感染症学雑誌
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82 巻, 6 号
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  • 吉川 裕之
    2008 年 82 巻 6 号 p. 609-612
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 友野 順章, 城 裕之
    2008 年 82 巻 6 号 p. 613-618
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    オセルタミビルはインフルエンザウイルスの増殖に関与するノイラミニダーゼを阻害する薬剤の一つであり, 罹病期間の短縮や肺炎などの合併症を予防することが知られている. 近年, 本薬剤の内服治療中に異常行動をおこすことが言われている. しかし異常行動が感染自体によるものであれば, 本薬剤が異常行動の発生を減少させる可能性が考えられる. 今回, 我々は本薬剤がインフルエンザ罹患時の異常行動の頻度を低下させるか検討した. 2006年12月から2007年3月までに異常行動を主訴に当院を受診しインフルエンザウイルス抗原迅速検査で陽性となった1歳以上の12例を異常行動群とし, 発熱を主訴に来院し異常行動を示さずウイルス抗原迅速検査で陽性となった1歳以上の335名を対照群とした. 平均年齢は異常群では825±322歳対照群では6.09±3.74歳と有意に異常行動群で高かった. (p=0.049). 両群問で, 性別, ウイルスタイプには有意な差は見られなかった. オセルタミビルは異常行動群では50.0%の患者が内服していたが, 対照群では779%が内服していた. (p=0.024) オセルタミビルはインフルエンザに伴う異常行動を抑制する可能性が示唆された.
  • micro-IFおよびWesternblot法IgM抗体との比較
    新妻 隆広, 鎌田 彩子, 木下 恵司, 久田 研, 大日方 薫
    2008 年 82 巻 6 号 p. 619-623
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    肺炎クラミジア (C.pneumoniae) 感染の診断法としてはmicroimmunofluorescence test (micro-IF) 法が標準的であるが手技が難しく一般的ではない.また, Western blot (WB) 法は, 抗体検出としては優れた方法であるが, 主に実験室レベルで行われている.最近開発されたenzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) 法は簡便な診断法として保険適応があり, 普及してきた.岸本らの血清診断基準案では, ELISA法によるシングル血清IgM抗体が小児ID≧1.10, 成人ID≧1.60の場合をC.pneumoniae初感染の確定診断としている.しかし, 小児ではC.pneumoniae IgM抗体の陽性率が予想以上に高く, 数カ月以上も陽性が持続することが指摘されている.今回, 小児急性気道感染症においてELISA法によるC.pneumoniae IgM抗体価をmicro-IFおよびWB法によるIgM抗体価と比較し, 小児のC.pneumoniae初感染診断基準について検討した.対象は急性気道感染症状のため当科を受診した小児128例であり, ELISA法によるC.pneumoniaeIgM抗体ID≧1.10が106例 (11カ月~14歳), ID<1.10が22例 (8カ月~12歳) であった.micro-IF法とWB法の両法がともに陽性の症例をC.pneumoniae感染症診断例とし, 両法がともに陰性の症例を有病コントロールとしてROC解析を行った.ELISAIgM抗体IDの最適カットオフ値は1.40であり, ID≧1.40では感度86.8%, 特異度96.3%, 陽性反応的中度98.5%, 陰性反応的中度72.2%であった.
  • 荻田 純子, 石和田 稔彦, 黒崎 知道, 有馬 聖永, 深沢 千絵, 菱木 はるか, 星野 直, 武田 紳江, 会沢 治朗, 大嶋 寛子, ...
