肝障害におけるhepaplastintest (HPT), thrombotest (TT), prothrombin time (PT),血液凝固II, V, VII, VIII, IX, X因子の意義を実験的,臨床的に検討した.肝疾患でVIII因子を除く各試験の多くは減少し,特に劇症肝炎,昏睡を伴う肝硬変で著明であった.急性肝炎でTT, IX因子のみの減少例は多くは治癒し,HPT, TT, II, VII, IX因子の他にPT, V, X因子の著減例は劇症化の傾向がつよい.慢性肝炎活動型は非活動型に比しVIII因子を除き各試験の減少がみられる.肝硬変では非代償性は代償性に比しVIII因子を除き各試験の減少が著明で,70%以上では代償性となる可能性がつよいが,40%以下では死亡例が多い.劇症肝炎でPIVKAの高値,MHV-2肝炎マウスでは肝壊死に平行してVIII因子を含め著明な減少がみられ,DICの関与が示唆された.エック瘻犬では肉中毒またはCCl
4肝障害を加えはじめて凝固能の減少が認められた.即ち血液凝固能の測定は肝疾患の診断,予後判定に極めて有用であることが結論された.
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