2001年1月から2005年12月までの5年間に, 急性下痢症患者から分離した
Campylobacte 231株を対象として, 検出菌種および薬剤感受性の年次推移を調査した.分離菌種は,
Campylobacter jejuni (以下;
C.jejuni) 219株 (948%),
Campylobacter coli (以下;
C.coli) 12株 (5.2%) であり,
C.jejuniの分離率が高値であった. 薬剤感受性については, minocycline (MINO), levonoxacin (LVFX), erythromycin (EM) およびclindamycin (CLDM) の4薬剤を調査した結果,
C.coliが
C.jejuniに比べてこれらの薬剤に対して有意に耐性であった.そのうち,
C.jejuniにおけるLVFXのMIC値は, 142株 (64.8%) が≦0.25μg/mLであったが, 53株 (24.2%) では>4μg/mLであり, MIC分布が二峰性パターンを示した. また,
Campylobacferはマクロライド系薬であるEMに対する耐性率が低値であると報告されているが, 本検討では,
C.jejuniが9.2%,
C. coliが66.7%と, MIC90値をカットオフ値とした場合の耐性率が高値であった.
C.jejuniの薬剤感受性の年次推移は, 各抗菌薬ともMIC
90値をカットオフ値とした耐性率の増加傾向は認められなかった. しかし, 各抗菌薬に対する耐性株の割合が年次によって大きく変動していた.また, カンピロバクター腸炎患者の年齢分布は, 19~24歳の青年層が全体の約半数を占めていた.
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