ネパールのKathmandu, Pokhara, Beni, Babychour, Darapani, Khivang, Muriの住民およびSherpaを対象としてHBs-抗原,抗体の検査を行った.HBs抗原保有者はRIA法で185名中13名(7.02%),IAHA法で185名中12名(7.0%)であった.又HBs抗体保有者はRIA法で46.4%, PHA法で47.6%であり住民の58.3%がHBウイルスに接触感染している.
ネパール人のHB抗原保有者は20歳代にそのピークを有し,抗体保有者は40, 50歳代に高率にみられた.肝機能異常者の抗原保有率は11.7%で,健常者の8%に比較して高値を示した.又HBs抗原保有者における肝機能異常者の陽性率は25%であり,HBs抗体保有者のそれ26.9%,HBs抗原,抗体とも陰性を示す者のそれ23.9%と比較して有意差はみられなかった.
HBs抗原のsubtypeを検索しえた範囲ではSherpa族の3名,Tibet族の3名,Chetri族の1名,Gurung族の1名はadwを示し,Newar族の1名ではadrであった.そしてaywを示す例は認められなかった.
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