    2008 年 82 巻 6 号 p. 624-627
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    [はじめに]日本では肺炎球菌性肺炎を含めた小児市中肺炎の発症頻度は不明な点が多い. 今回我々は肺炎球菌結合型ワクチン導入前の基礎調査として, 人口に基づく小児市中肺炎および血液培養陽性肺炎球菌性肺炎の発症頻度について調査を行った. [対象と方法]千葉市内の患者が入院する可能性のある千葉市内小児科入院施設10施設11科, および千葉市周辺の小児科入院施設9施設9科に, 2005年1月1日から12月31日までに入院した小児市中肺炎の患者数および血液培養陽性肺炎球菌性肺炎の患者数についてアンケートを用いて後方視的に検討した. [結果]アンケート回収率は100%であった. 2005年の千葉市在住小児市中肺炎入院例は984名で, このうち5歳未満は854名, 5歳未満小児人口1000名あたりの発症率は19.7人/年であった.血液培養陽性の肺炎球菌性肺炎は5例あり, このうち4例が5歳未満であり, 発症率は5歳未満人口10万人あたり92人/年であった. [考察]先進国から出された小児市中肺炎の発症率に関するいくつかの最近の報告と比較して, 今回の結果は高いものであった. 血液培養陽性肺炎球菌性肺炎の発症頻度は既報と同程度であった. ただし, 各国より出されたいずれの報告も症例診断基準や集計方法が一定ではなく, 結果の比較には注意を要する. より正確に他国のデータと比較するためには同一の画像診断基準を用いて集計をすることが必要と考えられた.
  • 喀疾細菌培養検査および肺炎球菌尿中抗原を用いた検討
    力丸 徹, 西山 守, 米光 純子, 永渕 雅子, 嶋田 亜希子, 古賀 丈晴, 相澤 久道
    2008 年 82 巻 6 号 p. 628-632
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    施設内発症肺炎における肺炎球菌の臨床的重要性を明らかにするため介護施設で発症した肺炎患者154例 (男性54例, 女性100例, 平均年齢±標準偏差86.2±9.5歳) において喀痰培養検査および肺炎球菌尿中抗原検査を検討した.130症例で喀痰培養検査が行われ, 11例で11株 (8.5%) の肺炎球菌が分離され, その内訳はPSSP2株PISP8株PRSP1株であった. 72例で肺炎球菌尿中抗原検査が施行され26例 (36.1%) に陽性を認めた.64例で両方の検査が行われていたが喀痰検査で肺炎球菌が分離された5例すべてにおいて尿中抗原は陽性であった. 逆に尿中抗原陽性の26例のうち21例で肺炎球菌は分離されなかった.発症時の栄養摂取方法の違いによって検討を加えると, 胃痩施行26例中22例において喀痰検査が施行されていたが, 肺炎球菌が分離された症例は認めなかった. 一方, 尿中抗原検査は17例において施行されており, そのうち9例が陽性であった.結論として施設内発症肺炎において喀痰から肺炎球菌が分離される頻度は低かった. しかし, 今回の尿中抗原検査の結果から判断すると施設内発症肺炎の原因菌として肺炎球菌は重要と思われた.
  • 坂田 宏
    2008 年 82 巻 6 号 p. 633-637
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    1998年から2007年までに当院に入院した12名のB群溶連菌 (GBS) 感染症の児について臨床的に検討した.診断は敗血症が8名, 髄膜炎が4名であった. 発症日は齢生後7日未満が3名, 7日から27日が4名, 28日から141日が5名であった.早発型感染症の頻度は出生1,000人あたり0.4であった.予後は3名で神経学的後遺症を認めた.母体のGBS保菌状況は11名で調べられており, 4名が陽性であった. 陽性者のうち2名は分娩時に静注で抗菌薬を投与していたが, 児はGBS感染症を発症した.
    血清型はIII型が7名で最も多く, ついでIa型とIb型が2名ずつ, II型が1名であった.薬剤感受性ではMIC90の値でみると, panipenemとimipenemが0.015μg/mL, meropenemが0.03μg/mL, cefotaximeとceftriaxoneが0.06μg/mL, ampicillinが0.12μg/mLであった.
    2007年5月から2008年2月までにGBSを保菌していた妊婦28名, 新生児11名, 小児19名, 成人30名から検出された株についても血清型と抗菌薬感受性を測定した.III型の頻度について, GBS感染症群と妊婦および成人の間で有意差を認めた (p<0.05). 抗菌薬感受性は感染症群とほぼ同様であった.
