感染症学雑誌
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78 巻, 6 号
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  • 伊藤 輝代, 桑原 京子, 久田 研, 大熊 慶湖, 崔 龍洙, 平松 啓一
    2004 年 78 巻 6 号 p. 459-469
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    MRSA has been a major causative agent of nosocomial infection. However, recently MRSA has become increasingly isoated from community-associated infections. We summarized here up to date information about community-associated MRSA (C-MRSA) infections and characteristics of C-MRSA strains based on molecular analysis. By using the SCCmec typing, strong evidence was provided for the independent derivation of healthcare-associated MRSA and C-MRSA clones.
  • 松原 啓太, 坂野 堯, 高尾 信一, 大黒 一成
    2004 年 78 巻 6 号 p. 470-475
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    C型インフルエンザ (以下, Inf. C) ウイルスは, ヒトの気道感染症の原因ウイルスの1つであり, 小児期の感染症として世界的にみられると考えられている. しかしながらInf. Cウイルスは偶然に分離されることが多く, その臨床的および疫学的な報告は少ない.
    1999年11月から2000年3月の期間において, 県立広島病院小児科に呼吸器感染症で受診した患児の咽頭拭い液から4株のInf. Cウイルスが分離され, また同期間内に広島県内の他の小児医療施設からも4株が分離された. 県立広島病院小児科におけるInf.Cウイルス感染症例については, 1992年から2000年までに同科を受診したAソ連型, A香港型およびB型インフルエンザの症例と罹患期間および有熱期間, 最高体温などの臨床症状について比較検討したが, 明らかな差異はみられなかった. また全症例について, 患児の住居地を調査するとともに, 7株については抗hemagglutinin-esterase (HE) 糖蛋白に対するモノクローナル抗体を用いて抗原解析を行った. その結果, 分離されたInf. Cウイルスは抗原性の異なる2つのグループに大別され, 1999年から2000年の冬季に同一地域においてこの2種類の亜型のInf. Cウイルスが流行していた可能性が示唆された. Inf. Cウイルスについては未解明な部分が多く, 今後も臨床的および疫学的な情報の解析が必要である.
  • 佐藤 克彦, 森下 高行, 榮 賢司
    2004 年 78 巻 6 号 p. 476-481
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    2002年 (平成14年) 5月にインドネシアから名古屋国際空港に到着した日本人旅行者からAソ連型 (H1N1) インフルエンザウイルスとA香港型 (H3N2) インフルエンザウイルスの組み換えウイルスであるA H1N2インフルエンザウイルスが分離された. 赤血球凝集抑制 (HI) 試験の結果, 抗原性はAソ連型ウイルスのワクチン株であるA/NewCaledonia/20/99と類似していた. 系統樹解析の結果, 海外等で分離が報告されているA H1N2ウイルスと一つのクラスターを形成していた. また, 組み換えが起こった時期は1999/2000から2000/2001インフルエンザシーズンと推測された1999/2000から2001/2002インフルエンザシーズンにかけて愛知県内で分離されたAソ連型 (H1) インフルエンザウイルス256株についてはA H1N2ウイルスの, A香港型 (H3) インフルエンザウイルス 177株についてはA H3N1ウイルスの検出を試みたが, 全く検出されなかった. 国内では希なA H1N2ウイルスを検疫所に申告のあった海外渡航者から分離することができたことから, 新型インフルエンザ侵入の素早い把握のために水際でのインフルエンザ監視活動を充実していく必要があると考えられた.
