感染症学雑誌
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88 巻 , 1 号
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委員会報告
原著
  • 寺田 喜平, 赤池 洋人, 荻田 聡子, 尾内 一信
    2014 年 88 巻 1 号 p. 110-116
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2016/09/27
    ジャーナル フリー
    院内感染対策としてワクチン予防可能疾患は抗体価によってワクチン接種を決定することが多く,どの低抗体価者までを接種対象とすべきか混乱が生じている.風疹HI 抗体の陰性およびHI 抗体価32 倍以下の大学生200 名に風疹単独ワクチンを接種し,接種1 カ月後と2 年後に抗体を測定して抗体価の変動を検討した.ワクチン接種後有意に抗体価が増加したものは,接種前HI 抗体価8 倍未満では98%,8 倍では87%,16 倍では67%,32 倍では32%と,抗体価が高いとブースターがかかりにくいことを示した.HI 抗体陰性者において,ワクチン接種後EIA-IgM 抗体およびEIA-IgG 抗体のavidity によってB 細胞メモリーの有無を調べた.それでは抗体陰性者の6~16%にB 細胞メモリーを認め,多くは1 回のワクチン接種歴があった.各HI 抗体価によるワクチン接種基準を設定し,接種2 年後においてその基準を満足しない割合を検討した.それでは,HI 抗体8 倍未満は4%であったが,8 倍以下で22%,16 倍以下で43%,32 倍以下では74%と,抗体価の基準を上げると不満足例が増加した.接種対象数は,HI 抗体陰性(8 倍未満)を基準にすると,HI 抗体価8 倍以下では1.5 倍,16 倍以下で2.5 倍,32 倍以下で4.7 倍に増加した.わが国の風疹ワクチン接種基準HI 抗体価16 倍以下では,接種1 カ月後に対象者の67%は有意な抗体上昇を認めたが,2 年後には43%が再び16 倍以下に低下していた.また接種対象数は陰性者のみと比較して,2.5 倍と多くなっていた.抗体価では正確にCRS 罹患防止を予測できないことから接種基準の抗体価が高く設定されていると思われるので,より正確に予測するため特異細胞性免疫などの測定を開発する必要があると思われる.
  • 廣津 伸夫, 長谷川 貴大, 税所 優, 村手 純子, 池松 秀之, 岩城 紀男, 河合 直樹, 柏木 征三郎
    2014 年 88 巻 1 号 p. 117-125
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2016/09/27
    ジャーナル フリー
    発熱疾患の鑑別には末梢血検査が行われ,細菌感染においてその診断および治療効果の判定に有用な手段となっているが,ウイルス感染においてはその検討は少なく,明確な見解はない.このたび,2004/05 年度から2009/10 年度に至る発熱疾患に対するルーチンの末梢血検査(白血球数とその分画およびCRP)の蓄積を後ろ向きに検討した結果,季節性インフルエンザA 型(H3N2 及びH1N1 を含む,以下季節性A 型)614 例と2009/10 年のパンデミックインフルエンザ(H1N1)2009(以下,A/H1N1/pdm09)548 例の述べ1,162 例からインフルエンザの特徴的な所見が示され両者の違いも明らかとなった. 検討に当たっては,白血球とその分画は年齢により異なるため,全症例を一般化加法モデル(GAM,generalized additive model)を用いて年齢調整を行い,解析を実施した.インフルエンザの感染初期には顆粒球の増加,リンパ球の減少が確認され,その後顆粒球は減少,リンパ球は増加に転じることが観察された.顆粒球数では,季節性A 型に対してA/H1N1/pdm09 は,治療開始前は0.93 倍,治療後は0.82 倍とそれぞれで統計的に有意に低く推移していた.リンパ球数の比率は,治療開始前,治療後のいずれも,1.12~1.30 倍であり,統計的に有意に高い推移であった.CRP は発症後24 時間から36 時間にピークを迎え,その平均値はA/H1N1/pdm09 で0.88mg/dL,季節性A 型で1.53mg/dL であった. 末梢血は疾病の時間的経過,合併症の併発,治療による修飾,治療薬の副次作用等によって変動する.このようなインフルエンザ本来の末梢血の白血球分画の変化・動態を知ることは,診断時(特に迅速診断の要否の判断),経過中の合併症や副作用の出現を把握するために重要と考え報告する.
症例
  • 森岡 悠, 柳澤 如樹, 関谷 紀貴, 菅沼 明彦, 今村 顕史, 味澤 篤
    2014 年 88 巻 1 号 p. 126-130
    発行日: 2014/01/20
    公開日: 2016/09/27
    ジャーナル フリー
    A 19-year-old Filipino man was admitted to our hospital because of persisting fever and back pain. He had recognized his symptoms 6 months previously, but a definite diagnosis was not made. Image testing demonstrated a compressed fracture of the thoracic vertebrae accompanied with a perivertebral abscess. A biopsy specimen revealed granuloma compatible with tuberculosis (TB). Anti-TB drugs were initiated, and his clinical symptoms steadily improved. However, he developed neuropathic symptoms due to exacerbation of the abscess two months after starting the anti-TB drugs. An immediate laminectomy was performed resulting in symptom relief ; however severe kyphosis remained. Polymerase chain reaction testing of the abscess collected during the operation was positive for Mycobacterium tuberculosis, confirming the diagnosis of spinal TB. The diagnosis of spinal TB has been a challenge world-wide. Clinicians should be aware of the demographic background as well as the clinical and laboratory features of spinal tuberculosis, facilitating earlier diagnosis.
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