  • 久松 知子, 中崎 信彦, 二本柳 伸, 平田 泰良, 高山 陽子, 大谷 慎一, 赤星 透, 砂川 慶介
    2008 年 82 巻 6 号 p. 638-643
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    2001年1月から2005年12月までの5年間に, 急性下痢症患者から分離したCampylobacte 231株を対象として, 検出菌種および薬剤感受性の年次推移を調査した.分離菌種は, Campylobacter jejuni (以下;C.jejuni) 219株 (948%), Campylobacter coli (以下;C.coli) 12株 (5.2%) であり, C.jejuniの分離率が高値であった. 薬剤感受性については, minocycline (MINO), levonoxacin (LVFX), erythromycin (EM) およびclindamycin (CLDM) の4薬剤を調査した結果, C.coliC.jejuniに比べてこれらの薬剤に対して有意に耐性であった.そのうち, C.jejuniにおけるLVFXのMIC値は, 142株 (64.8%) が≦0.25μg/mLであったが, 53株 (24.2%) では>4μg/mLであり, MIC分布が二峰性パターンを示した. また, Campylobacferはマクロライド系薬であるEMに対する耐性率が低値であると報告されているが, 本検討では, C.jejuniが9.2%, C. coliが66.7%と, MIC90値をカットオフ値とした場合の耐性率が高値であった.
    C.jejuniの薬剤感受性の年次推移は, 各抗菌薬ともMIC90値をカットオフ値とした耐性率の増加傾向は認められなかった. しかし, 各抗菌薬に対する耐性株の割合が年次によって大きく変動していた.また, カンピロバクター腸炎患者の年齢分布は, 19~24歳の青年層が全体の約半数を占めていた.
  • 上野 史朗, 宮内 俊一, 梅北 邦彦, 楠元 規生, 高城 一郎, 黒木 昌幸, 甲斐 泰文, 長友 安弘, 岡山 昭彦
    2008 年 82 巻 6 号 p. 644-649
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 74-year-old woman with hepatitis due to hepatitis C virus followed up using oral predonisolone (3mg/day) for two years because of hypergammaglobulinemia-associated purpura reported fever and lumbago in February 2005. Upon admission in June, she was found in chest-computed tomography to have atelectasia in the right middle lung lobe and a nodule with a cavity in the right lower lobe. She tested positive for tuberculous glycolipid antibody. Gallium scintigraphy showed an abnormal accumulation in the lower lumbar vertebra. Magnetic resonance imaging showed abnormal enhancement at L4, L5, and their intervertebral disc. Mycobacterium intracellulare (M. intracellulare) was detected in blood culture, bronchoalveolar lavage, and a biopsy specimen from the intervertebral disc, yielding a diagnosis of disseminated nontuberculous mycobacteriosis (NTM) due to M. intracellulare. She was treated with clarithromycin (CAM), ethambutol (EB), and rifampicin (RFP), but EB and RFP were discontinued due to of the fever they induced. She was then treated with a combination of CAM, levofloxacin, and streptomycin and followed up as an out patient. Based on case reports of disseminated NTM infection in Japan, the prognosis is poor and a protocol must be established for its treatment.
  • 善本 英一郎, 古西 満, 宇野 健司, 中川 智代, 米川 真輔, 笠原 敬, 前田 光一, 三笠 桂一
    2008 年 82 巻 6 号 p. 650-653
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
    A 58-year-old man admitted for fever, nausea, vomiting, and anuria after the start of HAART, including tenofovir, had a viral load of 1.1×105copies/mL, a CD4-positive lymphocyte count of 81/μL and serum creatinine of 0.8mg/dL before HAART. He underwent renal biopsy and temporary dialysis.
    We concluded that the patient had acute tubular necrosis because of potentially impaired renal function and the high amount of medication, and judging from the renal biopsy specimen and clinical course.
    When implementing HAART, physicians should be aware of and monitor potential patient misunderstanding of instructions on dosage and administration and for possible complications in medicinal combinations and potential side effects.
    TDF taken together with lopinavir may increase the plasma concentration of TDF or other medications that could worsen renal function. It should also be noted that renal dysfunction is a potential complication in the elderly.
  • 福田 伸治, 佐々木 由枝, 高尾 信一
    2008 年 82 巻 6 号 p. 654-655
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
  • 近藤 成美, 山田 俊彦, 三澤 成毅, 中村 文子, 小栗 豊子
    2008 年 82 巻 6 号 p. 656-657
    発行日: 2008/11/20
    公開日: 2011/02/07
    ジャーナル フリー
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