  • 松本 歩美, 細矢 光亮, 片寄 雅彦, 村井 弘通, 川崎 幸彦, 佐藤 敬, 加藤 一夫, 鈴木 仁
    2004 年 78 巻 6 号 p. 482-489
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    小児の上咽頭から分離された細菌について薬剤感受性を調査し, 耐性菌保有の危険因子を明らかにすることを目的とした. 2001年9月から2003年5月までに当科で分離されたStreptcoccus pneumoniae (S. pneumoniae) 949株とHaemophilus influenzae (H. influenzae) 791株のMIC値を測定し, S. pneumoniae226株とH. influenzae 115株について耐性遺伝子を検索した. また, 両菌種のいずれかが分離された1,359症例について, 後方視的に背景調査を行った. MIC値をもとに耐性菌の検出状況をみると, S. pneumoniae949株中, 764株 (81%), H. influenzae 741株中, 246株 (33%) が耐性菌であった. 遺伝子解析の結果, MIC値で耐性菌とされた株はすべて耐性遺伝子を有していた. 他方, MIC値で感受性菌とされたS. pneumoniaeH. influenzaeのうち, それぞれ55%, 21%にも耐性遺伝子が検出された. 背景調査による耐性菌の割合は, 低年齢, 集団保育, および過去3カ月以内の抗生物質使用群において有意に高かった. 耐性菌の蔓延を防ぐため, 日常診療における抗生物質の使用方法と低年齢児の保育のあり方を検討する必要があると考えられた.
  • 成相 昭吉, 沖津 尚弘, 井上 松久
    2004 年 78 巻 6 号 p. 490-495
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    マクロライド耐性肺炎球菌 (MRSP) が分離された外来小児市中肺炎例に対するazithromycin (AZM) の臨床効果を分離株のclindamycin (CLDM) 感受性とermBおよびmefA遺伝子の有無から分類した耐性機構別に検討した. 2002年1月から6月までにAZMを投与し経鼻腔上咽頭培養により肺炎球菌が分離された外来市中肺炎例のうち分離株のAZM感受性と耐性機構を調べ得た53例を対象にした. AZMを基準薬にAZM感性株をマクロライド感性 (MSSP), AZM耐性株をMRSPとし, 分離株はMSSP 12株, MRSP 41株であった. MRSP 41株はCLDM耐性25株 (ermB+15株/mefA+1株/いずれも-9株), CLDM感性16株 (ermB+3株/mefA+12株/いずれも-3株) の6型に分類され多様性を示した. 耐性株のAZMに対するMIC90はCLDM感性株が8μg/ml, CLDM耐性株が128μg/mlでCLDM耐性株はより高度なマクロライド耐性を示した. AZMの臨床効果はCLDM耐性株分離例5例とCLDM感性でermB+株分離例1例で無効であったが, MRSP分離41例に対し85.4%で有効であった. AZMのin vitro抗菌活性と臨床効果は乖離し, MRSP分離市中肺炎例に対するAZMの効果をAZMに対する薬剤感受性成績MIC値からは推測できない.
  • 成相 昭吉
    2004 年 78 巻 6 号 p. 496-502
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1990年代後半に検討された小児下気道感染症における肺炎マイコプラズマ感染症の頻度は約1割で, 乳幼児例は多くないと報告されていた.
    定点観測によると2000年10月以降, 国内ではマイコプラズマ肺炎が流行している. 今回, 2001年から2003年にかけて行った入院下気道感染症例に関する4件の臨床研究のなかで, 7歳未満入院急性肺炎例における肺炎マイコプラズマ感染症の頻度について後方視的横断的に血清学的に検討し, 肺炎マイコプラズマ感染症流行下におけるその関与について調べた.
    その結果, 7歳未満急性肺炎陽性入院例では33.8%~45.3%に, 2歳未満急性肺炎陽性入院例においても21.7%~34.8%に肺炎マイコプラズマ感染症の関与が推定された.
    2001年以降, 乳幼児入院急性肺炎例において肺炎マイコプラズマ感染症は増加しており, 乳幼児に肺炎マイコプラズマ感染症が浸透していると思われる. 流行下では乳幼児市中肺炎症例に対する経験的治療における抗菌薬選択の際に肺炎マイコプラズマも考慮する必要がある.
