肝臓
Online ISSN : 1881-3593
Print ISSN : 0451-4203
ISSN-L : 0451-4203
16 巻, 7 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 中 英男
    1975 年16 巻7 号 p. 411-422
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    世界的に肝硬変,原発性肝癌の多発地帯である東アフリカ・ケニア共和国のリフトバレー州中央病院に於いて,主要な肝疾患の実態を検索することを目的として1972年6月から1973年4月までの間,病理解剖に従事した.主な肝疾患は肝硬変,原発性肝癌,肝鉄沈着,循環障害性肝病変,急性脂肪肝などであった.肝硬変は自験例67例中4例(5.9%)で,全例が萎縮性肝硬変であり,それらの全てに活動性の肝炎像をみとめた.原発性肝癌は全例が肝細胞癌で自験例中6例(8.9%)にみとめ,その中の2例の肝癌組織内にMalloryのAlcoholic hyaline類似小体出現が著明にみられた.肝における鉄沈着はそれを肝細胞に限ると自験例中17例(25.4%)と高率であり,ケニア国のBantu族にも南アフリカ共和国と同じく肝の鉄沈着が高度であることを見出した.循環障害性肝病変は自験例中6例(8.8%)にみとめ,そのうちの3例は原因不明の心拡張性肥大をみとめた.その他に急性脂肪肝を1例みとめた.
  • 柴田 久雄, 外山 久太郎, 熊田 博子, 五嶋 武, 幾世橋 篤, 新関 寛, 岡部 治弥
    1975 年16 巻7 号 p. 423-430
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    Cholinesterase (ChE) (Acylcholine acylhydrolase) (3, 1, 1, 8)はAcylcholineを分解してコリンと酸を生ずる酵素であるが生体内ではいわゆるTrue cholinesterase (Acetyl cholinehydrolase (3, 1, 1, 7)と異り主として肝,血清に存在する.
    この酵素が肝疾患において減少することは1950年Alcalde1)の報告以来知られ,肝機能検査の1つとして特に我国ではよく用いられている.しかしこれまでのこの酵素の利用はネフローゼの場合を除き肝機能障害を始めとする各種疾患において低下することを見るのが主眼であった.
    著者の一人柴田は数年前よりChEの測定法について検討し,各種のThiocholine2)を用いて本酵素並にTrue choline esteraseの測定を試み3)オートアナライザーにてAcetylthiocholineでChE, propionyl thiocholineにてTrue cholinesteraseの測定をすることがすぐれていることを報告している.そして当時異常に高いChE活性を有する1例を経験し,肝生検により脂肪肝であったことを報告した8)がその後ChEの高い症例に遭遇したのでこれらを合せて一括報告検討を加える.
    一般にChEは低値のみが強調されネフローゼ以外の高値症例は従来問題にされなかったが,我々は高ChE血症の中に一つは脂肪肝に関連した場合と,もう一つは脂肪肝にあまり関係がないように見えるが何らかの肝障害に関係ある一連のものがあると考えている.
  • 柴崎 浩一, 小嶋 允夫, 藤田 謦士, 上遠野 淳, 小浜 寿彦, 吉川 明, 田代 成元, 市田 文弘, 関根 理
    1975 年16 巻7 号 p. 431-440
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    原発性肝癌の予後はきわめて不良であり,内科的治療を行なってもその平均生存期間は6~7カ月にすぎない.しかしまれに2~3年の長期生存例の報告がみられる.過去4年間に著者らの経験した約50例の原発性肝癌中3例の長期生存例について概要を報告し,臨床病理学的検討を行なった.長期生存例における原発性肝癌の組織学的特徴は分化型肝細胞癌が主座を占め,臨床的にも自覚症状の乏しい期間が長く,肝腫大の進行も徐々で,いわゆるslow growing hepatomaの性状を示すものが多い.しかし,臨床的に顕性化した後の経過は急速であり,多くは転移を伴ない組織学的にも未分化型肝細胞癌が主座を占めるようになる.原発性肝癌の組織学的異型度と予後との関係についてはEdmondSon分類GradeIIが最も予後良好であるが,HB抗原陽性の原発性肝癌と陰性のそれとの間の予後の相異の有無についての検討は今後の問題である.
  • 第3部 第2家系の研究ならびに本症の発生頻度と遺伝様式の検討
    口羽 和雄, 赤木 郷, 田尾 茂, 近藤 俊文
    1975 年16 巻7 号 p. 441-447
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    家族性ICG停滞症の第2家系の調査研究を行った.28名中7名の同症が発見された.その中の3名の肝細胞電顕所見と第1家系のそれとの間に著明な共通点は認められなかった.第1家系のKICGの分布は2峰性であったが第2家系のそれは3峰性を示した.本症7名の両親に血族結婚は証明されなかった.これらの事実は第2家系の本症の遺伝様式に関して不完全優性遺伝か変更遺伝子の存在を示唆するものであり,本症の遺伝的異質性が推測された.津島地方では本症の発生頻度は約0.4%と考えられた.
