV) の検索を行った.その結果, 72検体中48例 (67%) がSRSV陽性であった.本期間においては, SRSV流行のピークは平成10年12月であった.臨床症状をみると, 嘔吐症状が下痢および発熱症状より頻発していた.さらに, 下痢症状は1歳以下の乳児で重かった.
    今回, SRSVのRT-PCR検索のためにMR3/MR4およびPrimer1, Primer2, Primer3 (P1/P2/P3) のプライマーを用いたが, P1/P2/P3の検出感度が優れていた.
  • 高木 和貴, 岩崎 博道, 岸 慎治, 高田 伸弘, 中村 徹, 上田 孝典
    2001 年 75 巻 4 号 p. 341-344
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 15-year-old girl, high school student, became febrile (38-39°C) with chills, more throat andcough on April 20, 1994. Until the onset, she was healthy and she had been camping with her classmatesin a wooded mountainous area in Oku-etsu, Fukui Prefecture. She consulted a local clinic on.April 21 and bacampicillin was initially administered and then changed to cefaclor on April 23. However, high body temperature continued and a maclopapular rash appeared on her face on April 24and gradually spread to her anterior chest and back. Blood examination showed a WBC count of2, 200/μl and she was admitted to our hospital on April 25.
    On admission, peripheral blood data showed leukocytopenia (WBC 2, 300/μl) with 5% atypicallymphocytes. Titers of anti-Rickettsia typhi serum antibodies (IgM, -G) were elevated (1: 80, 1: 640) and she was diagnosed as having murine typhus. On the second hospital day, 200 mg of minocycline (MINO) was administered per os and her body temperature fell to within the normal limits on thethird hospital day. On the 7th hospital day, the skin rash disappeared and she was discharged. Altogether, 320 high school students went camping with this patient. Among them, approximately 30 studentshad similar symptoms and signs as this case and had been diagnosed suspected viral infection.Twelve students of the 30 were admitted to other hospitals. It was considered that this case was partof an outbreak of murine typhus in the Oku-etsu area, Fukui Prefecture, but no further investigationwas performed. Murine typhus is usually a benign disease that is controllable by the administrationof MINO. In rare cases, infection can worsen to multiorganic failure, severe complications have beenreported in 1-4% of cases, and death has been reported in less than 3%. Recently, it has also beenreported that MINO not only has an antibiotic effect, but also play acts as a cytokine modulator in patientswith rickettsial infection. Thus, in febrile patients in whom uncommon Rickettsia infection issuspected, serological test for murine typhus should be examined and the immediate administrationof MINO is important.
  • 畠山 修司, 木村 朗子, 樫山 鉄矢
    2001 年 75 巻 4 号 p. 345-349
    発行日: 2001/04/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    Mortality of meningococcal septicemia remains high in spite of the improvement of antibioticstreatment and critical care medicine. A 23-year-old male, who had been well until a day earlier, wasadmitted to the hospital because of a high-grade fever and headache. On the second hospital day, hewas still febrile, and it was confirmed that he had disseminated intravascular coagulation. There wasno purpuric skin lesion, and a lumbar puncture revealed no abnormality. The condition was complicatedby a splenic infarction on the second hospital day, and he suffered a pulmonary infarction onthe 8th hospital day.
    The blood culture was positive for Neisseria meningitidis, making the diagnosis meningococcalsepticemia. He was successfully treated with antibiotics and intensive care.
    Although meningococcocemia in adults is relatively rare in Japan, the disease mortality is stillhigh even in the modern era. Then, once the diagnosis is suspected, it is essential to keep in mind thatmeningococcal infection requires early recognition of the disease process, prompt initiation of adequateantiinfectious therapy and intensive treatment of multiorgan failure.
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