  • 佐野 千晶, 清水 利朗, 佐藤 勝昌, 冨岡 治明
    2004 年 78 巻 6 号 p. 503-507
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/05/20
    ジャーナル フリー
    結核菌をはじめとする抗酸菌は典型的な細胞内寄生菌であり, 抗酸菌のマクロファージ (MΦ) 内殺菌には活性酸化窒素 (RNI) や遊離脂肪酸 (FFA) などの種々の殺菌エフェクターが関与していることが知られている. これまでの著者らの検討により, 抗酸菌のMΦ 内殺菌には特にRNIとFFAの協同作用が重要であることが明らかになってきているが, 今回は膜リン脂質からFFAを遊離するphospholipase A2 (PLA2) のMΦ におけるmRNA発現についてRT-PCR法で検討した. その結果, 最もアラキドン酸選択性の強いIV型cPLA2のmRNA発現が結核菌感染や菌体刺激でup-regulateされることが明らかになった. 他方, 脂肪酸選択の低いsPLA2についてみた所, IIa型sPLA2のmRNAではMΦ 活性化サイトカインによるprimingや結核菌感染の有無にかかわらずその発現は認められず, V型sPLA2ではIV型cPLA2の場合とほぼ同様なmRNA発現パターンが認められることが分かった. 以上の結果より, FFA依存性のMΦ 殺菌メカニズムには, cPLA2およびV型sPLA2の関与が大きいものと考えられる.
  • 宮本 仁志, 村瀬 光春
    2004 年 78 巻 6 号 p. 508-513
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    愛媛大学医学部附属病院にて, 2002年と2003年の間に各種臨床材料から分離されたStreptococcus pneumoniae 81株を用い, 耐性遺伝子解析を行った. PBPs遺伝子においては, 変異なし7株 (8.7%), pbp2x単独変異23株 (28.4%), pbp2b単独変異1株 (1.2%), pbp1apbp2xの変異5株 (6.2%), pbp2xpbp2bの変異18株 (22.2%), すべての変異27株 (33.3%) であった. マクロライド耐性遺伝子の結果は, 感受性株14株 (17.3%), mefAのみ20株 (24.7%), ermBのみ46株 (56.8%), 両遺伝子保有は1株 (1.2%) であった. gyrAおよびparCの解析では, 両遺伝子の変異は3株 (3.7%), parCのみ変異は26株 (32.1%) で, gyrA単独変異は認めなかった. 以前の分離株よりPBPs遺伝子で複数の変異株やermB保有株の増加が, またlevofloxacin耐性株も認められた. gyrAまたはparC変異株は高率にPBPs遺伝子変異とマクロライド耐性遺伝子を保有しており, 今後さらに多剤耐性化が進むことを示唆させる成績であった.
  • 川畑 雅照, 本間 栄, 坂本 晋, 岸 一馬, 坪井 永保, 中田 紘一郎, 吉村 邦彦
    2004 年 78 巻 6 号 p. 514-518
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 53-year-old male was admitted to our hospital complaining of high fever with chillness, cough and dyspnea after traveling to Arizona in the United States. The chest X-ray films taken on admission showed consolidation in the right middle lung field and bilateral nodular shadows. The laboratory data revealed an increase in white blood cell counts with eosinophilia, and a rise in erythrocyte sediment rate and serum C-reactive protein. The biopsied lung specimen by video-assisted thoracoscopic surgery showed granulomatous inflammation consisting of eosinophils and giant cells. In addition, typical spherules filled with endopores were detected in the specimen. The diagnosis of primary pulmonary coccidioidomycosis was made. After the treatment of a three months' regimen with itraconazole at the daily dosage of 200mg, the patient's symptoms, laboratory data and radiological findings markedly improved.
  • 吉田 耕一郎, 二木 芳人, 毛利 圭二, 宮下 修行, 小橋 吉博, 岡 三喜男, 松島 敏春
    2004 年 78 巻 6 号 p. 519-521
    発行日: 2004/06/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 2004 年 78 巻 6 号 p. 543
    発行日: 2004年
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    以下の論文に一部誤りがありましたので訂正致します. (誤)胞 (20μg/mlトリプシン添加) に接種して行った. (正)胞 (10μg/mlトリプシン添加) に接種して行った.
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