  • 肝表面の赤色紋理と肝内細血管構造の関係
    太田 亘
    1975 年16 巻7 号 p. 448-463
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2010/01/19
    ジャーナル フリー
    肝炎より肝硬変への移行の過程を腹腔鏡検査により追及した際に,肝表面に特有の赤色模様を認める症例が,意外に早く,肝硬変へ進展することが明らかとなった.
    この赤色紋理の成因を病理形態学的に解明するために,厚さ10μで作製した肝生検標本の連続切片による再構築標本を用いて検討した.
    肝表面の赤色紋理の占める部位は,門脈第11ないし12枝の周辺に出来た幅広い肝細胞の壊死巣に一致し,同時に,このような肝細胞脱落部に生じた結合織により,門脈枝相互間の結合や肝静脈枝との結合が形成されることが証明された.
    以上の事実は,肝炎より肝硬変への進展における一つの型式を示すものと考えられる.
  • 庄 須磨子
    1975 年16 巻7 号 p. 464-469
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    肝表面像より肝癌の細分類を実施するために,腹腔鏡検査と組織診断が完備した肝癌31例(肝細胞癌15例,胆管細胞癌5例,続発性肝癌11例)の腹腔鏡所見を比較検討し,次の成績を得た.(1) 肝硬度の合併は肝細胞癌が最も多く,次いで胆管細胞癌で続発性肝癌では稀である.(2) 癌腫の形は肝細胞癌は不規則なものが多く,境界もやや不明瞭であるが,胆管細胞癌と続発性肝癌では円型で境界明瞭なものが多かった.(3) 癌〓は続発性肝癌に特有で原発性肝癌では稀であり,しかも浅かった.(4) 色調は肝細胞癌では赤色調のものが多く,胆管細胞癌と続発性肝癌では白色調のものが多かった.(5) 細血管の増生は肝細胞癌ではビマン性に増生するものが多く,胆管細胞癌と続発性肝癌では癌部と非癌部の境界部に増生が著しかった.
  • 大森 国雄, 米山 泰平, 成山 多喜男, 松本 正美, 枝川 篤永, 津田 勇平, 木下 博明
    1975 年16 巻7 号 p. 470-474
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    患者は52歳の女性,黄疸および右季肋部痛を主訴とし,近医で総胆管結石の診断のもとに開腹術を受けた.胆嚢は炎症性に腫大していたが結石はなく,胆嚢内および胆管内に多数の凝血塊が見出されたため,胆道出血と診断され,われわれの外科に転院した.直接胆道造影では右肝内胆管が閉塞し,腹腔動脈造影では右肝動脈後枝にtumor stainを認めた.そこで胆道出血を主徴とした原発性肝癌と診断,肝右葉切除術を施行した,腫瘍は鶏卵大で,右副腎に接した右肝後区にあり,その一部は肝内胆管内にも増殖しており,その組織像は混合型肝癌であった.患者は術後60日目に軽快退院,10ヵ月後の現在も再発の徴候はない.原発性肝癌からの胆道出血は非常にまれで,現在まで8例報告されているにすぎず,しかもその切除例はみられない.胆道出血の診断,治療および予後について若干の文献的考察を加えた.
  • 西原 孝雄, 近藤 忠亮, 小林 敏成, 広畑 衛, 山田 剛太郎, 渡部 寛
    1975 年16 巻7 号 p. 475-481
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
    17歳の男子で,出生後10日目頃より黄疸が持続し,その間発育障害と核黄疸の後遺症と思われる神経症状を伴うに至ったGilbert症例に治療として, bucolomeを投与し血清bilirubin値の著明な低下を認めた.投与前後の比較では投与後,肝組織中のUDP-glucuronyl transferase活性は軽度に上昇し,胆汁中bilirubinのester型bilirubin分画のbilirubin-glucuron酸mol比の上昇,直接bilirubin-硫酸根mol比の上昇,又糞便中urobilinogen排泄量の増加を認めたが投与前後での肝組織の光顕像及び電顕像では著変を認めていないところから,bucolomeの作用機序はphenobarbitalのそれとは明らかに異るものと考察した.
  • 清沢 研道, 古田 精市, 長田 敦夫, 赤羽 賢浩, 小田 正幸, 真弓 忠
    1975 年16 巻7 号 p. 482
    発行日: 1975/07/25
    公開日: 2009/07/09
    ジャーナル フリー
feedback
Top